
冬に流行する感染症といえば、インフルエンザや胃腸炎を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。今回は、胃腸炎の代表ともいえる「ノロウイルス感染症」についてまとめてみました。
突然の下痢や嘔吐にも慌てず対応できるよう、改めて復習してみましょう。最後に◯?クイズもあるので挑戦してみてくださいね。
ノロウイルスは、感染性胃腸炎の原因となるウイルスです。乳幼児から成人まで幅広い年齢層に感染を起こします。
ここではノロウイルス感染症とはどのようなものなのか、よくある7つの疑問とともに見ていきましょう。
ノロウイルスは、1968年にアメリカのオハイオ州ノーウォークの小学校で急性胃腸炎が集団発生し、その患者の糞便から検出されました。発見された土地の名前からノーウォークウイルスと名付けられましたが、その後の国際ウイルス学会で正式にノロウイルスと命名されました。
直径約35nmで細菌の1/30~1/100程度と非常に小さく、感染力が強いことが特徴です。年間を通して胃腸炎や食中毒の原因となりますが、特に冬に流行します。
ノロウイルスはほとんどが経口感染で、感染経路は主に以下の3つに分けられます。
【食品媒介感染(食中毒)】
・ウイルスに汚染された食品(カキなどの二枚貝)を生、あるいは十分に加熱せずに食べた場合
・感染者の手指や使用した調理器具などを介して二次的に汚染された食品を食べた場合
【接触感染】
・感染者の嘔吐物や糞便に触れ、手指などを介してウイルスが口に入った場合
・汚染箇所(感染者が触れたドアノブなど)に触れることでウイルスが口に入った場合
【飛沫感染、塵埃感染】
・感染者の嘔吐物や糞便が飛び散り、その飛沫を吸い込んだ場合
・感染者の嘔吐物や糞便の処理が不十分で、乾燥し塵埃となり空気中を漂い、それらが口に入った場合
ノロウイルス感染症の潜伏期間(感染してから症状が出現するまでの時間)は、およそ24~48時間とされています。潜伏期間を経て、嘔吐や下痢などの症状が突然始まることが特徴です。
主な症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛です。発熱を伴うこともありますが、高熱となることは少ないです。通常2~3日ほどで回復します。
また、感染しても発症しない場合や、発症しても風邪のような症状で済む場合もあります。乳幼児や高齢者などは重症化する可能性もあるので注意が必要です。
ノロウイルスの検査方法には電子顕微鏡法、遺伝子検査、抗原検査があります。また最近では、安価で感度が高く、短時間で結果が出る迅速診断キットも開発されました。
しかし、通常はこれらの検査が行われることは少なく、症状や周囲の感染状況等から総合的にノロウイルスと推定される場合が多いです。
それは、ノロウイルスであっても、治療は他の胃腸炎やウイルス性胃腸炎と同様に対症療法となり、医学的には検査をする意味がほとんどないとされているためです。
集団発生や食中毒など、医師が必要と判断した場合にのみ施行されます。また、医療従事者や食品を扱う仕事に従事している場合も確定診断が必要となることがあります。
現在、ノロウイルスに効果のあるワクチンや抗ウイルス薬はありません。そのため、制吐剤や整腸剤などによる対症療法が一般的です。
症状が長引いている場合や、乳幼児や高齢者では点滴をすることもあるでしょう。
感染予防として最も重要なのは手洗いです。正しい方法でこまめに手洗いを行いましょう。
【手洗いのタイミング】
・外出から帰ったとき
・トイレの後
・調理の前後
・手が汚れたと思ったとき
・感染者と接した後(汚物を処理した後)
また、加熱が必要な食材は中心部までしっかり加熱する、調理器具の殺菌や消毒を行うなど、調理の際にも注意するようにしましょう。
先ほどもお伝えしたように、ノロウイルスでもその他のウイルスでも治療は対症療法となります。「ウイルス性胃腸炎」「感染性胃腸炎」と診断されたときにはどのようなことに注意していけばいいのか見ていきましょう。
下痢や嘔吐が続くと脱水症状を起こす危険性があります。特に、抵抗力の弱い乳幼児や高齢者は注意が必要です。症状が落ち着いたときに少しずつ水分補給するようにしましょう。
下痢や嘔吐によって体内の水分だけでなく電解質も失われるため、電解質が摂取できる経口補水液がおすすめです。吐き気が続いていても少しずつ飲むことで重症化を防ぐことができます。
嘔吐物や排泄物には、ウイルスが大量に含まれているおそれがあります。素早く適切に処理することが大切です。
【汚物処理のポイント】
・使い捨てのマスク、手袋、エプロンなどを着用する(必要に応じて靴にもカバーをする)
・ペーパータオルなどで飛び散らないよう静かに拭き取り、ビニール袋に密閉して廃棄する
・汚物が付着した床などは、次亜塩素酸ナトリウムで拭き取る
・ノロウイルスは乾燥すると空気中に漂い感染源となるため、速やかに処理する
・処理後は手洗いをし、十分に換気を行う
ノロウイルスは、環境中でも長期間生存できるといわれています。感染者が使用したトイレの便座や手すり、ドアノブなどからもウイルスが検出されることがあり、消毒をすることで感染拡大を防ぐことができるでしょう。
汚物処理を行う際と同様に、マスクや手袋などの個人防護具を着用して処理します。その後の手順は以下です。
1.ペーパータオルで拭き取るなど、ウイルスが飛び散らないように処理をする
2.洗剤を入れた水で下洗いをする(静かにもみ洗い)
3.85℃で1分間以上の熱水洗濯を行う(困難な場合は次亜塩素酸ナトリウムで消毒後、乾燥機を使用)
4.下洗いを行った場所の清掃、消毒をする
布団や絨毯、ソファーなど洗濯が困難な場合は、汚物を取り除いた後にスチームアイロンの熱消毒を行うと効果的とされています。
最後にノロウイルスに関するクイズを出題します!◯か?でお答えください。
Q1.ノロウイルスへの感染は、アルコール消毒で防ぐことができる。
Q2.ノロウイルス感染症による下痢は、すぐに下痢止めを服用するとよい。
Q3.ノロウイルスは、何度でも繰り返し感染する。
Q4.症状がおさまった時点で体内にノロウイルスはいない。
Q5.ノロウイルスに感染している人の嘔吐物や糞便には、1gあたりに100万~10億個ものウイルスが含まれている。
全部わかりましたか?回答は以下です。理由もあわせてチェックしてみてくださいね。
Q1.【?】アルコール消毒は、ノロウイルスには効果がないとされています。次亜塩素酸ナトリウムを使用しましょう。
Q2.【?】無理に下痢を止めてしまうとウイルスが腸管内にとどまり、回復を遅らせてしまうことがあります。症状が長引くときは医療機関を受診しましょう。
Q3.【◯】ノロウイルスには多くの型があるため、複数の異なる型に感染する可能性があります。
Q4.【?】ノロウイルスは1週間から10日、長いときは1ヶ月もの間、体内に残り便から排出されるため症状がおさまっても注意が必要です。
Q5.【◯】感染者の嘔吐物や糞便には大量のウイルスが含まれています。また、100個以下と少ないウイルス量で感染するといわれており、感染力が非常に強力であるといえます。
ノロウイルス感染症についての理解は深まったでしょうか?ノロウイルスは非常に感染力が強いとされており、適切な予防策や対応策をとることが大切です。
看護師として、患者さんが突然下痢や嘔吐をしたときにも慌てず対処し、感染拡大を防止できるといいですね。
東京都福祉保健局「感染性胃腸炎(ウイルス性胃腸炎を中心に)」
記事の制作について
「レバウェル看護 看護師さん向けお役立ち情報」では、
記事の制作・公開にあたってのポリシーを定めています。
詳細は下記よりご確認いただけます。
キャリア
働く場所
選考対策
資格
その他
読みもの
連載