新人看護師の教育制度「プリセプター制度」とは、どのようなものなのでしょうか。プリセプター制度では、先輩看護師が新人看護師に付きっきりで指導を行います。
このコラムでは、プリセプター制度を詳しく解説。また、新人看護師の悩みやどうすれば乗り越えられるのかをご紹介します。仕事の悩みがある新人看護師の方はぜひ参考にしてみてください。
多くの病院でプリセプター制度と呼ばれる教育制度が導入されています。プリセプター制度では、先輩看護師が新人看護師に付きっきりで指導を実施。ここでは、このプリセプター制度とはどのようなものなのか、詳しくご説明します。
プリセプター制度とは3~4年ほどの経験を持つ先輩看護師が、入ってきたばかりの新人看護師に付き、マンツーマンで指導する教育制度のことです。新人看護師の1年目は、初めて臨床の現場に立つので、覚えなくてはいけないことが山ほどあります。そのため、不安と緊張の連続でしょう。
そこで、新人看護師を指導し、相談にも乗る先輩看護師を教育係とし、苦しい時期を乗り越えてもらおうというのがプリセプター制度です。
入って間もない時期にプリセプター制度を用いると、より効果的だといわれています。
指導する先輩看護師のことを「プリセプター」と呼び、指導される立場の新人看護師は「プリセプティ」と呼びます。新人看護師は看護学校で学んだ看護の技術や知識をベースにして、臨床の現場でプリセプターの指導のもと、看護師としての実践能力を習得しなくてはいけません。
新人看護師は、悩みがあっても一人で抱え込みがちです。しかし、そこで、先輩看護師が身近な相談相手となれれば、仕事以外の悩みまで聞いてあげることができます。
働いている状況をイメージしやすくするため、一般的な新人看護師のスケジュールを外来と日勤、夜勤に分けてご紹介します。
外来勤務の新人看護師の1日をみてみましょう。
~午前8時30分~
出勤後、朝礼をしてその日の予定を確認。問診や採血など、各担当に分かれてプリセプターと一緒に看護業務をスタートします。
~午前9時~
午前の診療がはじまり、受付から患者を呼び出します。問診室で患者の話を聞き、血圧測定や体温測定を実施。その後、診察室へ案内して医師の指示に従いながら検査や処置、指導を行います。入院しなければいけない人には、案内が必要です。
~午後12時30分~
すべての患者の診察が終了したら、午前の診察は終わりです。
~午後2時~
午後の診療がはじまります。業務内容は、基本的に午前中と同じです。
~午後5時~
患者の診察が終わり次第、片付けや掃除をして退勤します。
日勤の新人看護師のスケジュールをご紹介します。
~午前8時30分~
出勤後、ミーティングで夜勤からの引き継ぎを受けます。
~午前9時~
引き継ぎが終わり次第、看護業務がスタート。
病棟では、基本的にチームナーシング制度を導入しているので、リーダーとメンバーに分かれて作業します。新人看護師はリーダーの指示に従いながら業務を実施。担当の病室を回り、患者の体温測定や血圧測定、点滴など、必要な看護処置を行います。
~午前10時30分~
入浴のある日は服を着替えて入浴の介助をし、入浴できない患者はタオルなどで身体を拭く「清拭」を行います。
~正午~
プリセプターの指導を受けながら配薬と昼食の準備をします。ダブルチェックは必ず行いましょう。その後、患者へ配膳を実施。必要があれば食事の介助を行います。
~午後1時~
それぞれのチームが集まってカンファレンスを行い、情報共有します。リーダーは医師に、午前中の業務報告が必須。そして、新人看護師は今後の指示を受けます。カンファレンスのあとは午前の業務と同じです。
~午後5時~
夜勤の看護師へ引き継ぎをして、記録や残された業務の処理をします。
~午後5時30分~
退勤します。
夜勤の看護師の勤務時間は基本的に日勤の看護師より長いです。夜勤の新人看護師のスケジュールをみていきましょう。
~午後5時~
出勤後、ミーティングで日勤の看護師から引き継ぎを受けます。
~午後6時~
プリセプターの指導を受けながら配薬や夕食の準備、配膳を行います。必要があれば、食事の介助を実施。受け持つ病室の巡回をして、検温や血圧測定、点滴などの看護措置を行います。
~午後9時~
消灯時間です。翌朝まで1時間ごとに病室を巡回して、必要な観察や処置を行います。
~午後11時~
夜勤の看護師は、交替で仮眠休憩を取ります。
~午前6時30分~
朝になり、配薬や必要な観察、モーニングケアを行います。
~午前7時30分~
朝食の準備をし、配膳します。必要があれば食事の介助を実施。その後、記録の整理を行います。
~午前8時30分~
日勤への引き継ぎを行って、退勤します。
新人看護師には「業務が想像よりも過酷だった」「先輩看護師にいじめられている」など、さまざまな悩みがあります。新人看護師の悩みとその解決方法をみていきましょう。
医療現場は大変な場所であるという認識を持っている人は多いかもしれませんが「想像よりも過酷だった…」と挫折してしまいそうになる新人看護師もいるようです。ほかの職種と比べても、看護師は特に覚えることが多い仕事。また、人の命を預かっているという緊張感から「なおさらうまく動けない…」ということがあるようです。
同期の看護師や友人との気晴らしの時間を取れると良いでしょう。休みの日に旅行にいき、忙しい仕事から少し離れて気分転換をするのがおすすめです。話を聞いてもらうだけでも、すっきりできる人もいます。
また、辛い業務が続いている中でも、患者から「ありがとう」と感謝の言葉を直接もらうことで「もう少し頑張ろうかな」と思える人もいるでしょう。
業務が過酷であることで、疲労が溜まってしまうとミスに繋がります。適度にリフレッシュをし、ミスなく業務が行えるように体調管理を行うのがおすすめです。
人の命を預かる医療現場で、失敗は許されませんが、プリセプターから叱られて萎縮してしまうと、かえってミスが増えてしまうこともあります。また、プリセプターとうまくコミュニケーションを取れていないことで、業務がスムーズにいかないことも。それがミスにつながり、また叱られてしまうといった悪循環になるようです。
プリセプターを変えてもらうのも一つの方法です。プリセプター自身が指導に慣れておらず、余裕がないということも考えられます。そのため、グループリーダーや看護師長など役職についている人に相談すると良いでしょう。
また、プリセプターとコミュニケーションを取ることをおすすめします。お互いのことがよく分かれば、何を考えているのか理解できることも。そうして、信頼関係を構築することでスムーズに業務が行えるようになることもあるでしょう。自分が何を思っているのかを正直に話し、プリセプターの話もしっかり聞くことで、良い関係が作れるよう努力するのがおすすめです。
新人看護師が辞めたいと思う理由の一つに「いじめ」があります。看護師の職場はどうしても人間関係が複雑化してしまうことも。特に多いのが、先輩看護師による新人いじめだといわれています。「全然成長しないね」「あなた使えない」などと言われ、ただでさえ辛い業務の中「辞めたい」と思ってしまうこともあるでしょう。
先輩看護師にいじめられているときは、グループリーダーや看護師長など役職がついている人に相談しましょう。それでも改善されなければ、ほかの病棟への異動を申し出るのも一つの手です。ただし、相談する相手を間違えると、余計にややこしくなることもあります。そのため、信頼できる先輩看護師に相談するようにしましょう。
医療の現場で働いている以上、患者の最期に遭遇することはよくあります。一生懸命に看護していた患者が亡くなってしまったときは、ベテラン看護師でもきついと感じるでしょう。新人看護師であれば、なおさらです。
担当患者が亡くなって辛いのは当たり前のこと、と思えるようになりましょう。あまり深刻に考えないことをおすすめします。助けられなかった分、多くの人を助けようと考えられるようになりましょう。
辞めたいと思うようになった場合の乗り越え方は「辛いのは今だけ」と思う方法です。新人看護師といえるのは、就職して1年目から2年目まで。この期間は覚えるべきことが膨大なだけでなく、臨床現場に慣れていことなどもあり、辛さを感じることは多いでしょう。
しかし、2~3年経って看護スキルが身に付けば、仕事にやりがいを感じられ、面白いと思えるようになる人も。もし、面倒見の良い先輩看護師が職場にいたら、素直に頼ったり、話し相手になってもらったりすると良いでしょう。何もかも一人で抱え込まないことが大切です。
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