在宅医療の最前線で活躍する訪問看護師へのインタビューシリーズ。今回は、ベストリハ株式会社 ベストリハ訪問看護ステーション高田馬場に勤務する山田 優子(やまだ ゆうこ)さんを取材。訪問看護のやりがいや?変さ、大切にしていることについて伺いました。
プロフィール
山田 優子(やまだ ゆうこ)さん
ベストリハ株式会社 ベストリハ訪問看護ステーション高田馬場勤務の27歳。看護学校卒業後、都内の大学病院の混合病棟に3年、介護施設に1年勤務し、2019年4月より現職。2020年4月には主任へ昇格し訪問だけでなく、ステーションでのマネジメント業務も担っている。
ーー現在の職務内容について教えてください。
現在は訪問看護と主任の仕事の両方をしています。訪問は、新宿・中野・豊島区を中心に、ステーションから最大13km圏内を回っています。移動は主に自転車で、1日の訪問件数は4~5件です。メインの業務は、血圧・体温測定といった体調管理で、利用者さまの状態にあわせて内服の管理や清拭、点滴、摘便などを行っています。利用者さまは症状が落ち着いて、経過観察をする方もいれば、最期を看取る方などさまざまです。
主任の仕事は、スタッフのスケジュール管理や相談、事務作業が中心になります。ステーションには看護師が4人、PT・OTが6人いるので、一人ひとりの能力に合わせた人員配置や業務負担を考えています。スタッフのキャパシティを超えた業務を任せてしまうと、その負担が利用者さまのケアに直接影響してしまうので、指示は慎重に出すようにしています。
ーー訪問看護師になる前は、どんな経験をされてきましたか?
大学病院に3年勤務したあと、リハビリに特化した老人ホームに看護師として1年勤めていました。大学病院では、脳神経外科を中心とする形成外科・歯科口腔外科を含む混合病棟で働いていましたね。病院では、入院・手術・転院のサイクルが1~2週間と早く、比較的忙しい職場でした。それだけに勉強になることが多く、やりがいもあったと思います。しかし、4~5人の患者さまを優先順位をつけて1人で看るため、その日にすべきことだけで手一杯で、患者さま一人ひとりとじっくり関わる時間がなかったんです。そんな職場で働くうち、次第に「患者さまとゆっくり向き合いたい」「患者さまは退院後、ご自宅や転院先でどんな生活をしているのだろう」と思うようになり、在宅での看護に興味を持ちました。
その後、老人ホームで働き始めたのは、より在宅に近い環境で利用者さまを看てあげられると思ったからです。老人ホームでは、障害をもつ高齢の方がリハビリをしつつ、自分らしい生活をしていました。当時も、訪問看護師になることについては考えましたが、まだ自信がありませんでしたね。ただ、老人ホームは、入居者数十人に対して看護師は基本的に1人という体制で、病院での業務とも異なるため、自分の仕事の幅を広げられると思いましたし、「自分がどこまでできるか」という挑戦の気持ちもありました。
ーー老人ホームに移られたあと、訪問看護の道に進もうと決めたのはなぜですか?
もっといろいろな方を看てみたいと思うようになったからです。老人ホームは費用が高額で入れる方も限られていますし、看護師やドクターが常にいます。一方、在宅の方は、生活環境は人によって異なりますし、治療に必要な設備もご自宅に整っているわけではありません。老人ホームで働くなか、「施設に来られない人のケアをしたい」という気持ちが次第に強くなっていきました。
また、老人ホームで多くの利用者さまを担当して、自信がついたことも大きいですね。自分の対応力が高まったと感じました。実は、老人ホームに入職した年に、インフルエンザが流行し、スタッフに欠員が出たり、入居者ともども感染症対策に追われたりと、落ち着かない時期が2~3カ月あったんです。私もはじめは余裕を持てませんでしたが、次第に適応し、やるべきことを的確にこなせるようになっていきました。この経験が自信に繋がり、訪問看護の道に憧れていた私の背中を押してくれました。
ーー訪問看護の仕事をするにあたって不安だったことはありますか。
ありましたね。老人ホームに勤務していたときは毎日利用者さまと関われますが、訪問看護では、次の訪問までに数日~1週間ほど期間が空きます。その間、利用者さまの様子が分からないことや、数日後に伺って利用者さまの状態が変わっていた場合に対応できるのか、という不安がありましたね。
しかし、実際に始めてみると、ほかのスタッフにサポートしてもらえる体制がしっかりあったので、心強かったです。ベストリハにはスタッフ同士で利用できる社内連絡ツールがあります。利用者さまに同意を得ているので、現場で困ったときはケガや症状の動画を撮ってスタッフと共有し、タイムリーに相談できました。また、スタッフでは対応しかねることも、医師とのコミュニケーションツールが別にあるので、その場で質問できるほか、利用者さまのご家族からケアマネジャー、OT・PT、福祉用具店のスタッフまで、さまざまな人と連絡を取るツールもあるので、助かっています。
ーー訪問看護の仕事でやりがいを感じるのはどんなときですか?
利用者さまのご自宅で、アセスメントして対応するのが、看護師としてやりがいを感じますね。病院では、患者さまは病気を治すためにお金を払って治療に来られます。患者さまのご希望に基づいて治療の方針を考え、手術や薬の服用のタイミングを決めていくんです。しかし、訪問看護を受けられる利用者さまは「病気があるけれど、家で過ごしたい」という方がほとんどなので、利用者さま一人ひとりの状態に合わせて、その場で自分がすべきことを考えなければなりません。ほかの看護師や医師などに相談して意見を聞くこともあります。その場での対応は難しいのですが、訪問看護の面白いところでもあると思いますね。
昔、利用者さまに糖尿病だけど甘いものがお好きな方がいらっしゃって、訪問に伺った際、「甘いものを食べすぎてしまった」と相談されたことがあります。そこで私は、利用者さまに高血糖の症状が出ていないかなど、チェックすべきこと考えて対応しました。状況に応じて的確に対応できたことは、やりがいを感じる経験でした。
また、利用者さまから感謝の言葉をかけていただいたときも、やりがいを感じますね。「ありがとう、ありがとう。」「あなた達のお陰で、病院に行かずに済んだ」「ずっと家で暮らしたいという願いを叶えてくれてありがとう」などと仰っていただいたこともあります。訪問看護師になってよかったと思える瞬間ですね。
ーー訪問看護師の仕事で、難しいことや大変さを感じることはありますか?
時間の管理が難しいと感じます。訪問看護は、1日の中で複数件を回るため、30分あるならば、その時間内でケアしなければなりません。やるべきことを整理して、優先順位が高いことはその場で済ませ、低いことは次回に回したり、場合によっては次の利用者さまの時間を調整させてもらったりしますね。どうしても時間がおして、次の利用者さまのもとへ行けないときは、ほかのスタッフに緊急で代理をお願いすることもあります。そんなときも、スタッフは迷惑がらずに「この前変わってもらったから、やります!」と積極的に引き受けてくれますね。スタッフ同士はお互いにサポートしあえる関係で、これまでたくさん助けられました。
ーー訪問看護師として?切にしていることを教えてください。
一番は、訪問看護師も「看護師」であることを忘れないことです。利用者さまの生活を優先してケアするのは重要なことですが、健康に害がありそうな場合にはすぐに先輩や医師に対応してもらうようにしています。
次に大切にしているのは、利用者さまとの関係性づくりです。パーソナルスペースに入られることは、利用者さまにとってストレスになるので、信頼関係を築いてそのストレスを減らすことが重要だと考えています。そのため、仕草や言葉遣いには気を使い、自分が利用者さまの娘や孫になったつもりで接することを意識しています。家族の一員のような存在になれれば、利用者さまにもストレスを感じずに過ごしてもらえると考えています。そんななか、「あなたに会うのが楽しみで、生きがいです」と利用者さまに声をかけてもらえたときは、訪問看護師の仕事の醍醐味を感じましたね。
ーー現在は主任業務もされていますが、今後の目標はありますか?
現在、ベストリハでは、就職するための条件として3年以上の臨床経験が必須なので、今後は未経験の新卒も採用できる仕組みを作りたいと考えています。これから訪問看護師の需要は増えていくと思うので、一緒に働く仲間を増やしたいです。「看護師として働いているけど、悩みがある」「訪問看護に興味はあるけど、転職は迷う」という方も多くいらっしゃると思うので、少しでもそういった方の力になれるよう役立つ情報を発信していきたいです。
ーー訪問看護に興味があるけど、迷っているという看護師へ??お願いします。
私自身も、介護施設にいた1年前までは、訪問看護の仕事が自分にできるのか悩んでいました。しかし、入ってみると意外とすぐに慣れて、業務をこなすことができました。
ベストリハでも、初めは私と同じように不安を抱えながら入職する方も少なくありません。しかし、同じ資格を持って働く看護師が周りにいて、相談できる体制が整っているので心配する必要はないと思いますね。心配なことがあれば、積極的に自分から相談して解決していってほしいです。
まずは、一歩踏み出して、実際にやってみるのが大事なのではないでしょうか。「自分にもできる」という自信を持って、挑戦してほしいです。
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