手術室看護師(オペナース)の役割や仕事内容とは?やりがいも詳しく解説!

2024.3.6

手術室で働く看護師 仕事内容とスケジュール例のイメージ

安全に手術を進行するために、手術に関する知識や迅速な判断力が求められる手術室看護師。看護師として働く人の中には、「手術室看護師について詳しく知りたい」と関心を持つ人も多いことでしょう。本記事では、役割や仕事内容、やりがいや大変さを感じる瞬間まで、手術室看護師の働き方について詳しく解説します。手術室看護師になる方法や向いている人の特徴も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

この記事を書いた人
村山 夕梨恵
看護師ライター
看護学校卒業後、公立病院の循環器内科・脳神経内科の混合病棟に配属。特別養護老人ホームやデイサービス・訪問看護の事業所への転職を経験する。 現在はフリーランスの看護師ライター/Webディレクターに転向。看護師転職/美容医療/審美歯科/介護分野に関するコンテンツ作成に従事。

手術室看護師の役割と種類

手術室看護師とは、「オペナース」とも呼ばれ、病院やクリニックの手術室に勤務する看護師のことを指します。一口に手術室看護師といっても、「器械出し看護師」と「外回り看護師」の2つの役割があることから、まずは手術室看護師の種類について確認しましょう。

器械出し看護師

器械出し看護師は、手術中の医師をサポートする直接介助の役割を担います。ペースを乱さずスムーズに器械を手渡せるよう、次に必要な器械を予測するスキルが必要です。器械出し看護師の動き次第では、手術の進行を妨げ、患者さんの負担を増やしてしまう恐れがあることから、術式への知識はもとより、医師と円滑な意思疎通ができるコミュニケーション能力も重視されます。なお、器械出し看護師が行う具体的な業務内容は以下のとおりです。

  • 手術前に器械をセッティングしておく
  • 手術中は医師の指示に従って安全に器械を手渡す
  • 医師に器械を手渡す際は清潔操作に配慮する

外回り看護師

外回り看護師は、器械出し以外の業務を行い、間接介助の役割を担います。業務内容は多岐にわたり、臨機応変に対応できる柔軟性が必要です。手術の進行を把握しながらサポートするのはもとより、術前・術後の患者さんを訪問し、精神面をケアするのも大切な役割の一つです。なお、外回り看護師が行う具体的な業務内容は以下のとおりです。

  • 手術前の麻酔・輸液ラインの準備
  • 手術前に病棟の看護師から申し送りを受ける
  • 手術中の患者さんの全身状態を観察
  • 物品の補充やカウント
  • 手術中・手術後の記録
  • 看護計画の立案
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手術室看護師の仕事内容と1日のスケジュール

ここでは、手術室看護師の具体的な仕事内容と1日のスケジュールを見ていきます。手術室看護師は基本的に夜勤がないため、退勤は17:00ごろが目安です。ただし、夜間の緊急手術が多い病院では、交代制で夜勤を行う場合もあるでしょう。多くの病院では、夜勤の代わりに、オンコール体制を取り入れていることから、1ヶ月あたり3~4回程度オンコール当番に入ることを想定しておくと良いといえます。

8:00・出勤
8:30・始業
・手術を受ける患者さんの状態や看護計画に関する申し送りを行う
8:40・器械出し看護師は手術で使用する器械の準備を行う
・外回り看護師は環境や物品を整える
9:00・手術前の患者さんを受け入れ、外回り看護師は同意書や術式などを病棟看護師と確認する
・手術開始後、器械出しもしくは外回りのそれぞれの業務を担当する
12:00・手術終了後、外回り看護師は病棟看護師に手術中の様子や出血量などを伝え、患者さんを送り出す
・器械出し看護師は手術で使用した器械の片づけやカウントなどを行う
13:00・休憩
(手術の終了時間によって、休憩に入る時間は変動しやすい)
14:00・手術に関する記録の作成を行う
・翌日に手術する患者さんの情報を確認し、医師や麻酔科医などと打ち合わせを済ませておく
16:00・翌日手術を受ける患者さんの病室を訪れ、全身状態の観察や不安に感じている点などを確認する
17:00・退勤

手術室看護師と病棟看護師との違い

手術室看護師と病棟看護師との違いとしては、主に「業務内容」と「勤務体制」の2つの要素が挙げられます。まず、業務内容については前述のとおり、手術室看護師が長時間にわたり手術のサポートを担う一方で、病棟看護師は入院中の患者さんに対して療養上の世話や身の回りのサポートを行う点が特徴です。

次に、勤務体制については、手術室看護師が日勤であるのに対し、病棟看護師は交代勤務が一般的であるという点が挙げられます。手術室看護師は、心身の負担に対する配慮から定時に退勤できる場合が多く、病棟看護師に比べて、生活リズムを整えやすいというのが特徴です。また、シフト制で勤務する病棟看護師に対し、日曜日が固定休であることがほとんどのため、友人や家族と予定を合わせやすいという利点もあります。プライベートの時間をしっかり確保したい人に向いている勤務体制といえるでしょう。

手術室看護師に必要な資格

手術室看護師を目指すにあたって、特に必要とされる資格はありません。職場の人員状況によっては新卒・既卒関係なく所属する可能性はあるため、看護師免許を取得していれば、誰にでも手術室看護師になれるチャンスはあるでしょう。
とはいえ、手術室看護師は器械出し・外回りのどちらにも臨機応変に対応する必要があることから、看護師としての知識やスキル、経験はある程度持っておくことが望ましいといえます。なお、新人看護師が手術室看護師になる場合は、器械出しの後に外回りの業務も担うようになる傾向にあるようです。

スキルアップには「手術看護認定看護師」がおすすめ

手術室看護師となった後にさらなるスキルアップを目指す場合は、「手術看護認定看護師」の資格取得を視野に入れることをおすすめします。手術看護認定看護師の資格を取得すると、手術を円滑に進められるのはもとより、質の高い医療を提供するため、周囲への教育や指導を行う役割としても働けるようになるでしょう。一定の経験に併せて、勉強への時間と労力が必要とはなりますが、その分大きなやりがいも感じられるといえます。

出典
公益社団法人日本看護協会「認定看護師」(2024年2月28日参照)

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手術室看護師になる方法

手術室看護師として配属されるには、どのような手段を取るのが有効なのでしょう。手術室看護師は一般病棟と比べて、求人案件を目にする機会が少ないことから、具体的にどのような行動をすれば良いのか悩んでいる人もいるかもしれません。下記にて、既卒の場合と新卒の場合に分けて解説しますので、当てはまるほうをチェックしてみてください。

既卒看護師の場合

既卒看護師の場合は、主に「部署異動を願い出る」「オペ室のある病院に転職する」の2点が手術室看護師になる方法として挙げられます。

部署異動を願い出る

手術室のある総合病院に勤めている場合は、転属希望を提出することで異動できる可能性があります。ただし、手術室看護師は配置人数が少ないため、希望がすぐに聞き入れられるとは限りません。看護師としての実績やタイミングにも左右されるため、数年にわたって異動希望を出し続けるケースも考えられるでしょう。部署異動を願い出る際は、それらの状況を踏まえた上で、諦めずにチャレンジすることが大事だといえます。

オペ室のある病院に転職する

勤務先に手術室がない場合や、転属希望が通りにくい場合は、手術室のある病院への転職も選択肢の一つです。手術室看護師を募集している求人案件に応募することで、配属希望が通りやすくなるといえます。面接の際は、これまでの勤務経験をもとにどう貢献できるのかに併せて「どうしても手術室で働きたい」という強い意欲を伝えると良いでしょう。
▶手術室(オペ室)の看護師求人一覧

新卒看護師の場合

新卒看護師の場合は、主に「手術室勤務の希望を伝える」ことが手術室看護師になる方法として挙げられます。

手術室勤務の希望を伝える

新卒で手術室看護師になりたい場合は、事前の病院見学やインターンにて、新卒看護師が手術室に配属される可能性はあるかどうかを確認することが大切です。手術の実施状況もチェックした上で、就職面接や内定後の面談時に手術室への配属希望を伝えましょう。大規模病院か専門病院かによっても働き方や学べる内容は異なることから、自身が目指す手術室看護師の将来像を明確にしておくと良いといえます。

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手術室看護師の平均給与

手術室看護師は、夜勤手当がない分、一般的な病棟看護師に比べると給与は低い傾向にあります。ただし、病院によっては、手術室看護師の業務のハードさを考慮して、病棟看護師とほとんど変わらない給料が支払われているケースも。勤務形態や職場の規模、地域によっても差があることから、職場を選ぶ際は事前の情報収集に力を入れることが大切です。給与を重視する場合は、オンコール体制がある職場を選ぶのも一つの手でしょう。

手術室看護師に支給される手当

手術室看護師には、オンコール手当のほかにも、勤務手当や危険手当といった各種手当が支給される場合があります。手当の有無や内容は職場によって異なるため、事前に確認をしておきましょう。手術室看護師は心身の負担も大きい仕事のため、給与だけに囚われず、職場の内部事情も把握した上で、総合的に判断することが大切です。

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手術室看護師がやりがいやメリットを感じる4つの瞬間

業務の特殊性が高い手術室看護師ですが、実際にやりがいやメリットを感じる瞬間にはどのようなものがあるのでしょう。下記にて手術室看護師だからこそ感じられる4つのやりがいやメリットを紹介しますので、自身が活躍している姿をイメージしてみてください。

1.無事に手術を終え、患者さんが回復したとき

手術中は常に緊張状態が続きます。それゆえに、スムーズに手術を終えられたという達成感や解放感はひとしおです。特に、難易度の高い手術の成功は、安堵感はもとより、手術室看護師としての成長や自信にも繋がるといえます。患者さんが元気になった姿を見たときの喜びは何事にも代えがたいものがあるでしょう。

2.幅広い診療科目の手術を通して成長できたとき

手術室は、さまざまな診療科目の手術を引き受けることから、新しい技術や知識、器械を学ぶのに適した環境です。最新の医療技術や医療機器に合わせて、自身をアップデートできることから、キャリアパスを意識している看護師には魅力的に感じられるでしょう。経験を積むことで、手術室看護師に必要な「先読みする力」や「視野の広さ」も養われ、成長を実感できるようになるといえます。

3.他職種の医療スタッフと一致団結するとき

他職種の医療スタッフとの連携もやりがいを感じられる瞬間の一つです。手術は、診療科の医師、麻酔科医、病棟や外来の看護師、臨床工学技士などの他職種が連携・協働し、チーム一丸となって行われます。それぞれの垣根を越え、手術という一つの目標に取り組むことは手術室看護師ならではのやりがいです。適切な判断や対処により、リスクの高い手術や、緊急手術を乗り切った際は特に強い達成感を得られることでしょう。

4.オペナースとして専門性を高められるとき

専門性を高められるのも手術室看護師のメリットです。手術室看護師として働くと、病棟では学べない専門性の高い知識を得ることができます。特に、解剖生理の勉強が好きな人は、実際の手術を通して理解を深められるため、手術室での勤務がより有意義なものになるでしょう。

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手術室看護師が大変さやデメリットを感じること

手術室看護師には、やりがいやメリットを感じられる一方で、大変さやデメリットを感じたり、要領の悪い自分に嫌気がさしたりする瞬間もあります。ミスマッチを防ぐためにも、両方の側面をしっかりと把握し、向き不向きを見極めましょう。

常に勉強し続ける必要がある

前述のやりがいと表裏一体にはなりますが、手術室看護師は医療技術の進歩に合わせて、常に学び続ける必要があります。器具や器械も状況によって異なるため、各診療科に対する幅広い知識やスキルも重要です。学び、成長し、自分自身を高めていくことにやりがいを感じられる人には向いているといえますが、それを苦痛に感じる場合は、別の道を選択したほうがより生き生きと働ける可能性もあるといえるでしょう。

心身の負担が大きい

心身の負担が大きいことも手術室看護師が大変と感じる要素の一つです。寒い手術室内で集中力を保ち続けなければならないという過酷さに併せて、オンコール対応が必要な場合は、夜中や明け方に出勤し、数時間にわたって立ち続けることも。

訪問看護や介護施設におけるオンコールは、問題が解決すれば帰宅できますが、手術室看護師は手術が終了するまで帰宅できません。突然の呼び出しをプレッシャーに感じやすい人は、職場外でも気が休まらない可能性があるため、注意が必要でしょう。

手術室看護師に向いている人の特徴

手術室看護師になる決心を固めた人の中には、自身の適性に自信が持てず不安を抱えている人もいることでしょう。手術室看護師に向いている人としては下記の特徴が挙げられますが、これらは経験により培われていく能力でもあり、仕事に慣れるまでには一定の期間を要します。具体的には、器械出し看護師なら3年、外回り看護師だと5年以上が一人前になるまでの目安です。

  • 向上心があって積極的に学びたい人
  • 精神面・体力面で自信がある人
  • 緊張状態にあっても冷静に対応できる人
  • チームで他職種と連携しながら働きたい人

キャリアプランを考える際は、上記の内容も踏まえるのはもちろんのこと、教育体制が整っている職場に転職・就職することもポイントであるということを念頭に置きながら、自身に適した働き方を模索してみてください。

手術室看護師の経験を活かせるキャリアプラン

手術室看護師の経験を活かしてスキルアップしたい場合は、より専門性の高いICUやHCUがおすすめです。ICU(集中治療室)とは、Intensive Care Unitの略称で、HCU(高度治療室)とはHigh Care Unitの略称を指します。ICUやHCUでは、重症度の高い患者さんの全身状態を細やかにアセスメントする必要があるため、患者さんへの直接的なケアや基本的な看護技術についても学ぶことができるでしょう。

また、幅広い診療科目の手術に関わる中で、興味を持った診療科目がある場合は、見識を深めるのも選択肢の一つです。眼科や消化器外科といった外科手術が必要な診療科目であれば、手術室看護師の経験を活かせるでしょう。また、大規模病院の手術室に勤務したり、手術看護認定看護師の資格を取得したりするのも視野に入れると良いといえます。

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手術室看護師に関するよくある質問

ここでは、手術室看護師に関するよくある質問を紹介します。

手術室看護師の求人探しでおすすめの方法はありますか?

手術室看護師は配置人数が少ないことから、転職エージェントといった第三者のサポートを借りて、効率的に求人を探すことをおすすめします。転職エージェントを活用すれば、自分にマッチした求人が知れるほか、働きたい職場の内部事情も聞けるため、ぜひ参考にしてみてください。

手術室看護師になるために部署異動をすることは可能ですか?

部署異動を願い出ることは可能ですが、看護師としての実績やタイミングにも左右されるため、希望がすぐに通らない可能性があります。もし、長期にわたって転属希望が通らない場合は、手術室のある病院への転職も視野に入れると良いかもしれません。詳しくは、「手術室看護師になる方法」をご覧ください。

手術室看護師へ転職をする際におすすめの志望動機は何ですか?

手術室やその病院を希望する具体的な理由はもちろんのこと、その職場にどう貢献できるのか、またその熱意をアピールすることが大切です。「手術室看護師に採用される志望動機とは?経験別の例文や業務の特徴も紹介」では、手術室経験の有無別で、書き方のポイントや例文も紹介していますので、参考にしてみてください。

手術室看護師を辛いと感じるのはどのようなときですか?

辛いと感じる状況としては、「業務範囲が広く覚えることが多い」「患者さんとの関わりが少ない」「長時間立ちっぱなしで体力的な負担が大きい」などが挙げられます。詳しくは、「手術室看護師(オペ看)が辞めたいと思う理由とは?転職成功のコツも解説」にてご覧ください。

まとめ

手術室看護師は医師の手術がスムーズに進むよう介助したり、手術を控えた患者さんの心のケアを行ったりする役割を担っています。幅広い診療科目に合わせて、高い専門性やスキル・知識を身に付けられるのが魅力であり、将来的にはICUやHCUといった重症集中ケア病棟へのキャリアパスも開けるでしょう。基本的に日曜日が固定給であることから、プライベートの時間もしっかり確保することが可能です。

なお、「手術室看護師として働きたいが職場を選ぶ際の判断基準が分からない」「1人での職場探しに不安がある」という方は、レバウェル看護に相談してみませんか?レバウェル看護は、看護師専門の転職支援サービス。自分に最適な求人をキャリアアドバイザーに探し出してもらえるほか、待遇面に関する交渉も依頼できます。好条件での転職をご希望の方は、 ぜひお気軽にご活用ください。

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この記事を書いた人
村山 夕梨恵
看護師ライター
看護学校卒業後、公立病院の循環器内科・脳神経内科の混合病棟に配属。特別養護老人ホームやデイサービス・訪問看護の事業所への転職を経験する。 現在はフリーランスの看護師ライター/Webディレクターに転向。看護師転職/美容医療/審美歯科/介護分野に関するコンテンツ作成に従事。

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