ふるえなどの運動症状が起こるパーキンソン病、原因不明の強い疲労感に襲われるCFS、アルコール依存症をはじめとする依存症…これらの病気には、あまり馴染みがないかもしれません。しかし、どれも誰にでも起こりうる病気です。今回は、この3つの病気と闘っている方を支援している団体を紹介します。他人事とは思わず、医療従事者として何かできることがないか考えてみることが大事です。
パーキンソン病は、中脳の黒質ドパミン神経細胞の減少によって発症する疾患です。10万人に100人~150人程度の割合で起こり、特に高齢者の発症が多いといわれています。
主な運動症状は、ふるえや動作緩慢、筋強剛、姿勢保持障害など。運動症状の他、便秘や頻尿、発汗、易疲労性、嗅覚低下、起立性低血圧、鬱症状、意欲低下などの非運動症状が現れることもあります。
パーキンソン病支援センターは、パーキンソン病の方とその家族の難病相談や支援を行っているNPO法人です。パーキンソン病の方が気軽に同じ病気の方と交流できるよう、同日同時刻に同じ場所で「サロン交流会」を開催。これまでに、参加者同士のディスカッションやバランス・ヨーガ、脳活などのイベントを行ってきました。
その他、専門家を招いた医療講演会やリハビリ勉強会、症例検討会、コンサートなども実施。パーキンソン病の方やその家族が孤立せず、普通の生活を過ごせるような環境づくりに尽力しています。
当事者やご家族が会場で集うサロン交流会は今般のコロナ禍のため、会場参加者とオンラインで遠隔地の方とが交流するハイブリッドとなり、普段は話す機会のない方が、オンラインとリアルで巡り会い、様々な情報に触れることやお友達になるなど、新しい交流会の形になりました。また、集まって顔を見て話しをすることが、こんなに皆さんを元気づけるのだと改めて感じました。
これからはオンライン交流会が遠隔地の方や、外出が思うようにならない方、ご家族や専門家など多様な方々に参加していただけるようになることを期待しています。
画像提供:NPO法人パーキンソン病支援センター
コロナ渦は家に閉じこもりがちですが、リハビリのためにも適度の外出は必要です。外出時の感染予防にはマスクや手洗いなどが効果的ですが、免疫力を上げれば感染リスクをさらに軽減できるでしょう。
免疫力を上げるには、毎日の運動や食事によって体を温かく保つことが大事です。乾燥すると風邪をひきやすくなるので、こまめな加湿も欠かせません。
また、ストレスも免疫力低下の一因といわれています。リラックスできるよう、日頃のストレスや不便を取り除きましょう。自らの手で問題を解決すれば、満足感も得られます。
無気力・無動も大敵です。パーキンソン病の方は物事に関心を持ちにくいかもしれませんが、趣味などを積極的に見つけてやる気を奮い立たせましょう。テレビを見て笑うだけでも良いので、日常生活に何かしらの意味を見出し、免疫力アップにつなげましょう。
ME(筋痛性脳脊髄炎)/CFS(慢性疲労症候群)は、原因不明の激しい倦怠感に襲われる病気です。強い疲労感とともに、微熱や頭痛、筋肉痛、脱力感、思考力障害、睡眠障害などの症状が6ヶ月以上続き、健全な社会生活が送れなくなってしまいます。ME/CFS患者の中には、介護が必要になるほど重い症状を発症する方もいます。
ME/CFSの臨床診断基準は作成されているものの、未だ課題も多く、よく似た症状の疾患と誤診されることも多いようです。一日も早く科学的根拠に基づいた正しい診断が下されるよう、各国でME/CFSの解明や診断・治療法の開発が進められています。
2015年には米国医学研究所によって全身性労作不耐症(SEID)という病名が提案されるなど、病名を変更する動きもあります。
ME/CFSは現在のところ有効な治療法が確立されておらず専門医も少ないため、患者の治療環境が整っているとはいえない状況です。それゆえに、ただの長期疲労や怠け病と誤解され、苦しんでいる方もいます。
CFS支援ネットワークは、ME/CFSの社会認識の向上や患者支援に努めている団体です。
主な事業内容は、ME/CFS診断基準の普及および診療拡大への取り組み、医療系・福祉系学生を対象とした講義・研修会の開催、医療・福士従事者や行政関係者ら専門家への情報共有、 ME/CFSに関するシンポジウムの開催や啓発活動、WebサイトやFacebookなどによる情報発信、行政機関への要望活動など。専門家や関係機関によるCFS患者への包括的な支援が広まるよう、多種多様な活動を展開しています。近代看護教育の母であるフローレンス・ナイチンゲールもME/CFSで約50年間ベッドの上で過ごしたといわれ、彼女の誕生日である5月12日はME/CFS世界啓発デーとなりました。この日に世界各国のランドマークをブルーライトアップする啓発活動が始まり、2014年から日本の団体として初参加して以来、毎年継続して啓発デーイベントを実施しています。
画像提供:CFS支援ネットワーク
同団体は、最新かつ正しいME/CFSの情報を学び、支援のあり方を考える「CFS市民公開セミナー」や、在宅看護の質向上を目的とした看護職による集会「慢性疲労症候群の患者の在宅ケアについて」、厚生労働省ME/CFS研究班を講師に招いた講演会「慢性疲労症候群の病因・病態と疲労に陥るメカニズム」、NPO法人 線維筋痛症友の会との共催による講演・交流会「慢性疼痛・疲労の医療講演会&交流会in青森」など、ME/CFSに関する講演会・セミナーを数多く開催してきました。コロナ渦には、オンライン交流会も実施しています。こうした講演会やセミナー活動によって、ME/CFSの認知度は全国的に広がりつつあります。
画像提供:CFS支援ネットワーク
任意団体CFS支援ネットワーク
https://cfs-sprt-net.jimdofree.com/
アスクは、アルコールや依存性薬物など、多種多様な依存症の予防や早期発見、治療を支援しているNPO法人です。アルコール依存症を対象とした活動からスタートし、その後シンナーや覚せい剤をはじめとする依存性薬物やインターネット、ゲーム、ギャンブルなどの依存症にも支援の手を広げています。
啓発活動の一環として、雑誌や単行本の出版、Webでの情報発信、予防を促すパンフレットや視聴覚教材などの開発・販売、イッキ飲み防止キャンペーンや各種コラボ企画、アルコール通信講座、講演への講師派遣、シンポジウムなどを実施しています。
同団体は、依存症に関する正しい知識の普及や援助の実践に努める講師の育成も行っています。
アルコール・薬物・ギャンブル・ゲーム依存症の当事者・家族・支援者を対象に、知識だけでなく回復の実感や予防に必須のライフスキルを伝えられるアドバイザーを養成しています。全国の大学、保健所、精神保健福祉センター、病院、弁護士会、保護司会、医療関係の職能団体など、多種多様なところから依頼を受けてプログラムを展開。詳しくはこちらをご覧ください。
またコロナ禍で従来の自助グループ活動や医療との連携が難しくなっていることを受け、アドバイザーによる「依存症オンラインルーム」が立ち上げられ、活動が広がっています。
アルコールの基礎知識や節酒方法を広めるべく、職場や地域にて参加型研修を開催する、飲酒運転防止インストラクターを育成。 飲酒運転の防止はもちろん、生活習慣病やうつなどの原因となる多量飲酒の抑制にもつながっています。 詳しくはこちらをご覧ください。
「季刊Be!」は、依存症からの回復や援助者のセルフケアなど、依存症関連の情報を扱っている雑誌です。依存症の方だけでなくその家族や周囲の人間関係にもスポットを当てた、多彩な情報を発信しています。設立当初から刊行が続いている、当事者・家族・援助者をつなぐ架け橋的な存在です。詳しくはこちらをご覧ください。
ライフスキルは、日常で発生するさまざまな課題に、健康的に対処するためのスキルです。具体的には、問題解決スキルやコミュニケーションスキル、ストレス対処スキルなどが挙げられます。
WHOは、社会構造の急速な変化や親の子育て能力の低下、家族形態の変化などに対処するには、ライフスキル教育が必要だと提唱。同団体も、依存症の予防や回復のため、依存症者家族の手助けのため、そして依存症の方が自分らしく生きるために、ライフスキルが重要だと考えています。
同団体はライフスキルを5つ分野に分けた「ライフスキル・チェック」を作成し、セミナーなどで活用しています。
※ライフスキル・チェックに関する詳しい情報はこちら
NPO法人アスク
https://www.ask.or.jp/
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