【ナースのためのマネー講座】第3回 看護師の「結婚にまつわるお金の話」

2018.12.27

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トータル・ライフ・コンサルタントとして500人以上の看護師の相談に乗ってきた岩井裕太郎さんに、看護師が知っておくべきお金のことを分かりやすく教えてもらう「ナースのためのマネー講座」。

第3回は、「結婚にまつわるお金の話」について。近ごろの看護師の結婚事情をまじえながら、結婚にかかる費用とその配分を考えるうえでのポイント、結婚費用の貯め方についてインタビュー。結婚後、お金でトラブルにならない夫婦になるために大切なことを語っていただきました。

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プロフィール

岩井 裕太郎(いわい ゆうたろう)

看護師専門のトータル・ライフ・コンサルタントとして数々の看護師のマネープラン、ライフプランの相談に乗ってきた。全国の医療機関などで看護師向けのセミナーも多数開催。メンタルケア心理士(R)の資格も持ち、メンタルケアのプロとしてアドバイザーも務める。

平均的な結婚費用ってどれぐらい?

大きなライフプランのひとつに「結婚」があります。では「結婚する」となったら、何にどのくらいの費用がかかるのでしょう。

「結婚費用の項目としては、一般的に結納や両親の顔合わせにかかる費用、指輪代、結婚式代、新婚旅行代、引越し代などが挙げられます。

なかでも結婚式については会場や招待数にもよりますが、僕の肌感では最近300万円超くらいが平均的な費用感ではないでしょうか。仮に引越し費用(都内を想定)に50万円、新婚旅行に30万円かかると想定すると、トータルで400万円ほどは見ておきたいところです。

また、結婚式ではゲストからのご祝儀も期待できます。両家で60人を招待したとして、一人3万円で計180万円。結婚費用400万円のうち、例えば二人で結婚式までに貯金などで100万円ずつ、計200万円ほど用意できたら、あとはほぼご祝儀で費用がまかなえるということです」(岩井さん)

【おもな結婚費用と捻出先】

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ただし結婚の費目と金額は、地域によって異なると岩井さんは説明。

「地域によっては、大人数で豪華な結婚式を挙げるのが通例だったり、親族だけの少人数制の結婚式があったり、結納はせずに、海外ウェディングで仲のいい家族や友人を招いて行ったり。最近は結婚式も多様化しているような気がします。結婚式で抑えた費用で、新婚旅行や引っ越し代などにあてるなどもよくあります。」(岩井さん)

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看護師ならではの結婚の特徴って?

一般的な結婚費用や最近の費用配分の傾向がわかったところで、多くの看護師のライフプランニングに関わってきた岩井さんに、看護師ならではの結婚に至るまでのプロセスや結婚事情を伺いました。

「看護師は『出会いが少ない』『仕事が激務』と、どちらかというと結婚相手を見つけやすい環境にはいないことが多いと聞きます。早い方は就職2、3年目で結婚を機に仕事を辞める人もいますが、30歳を目前に婚活を始めるという話もよくあります。

また、看護師の結婚相手には警察官、消防士、自衛官といった公務員が多いのも特徴ですね。どちらも同性が多い職場で働いているという共通点があるからだと思います。

一方で、ドクターや理学療法士との職場結婚ももちろんあります。相手は年上の男性が多いので、『お付き合いする人=結婚相手』という双方の考えが一致しているようです。そうなると付き合う時間はさほど長くなく、結婚までがスピーディーです」(岩井さん)

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結婚費用について、まず二人で話し合うことが大切

結婚が決まり、まず行うべきことは、「とにかく二人で話し合うこと」だと岩井さん。

「結婚するといっても、いきなりお金のことは話しづらいですし、うやむやにしがちですよね。でも最初が肝心だと思います。

互いの給料や貯金額など、二人の金銭状況をオープンにしたうえで、『どんな結婚式にしたいのか』『何に費用をかけて、何を最小限に抑えるのか』など、結婚費目と費用配分について話し合いましょう。そして結婚式や新婚旅行のあと、結婚生活にいくら残しておきたいのかを話し合うことも重要です」(岩井さん)

ここで岩井さんは、対照的な結婚費用配分を行った二組のカップルについて紹介してくれました。

「ひと組目は結婚式や新婚旅行、引越しといった一通りの結婚イベントにあるだけのお金をつぎ込み、『いざ結婚生活スタート!』といったときに二人の貯金残高がゼロになってしまっているカップルです。

良くない例ですが、実はこのパターンの方は結構いらっしゃいます。結婚自体がゴールではないと分かってはいるんですが、貯蓄については一旦落ち着いてしまう感じですね。でもそこで早いうちに気づき、数年後、お子さんが生まれるくらいまでに仕切り直せば、十分家計のリスタートはできます。

もうひと組は先々のことを考えて結婚式には高額をかけず、家族と親しい友人だけでごくシンプルな式を挙げたカップルです。

お二人は『何歳で何人の子供を持ち、家を建てる』といったライフプランだけでなく、『何歳までに1,000万円貯める』といった具体的なマネープランも細かく決めていました。結婚準備の時点から夫婦で人生のイベントにかかる大きなお金を見据えてライフプラン、マネープランをしっかり立てていた点が素晴らしいですね」(岩井さん)

結婚を決めて、一年で目標額を貯めるには

では結婚が無事に決まり、結婚式まで一年だったとしたら、どのように目標額を貯めていけばよいのでしょうか。

「二人の共通口座を作ることは有効な手段だと思います。その口座に『毎月決まった金額を入れ、さらにボーナスは〇〇万円』と二人で決めることで、いつ目標額が達成できるのかも分かりますよね。お互いに貯金額を決めて一緒に貯めていくほうが絶対早いです。」(岩井さん)

また、看護師の収入事情をよく知る岩井さんが、なかなか貯金ができないと悩む看護師に向けてひと言。

「看護師の収入は一般的に同年代より高めなので、結婚相手と収入が変わらないということもあります。いざ一年後に結婚となっても、多少の節約をすれば先ほどの結婚費用でお話しした『100万円』を貯めることは、それほど難しくないと思います」(岩井さん)

「結婚準備」は二人のマネーライフの基礎になる

さらに岩井さんは、

「結婚準備のためにお金のことを話し合う経験や、実際に目標額を貯蓄できた達成感は、二人の長い将来にとってとても大事なステップになります」

と言います。

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「結婚費用の共通貯蓄口座は結婚式などで一旦残高が0円になったとしても、二人で頑張った貯蓄経験は残っていきます。例えば結婚資金として二人で毎月5万円貯められた経験は、今後、二人がマネープランを計画したり貯蓄をする上で大きな自信になります。

第1回でお話した『お金を貯める自信を持つことが大事』だというのは、夫婦になっても同じなんですよ」(岩井さん)

二人が結婚資金を貯められたことで「結婚式」という素敵な思い出ができたばかりか、お互いの金銭感覚を鍛えるという側面をみても、大変有意義だということです。

「私が見るかぎり、結婚資金を二人できちんと計算し貯蓄もできていたカップルは、夫婦になってもお金をとてもよく管理しています。家庭でのお金のルール化が習慣づけできたからだと思います。

そうした家庭はその後マネープランの変更をご提案した際にも、ベースが出来ているため軌道修正がしやすいです。

結婚準備期間にしっかりマネープランを話し合った夫婦とそうでない夫婦は、あとで差が出てきます。マネープランを話し合った夫婦は、人生で大きなお金が要るとき、夫婦間でのお金の話がかなりスムーズに進みます。

なかなか本人同士で話せないときは、私のようなトータル・ライフコンサルタントを介して相談してみるのもいいと思います。かえって第三者のほうが気兼ねなく話せるということもありますよね」(岩井さん)

最後に結婚を考えている看護師にメッセージをいただきました。

「結婚は、お金のことを含めて数え切れないほどたくさんのことを決めなければなりません。まずはしっかり二人で話し合ってみてください。『どんな結婚式にしたいか』『どんな家に住みたいか』、もっと将来のことも。

たくさん話し合った分だけ目標や目的が見えてきますので、それが二人で頑張れるスタートになればいいなと願っています。その先には、きっと幸せな結婚生活が待っていますよ」(岩井さん)

「ナースのためのマネー講座」第4回では、「出産」をテーマにお話を伺います。お楽しみに。

 
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