看護師の上位職!ナースプラクティショナーは日本にも導入される?

2020.3.20

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医師のように自分で診断や薬剤投与ができるナースプラクティショナー。アメリカを中心に海外諸国で導入されているものの、日本では制度の創設に至っていません。このコラムでは、ナースプラクティショナーが日本でも導入されるのか、問題点や課題とあわせて解説します。ほかにもナースプラクティショナーになる方法や求められる役割もご紹介。日本版ナースプラクティショナーと呼ばれる、診療看護師についてもまとめています。

ナースプラクティショナーとは

ナースプラクティショナー(通称:NP)とはアメリカの看護師資格の一つであり、医師のように薬に処方や診断が認められている職業です。経験を積んだ看護師が、専門職大学院で学位を取得したうえで試験に合格しないと就けない職業のため、難易度が高い資格といえます。
小児や高齢者、急性期などさまざまな専門領域に特化した看護師として、医師のいない過疎地域ではプライマリケアを担うこともあるようです。外科手術などはできませんが、初期症状の診断や投薬ができるので看護師の上位職としてニーズが高いといえるでしょう。
日本では医師以外が許可なく医療行為を行うことはできないため、ナースプラクティショナーは導入されていません。専門分野に特化した専門看護師や認定看護師といった上位資格は存在しますが、先述したように独断での医療行為は固く禁じられています。しかし、日本の高齢者が多い地域や過疎地域では医療提供体制が整っていないことが多いため、ナースプラクティショナーの導入が求められているのが現状です。

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海外諸国のナースプラクティショナー制度

アメリカ以外にもカナダやオーストラリア、アイルランドなどさまざまな国でナースプラクティショナー制度が導入されています。一般的に看護師資格があれば、大学院で教育を受けて試験に合格することでナースプラクティショナーになれるのです。
制度が創設された理由としては、医師の人数が限られた中でも迅速に医療を提供することや、ケアの質を向上させつつ医療費の適正化を図る狙いがあります。ナースプラクティショナーの権限は国や州によって異なり、具体的な内容は法律で定められている。

ナースプラクティショナーに求められる役割

ナースプラクティショナーに求められる役割は、医師の手が回らない部分の医療を行うことです。近年では深刻な医師不足によって迅速な処置が必要な場面でも指示が得られず、患者の容態悪化や往診依頼の難しさが問題視されています。そこで、多忙な医師に変わって医療アクセスの改善や重症化を予防することがナースプラクティショナーに期待されているのです。
実際に制度を実施している海外諸国では、医師と同等の高品質なケアが提供できているうえ、迅速な処置や重症化予防の効果があったという声もあり、医療現場において重要な役割を担う人材といえます。

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日本でもナースプラクティショナー制度が導入されるのか?

世界各地で活躍しているナースプラクティショナーですが、先述したように日本ではまだ導入されていません。しかし、少子高齢化が進んでいる状況を踏まえて、在宅看護を必要とする高齢者や過疎地域の医療ニーズに応えるために、看護師にも医療行為を行う権利が求められています。
日本看護協会は「日本でもナースプラクティショナーと同様の制度を創設するべきだ」と主張しました。
また、2018年から2019年にかけてナースプラクティショナー制度創設を実現するために、関係者の合意形成に向けてエビデンス構築を行い、諸外国の状況調査や共同研究も実施しています。
そして2020年9月には、自民党看護問題小委員会に向けて「ナースプラクティショナー(仮称)制度の創設に関する要望書」を提出し、本格的に制度の導入に取り組んでいるのが現状です。
一方で、日本医師会は「問題の本質は医師不足。医療の安全や質を守るためには賛同できない」と反対の姿勢を見せています。実現すれば広い医療ニーズに応えられる制度ですが、まだまだ課題は山済みで創設には時間がかかりそうです。

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日本看護系大学協議会のナースプラクティショナー(JANPU-NP)について

海外で実施されているナースプラクティショナーとは異なりますが、JAPANPU-NPという独自の看護師資格が存在します。診療看護師とも呼ばれる上位資格で、一定の制限の中で診療補助が行えることが特徴です。海外のナースプラクティショナーほどではないものの、看護師として医師に近い役割を担う診療看護師について、仕事内容や資格を取る方法をご紹介します。

診療看護師ができる仕事

診療看護師は、医師の診療補助として厚生労働省が定める38個の特定行為を行えます。たとえば、人工呼吸器の設定を患者さんの病状に合わせて変更したり、感染兆候がある場合に検査結果を見て薬剤投与を判断したりできます。脱水症状がある患者さんへの輸液補正や、気管カニューレの交換もできるため、状況に応じて臨機応変な対応が可能です。
診療看護師が治療方針をしっかり理解して、医師のフォローを行いつつ治療計画を看護計画と連動させることで、質の高いチーム医療の提供ができます。

診療看護師になる方法

診療看護師になるには看護師として5年以上経験を積んだのち、指定の大学院7カ所のいずれかで2年間修士課程で医学について学び、実習や課題研究を行います。所定の単位を修得したうえで資格認定審査に合格すれば、診療看護師として認められるのです。

日本でナースプラクティショナー制度が導入されるのはまだ先ですが、診療看護師の資格を取得すれば医療行為に携わりながら看護を行うことも可能です。将来に向けて経験を積める仕事をお探しの方は、看護のお仕事を利用してみませんか?
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