ズルカンの『看護師メシ』
2020.6.9
『病院横の天津飯』
私の働いていた病院の徒歩数分のところに、小さくて古い中華屋さんがあった。
看護師寮の前ということもあり、いつも気になっていたが、カウンター数席だけの小さな店で、一人で入れずにいた。(お世辞にもきれいな店ではなく、客層が屈強な男性だったということもある…)
そこの天津飯が、私のなかで日本一美味しい天津飯なのだが、たぶんそれは店主の人柄と、疲れ果てていたというスパイスがいつも効いていたのだと思う。
そこに通い詰めることになるのだが、油断すると病院の知り合いが来ているので、コソコソと店の中を見つめて、店の前を何往復か歩いてまでタイミングを見計らって行っていた思い出。
あの小さな中華屋は、たぶん自分のなかの逃げ場所だったんだなとさえ思う。
中山有香里
【『看護師メシ』バックナンバー】
『看護師メシ』vol.3 ~休憩室を襲う「カップ焼きそば」~
『看護師メシ』vol.4 ~特別感がある「パン屋さんのパン」~
【プロフィール】
中山有香里
看護師?イラストレーター。著書に『ズルいくらいに1年目を乗り切る看護技術『悲しいくらい人に聞けない看護技術』(メディカ出版)
Twitter:@musashi_0303
Instagram:@zurukan.yukari33
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