看護論文とは、看護に関する学術的成果についてさまざまな手法を用いて記載した文章のこと。看護だけでも多くの学術団体があり、その団体が発行している学術誌に掲載されています。ここでは、看護論文の基本的な内容についてご紹介しましょう。
<看護論文の種類>
看護論文にはさまざまな種類があり、それぞれ位置づけが異なります。まず、よく耳にする「原著」は執筆者がオリジナリティの高い研究を行い、それに対してまとめられているものです。目的や方法が明確であり、看護業界の発展に寄与するものとされていることが多いでしょう。
そして「総説」は、当該領域に関する現状についてまとめている論文です。日本のみならず海外の論文を多数読み込み、世の中ではどのようなことが調査されているかを理解することができます。
「短報」は原著ほどまとまったデータではなく情報が不足しているものの、公表する価値のある報告のこと。短報からさらにデータを蓄積することで、原著となることも少なくありません。
そして現場で働く看護師に一番馴染みのある「症例報告」は、実際に経験した患者から得られた知見や経過についてまとめたものです。症例報告について論文としての価値が低いとする人もいますが、症例報告でしか知り得ないことがあること、また論文としてまとめる際に再勉強となる等の良さがあります。
これらが、代表的な看護論文です。なお、この他に学術誌によっては、コラムのような短いものを論文として投稿していることもあります。
<看護論文の構成>
看護論文では論文としての体裁を整えるため、構成が「投稿規定」にて定められています。多くは「はじめに(緒言)」「方法・対象」「結果」「考察」「参考文献」という形になっており、それぞれに記載する内容が決められているのです。
「はじめに(緒言)」では、その研究がどのような社会的背景や課題があり、それに対して現在どのような知見があって、何をどう研究するのか。「方法・対象」は患者や看護師といった対象者を何名、どのように選定したのか。また、その人たちにどのような研究を行ったのか(アンケートやインタビュー等)、得られたデータをどのように処理したのかが述べられています。看護師のカリキュラムにも「統計学」が出てきますが、論文ではこの「方法・対象」の部分で見かけることとなるでしょう。
そして、「結果」ではどのようなデータが得られたのか、「考察」では得られたデータと過去の知見から考えられる解釈等が述べられています。「参考文献」では、その論文を執筆するときに活用した論文についてまとめられ、論文には「要約(要旨)」と呼ばれるものがついているでしょう。ここでは、その論文の概要が数百文字でまとめられています。
<看護論文の読み方>
看護論文の構成を知ったら、実際に看護論文を読んでいきましょう。まず検索したときに、自分が知りたい内容かどうかを論文タイトルと要約(要旨)から判断します。そこから、「方法・対象」「結果」「考察」といった内容を読んでいきましょう。これらを全て丁寧に読むことは難しいため、まずは大まかな流れを掴むようにしてください。
また、これらは順序良く読まなければならないわけではありません。自分なりに読みやすい順序や流れを徐々に作り、素早く適切に論文を掴むようになりましょう。
論文の形式には、大きく分けて「量的研究」と「質的研究」があります。量的研究は検査データの変化などの数値によって追えるものを扱い、質的研究とは患者の語りなどの数値では追えないものを扱うもの。それぞれ特徴があるので、読み進めながら理解していきましょう。
看護業務を行うなかでは、さまざまな疑問が浮かんできます。そんなときは教科書だけでなく、論文から調べることも必要です。そして、論文などで調べられていない内容については、自分で研究して看護論文としてまとめることもあるでしょう。ここでは、看護論文の調べ方と書き方について解説します。
<看護論文を検索する>
看護論文を検索するときには、まず以下のような論文検索サイトを活用しましょう。
・CiNii
・J-stage
・Google Scholar
・pubmed
サイトによっては看護だけでなく、世界中の論文を検索することができます。無料で読めるものも多いため、まずは気軽にこれらを活用してみてください。
また、大学病院や医学系が豊富な図書館においては、医中誌(https://login.jamas.or.jp/)というサービスを導入していることもあります。これによって、かなりの数の論文を読むことが可能です。ただし有料なため、加入しているところを活用するか、個人で申し込む必要があります。
次に、図書館でも論文を読むことができます。医学系にも強い国立の図書館等では、なかなか目にすることの出来ないマイナーな医学雑誌が豊富に取り揃えられていることもあるでしょう。ほとんどが外部からの入館を許可していますので、気軽に足を運んでみてください。
<キーワードを使って検索する>
論文を探す際には、キーワードを使って検索する必要があります。例えば「看護 実習 学生」といったキーワードを検索することで、看護学生の実習に関する論文を調べることが可能です。キーワードを少し変えるだけで、検索結果は大きく変化します。そのため、検索するときにはさまざまなキーワードを組み合わせるようにしましょう。
また、論文を読んでいく中で、キーワードとして使えそうな単語を見つけることもできるでしょう。そのため、ある程度の量を読むことも大切です。また、論文の最後にある「参考文献」を読めば、関連した論文を読むこともできます
<研究成果の発表>
多くの看護師は看護論文を書く前に、院内の看護研究発表や看護学会(関連した学会)での発表を行うことになるでしょう。看護研究発表では院内の看護師が集まり、日々の看護経験や調査を報告し合います。学会発表は院外の多数の看護師が集まり、看護研究発表と同様に報告し合う場。一般的に院内で行うよりも院外で行う方が難易度は高く、多くの学会は「査読」と呼ばれる審査に通過したうえで発表を許されるようになります。
看護論文は学会発表よりも厳しい査読を受けることが一般的であり、文字数も多く記載しなければなりません。そのため、ステップアップしながら看護論文に突き進んでいくことが大切です。
<質の高い看護論文の書き方>
実際に看護論文を書くとき、一人で書き進めることは困難です。先述したように看護論文の構成は決まっているとはいえ、実際にはなかなか上手く書けないでしょう。また、どのような研究デザインにするのか、どのような考察をするのかといった内容についても悩んでしまうものです。
そのため、看護論文を書いた経験のある人から、指導を受けつつ書き進めてください。特に質の高い看護論文を書くためには、専門的な知識が欠かせません。そのため、看護大学教員や他領域の研究職の人たちに指導してもらうと良いでしょう。専門性を高めたい場合、大学院に行く看護師もいます。
看護論文に関する概要や調べ方、書き方について解説しました。現場での経験や教科書だけでは学びきれないこと、最先端の情報が論文に記されています。苦手意識のある看護師も多いですが、まずは興味のある領域に関する看護論文を読んで慣れることからはじめてみましょう。そして、看護論文を書こうと思った際には、まずしっかりと学会発表を行って経験を積むこと。そのうえで、専門的な知識を持つ指導者から指導を受けるようにしてください。
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