「バセドウ病」という病名を看護師や看護学生の皆さんならもちろん耳にしたことがあるでしょう。
近年、バセドウ病は20代の女性に増えてきており、誰しも関係のない病気ではなくなってきました。
今回は20代に増えている女性の病気シリーズ第2弾として、バセドウ病のメカニズムや原因、症状、治療法などについて紹介します。
バセドウ病を含む甲状腺障害の患者数は、年々増加傾向にあります。
最新の厚生労働省による調査では、
甲状腺障害の治療をしている患者数は
平成26年度で約45万人。
未治療の人も含めると、その数は240万人にのぼるといわれています。
バセドウ病についてお話しする前に、まず甲状腺の仕組みや機能について見ておきましょう。
甲状腺は喉仏の下に位置し、ホルモンを作る内分泌器官のひとつ。
食べ物から吸収される「ヨウ素」という物質を原料として甲状腺ホルモンが作られます。
甲状腺ホルモンは新陳代謝を活性化したり、その際に作られるエネルギーで体温を調整したりするほか、脳を活性化させる働きがあるといわれています。
甲状腺ホルモンは、脳の下垂体という部位から出る甲状腺刺激ホルモン(TSH)が甲状腺を刺激することで分泌されます。
体内の甲状腺ホルモンが少ないときには脳に指令が行き、下垂体からTSHが分泌され、甲状腺ホルモンの分泌量が増加。甲状腺ホルモンが多すぎるときにはその逆のことが起こります。
ところが、なんらかの原因で免疫系に異常が起こり、甲状腺の表面にあるTSH受容体に拮抗する自己抗体が作られるようになることがあります。
この自己抗体がTSH受容体と合わさり、甲状腺を刺激することで、過剰に甲状腺ホルモンが分泌されてしまうのです。これが「バセドウ病」と呼ばれる病気です。
バセドウ病になると体重が減ったり、脈が速くなったりするほか、イライラする、汗をかきやすくなる、疲れやすくなるなどの症状が出ます。
バセドウ病は女性に多い疾患として有名ですが、何が原因なのでしょうか。
考えられている主な原因はこちらです。
・遺伝
・ストレスや過労、心労など
・出産によるホルモンバランスの乱れ
バセドウ病の原因には遺伝的なものと環境的なものの2種類があり、
バセドウ病を発症している人の約15%は遺伝が原因といわれています。
また、仕事や人間関係によるストレスや過労、そのほか出産によるホルモンバランスの乱れなど体内環境の変化も原因とされています。
バセドウ病が女性に多いというのはこうした理由からと考えられています。
もともと遺伝的要素などでバセドウ病になりやすい人に、ストレスが加わって発症するというケースが多いようです。
バセドウ病の治療法は3つあり、患者さんの年齢や症状の程度、社会的な状況によって決定されます。
・内服による治療
まず内服による治療では、甲状腺ホルモンが作られるのを防ぐ「抗甲状腺薬」と呼ばれる薬を飲みます。
薬を飲み始めて1~3ヶ月ほどすると甲状腺ホルモンの数値が戻ることが多く、日常生活への支障は減少してきます。
この治療の場合、定期的に体内の甲状腺ホルモンの値を測定し、必要な分だけの薬を飲むということが大切です。薬は最短でも2年間は飲み続ける必要があるでしょう。
・アイソトープ(放射性ヨウ素)による治療
食べ物に含まれるヨウ素と同様に、放射性ヨウ素も甲状腺に集まる性質があります。
これは放射線の作用で甲状腺細胞の数自体を減らし、甲状腺ホルモンが作られる量を減らすという治療法です。
アイソトープのカプセルを飲みはじめて2~6ヶ月経つと、甲状腺が小さくなり甲状腺ホルモンの量も減ってきます。ただし摂取するヨウ素の量には注意する必要があり、治療後4~6ヶ月はホルモン量を測定しながら薬の量を決めていきます。
・手術
手術では甲状腺ホルモンを作り出している甲状腺の組織を一部または全部摘出し、甲状腺ホルモンの量を減らしていきます。
甲状腺組織の一部を摘出する手術を亜全摘術と呼びますが、こちらはバセドウ病の再発率が高いとされるため、病院によってははじめから全摘術を行う所もあります。
20~30代というと就職や妊娠、出産が続く時期で、バセドウ病を発症しやすい時期ともいえるでしょう。
バセドウ病はその症状から、発症に気づかない場合も多いです。
いつもよりも体がきつい、何かおかしいと感じたら、医療機関で早めに受診するようにしましょう。
看護師はストレスが溜まりやすい仕事です。
休日は好きなことをしてリフレッシュしたり、ゆっくりと体を休めたりということも、バセドウ病の予防につながります。
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