こんにちは、私は手術室で働くナースです。手術室というと閉鎖された空間で看護学生にはあまり馴染みがないかもしれません。学生時代はあまり触れられない部分ですよね。
病棟で働く看護師も中まで入る機会は少ないと思います。私も手術室に配属されてから手術室について知ることが多かったです。
手術室では、経験者以外ほぼゼロからのスタートになります。
そこで今回は、手術室に配属なったナースや「手術室ってどんなことが必要なんだろう?」と興味あるナースのみなさんへ、手術室における最も基本的で重要なルールをご紹介します。
手術室といえば清潔不潔は重要なポイントです。
手術室内では、部屋や廊下によって高度清潔区域、清潔区域、準清潔区域、不潔区域と清潔度が異なります。用途やスタッフの動線を考慮して不潔な機材などが清潔区域に入る、または交差することがない構造になっていて、それに従ってスタッフが業務を行っています。
手術室で業務を行うためには、それぞれの手術室の構造を把握して、それに沿った人と物の流れを理解することが必要です。最も基本的な知識ですが、これが分かっていないと、たとえ解剖生理や麻酔薬、疾患の知識があったとしても仕事を任せることができません。
また、手術部位によっても清潔度が異なります。
例えば、消化管を開ける手術では便が出てくるため、術中にも不潔となる部分がありますよね。
一方で人工関節の手術ではインプラントを体内に挿入するため感染に注意が必要で、最も清潔なクリーンルーム(高度清潔区域)で行われます。開心術も同じくクリーンルームで行う代表的な手術です。
手術の順番は、部屋ごと1日のうちより清潔な手術から先に行われるように考慮されています。
手術室では患者様を中心にルートやバルーン、器械が繋がげられています。バイタルを測定する器械を始め、電気メス・バイポーラ攝子から内視鏡、顕微鏡、超音波、放射線、レーザー、窒素で動くソーや体位変換機などがあります。
それらの機材の多くが電源や窒素などの配管を必要としており、壁から配線・配管を伸ばして使用しています。ワイヤレスではないんですね。
手術室看護師は、コードや配管の整理を徹底していますが、手術室内にはそれらの線が這っている状態になります。
もし、術中につまづいて抜けてしまうと、患者様の生命に関わる事故や手術の中断に繋がります。器械によっては、突然電源が落ちてしまうと故障してしまうものや、立ち上がるまでに設定や時間を要する器械もあります。
手術室内では、足元に注意して歩く必要がありますね。
メスやソー、鋏など正しく取り扱わなければ危険な器械もあり、丁寧な取り扱いが重要です。
さらにとても高価な器械や繊細な器械があり、それらの殆どが“1点物”器械であるため、落下も要注意です。
故障だけでなく再度滅菌が必要になれば、手術が延長・中断してしまう可能性があります。
手術をしている医師や介助している看護師にもぶつからないように注意することも重要です。
結紮や吻合していた血管、脳などの組織を傷つけてしまうかもしれません。
ふと自分が邪魔なのかと思い、咄嗟に後ろに下がってしまうと、上記のことに加えて清潔野や手術的手洗いの済んだスタッフを不潔にしてしまうことがあるかもしれません。顕微鏡や内視鏡のモニターを揺らすことも厳禁です。
手術室では、後ろに下がらずにきちんと後方を確認してから動くようにしましょう。
衛生面はもちろんのこと安全面でも、手術室では焦ったり慌てて行動したりすることは危険です。
緊急手術や急変などで焦ってしまいそうな時は、深呼吸をして、常に慎重さを欠かないようにすることも大切です。(何年たっても難しいことではありますが…。)
自分が慎重に行動しても、他のスタッフがあなたの行動に気付いていない場合もあります。
例えば、病棟では見習いとして見学をしていても、さっと手を出して対応する場面がありますよね。
手術室ではそれが事故に繋がる可能性があります。
特に直接介助として先輩と一緒に手術に入る場合は、手は胸の前で合わせておくか、器械台に添えている方が安全です。
何か行動を起こす際は、メインで手術の介助をしている先輩看護師に声をかけてから行動するとよいでしょう。あなたが手を出したところに針糸やメスなどの器械が返ってきたり、術野に繋がっている細い糸を触ってしまったり、小さな検体があったりするかもしれないからです。
直接介助、間接介助看護師に関わらず、手術に集中しているスタッフや医師に対しては「介助します」「持ちます」「渡します」など声かけをしてから行動した方が安全ですね。
手術室での医師の指示の殆どが口頭指示です。復唱復命を徹底してお互いに確認しています。
また、間違いを防ぐためにできるだけ略語は避けて正式名称や単位を使うようにしてください。
さらに、実際に目で見て手に取ってきちんと確認をする癖をつけるようにしてください。
コミュニケーションエラーや確認不足による事故を防ぐことに徹底することが必要なのです。
そのほかにも手術室で必要な知識は器械の洗浄、滅菌方法、取り扱い方法、解剖生理、麻酔や人工心肺等に関する知識、手術に使用する薬剤の知識(麻薬や劇薬、手術に使用する抗生剤、輸液・輸血や血液製剤、止血剤、骨セメントなど)、術中ポジショニングに関する知識、アレルギーに関する知識などさまざまです。
それと併せて医師や看護師、看護助手、臨床工学技士、医療機器メーカーさんなどとのコミュニケーションスキルが求められます。
手術室に配属となった看護師の方、手術室看護に興味のあるみなさん、手術室には手術室看護ならではの大変さがあり、さらに奥深い手術室看護の学びは続いていきます。
でも、それだけ自分の成長を感じることができたり、チームに貢献できているかどうかを実感できたり、患者さんを救うその場にいることができるなど、多くのやりがいを得ることもできます。
手術室看護師は、安全な手術が行われるよう、清潔・不潔の十分な理解をし、手術室全体を把握して看護の面で各手術チームに貢献しているのです。
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