「私向いてないかも…」どんな分野で活躍していても、誰しも一度はこんな風に感じたことがあると思います。
今回は、私が手術室看護師は向いてないかもと感じた瞬間についてです。
「オペナースってことは血とか平気なんだ?」
これ、よく聞かれますが実際はそうでもないことも。
外科医にも同じことが言えると思いますが、手術では平気でも、普段はちょっと指を切っただけで大騒ぎする医師や看護師は意外と多いのではないでしょうか。
私たちは、手術として想定された出血や処置に対してはあまり動揺することはありません。しかし、想定外の事態も多々あります。特に介助をしていると、看護師である私たちが思う方法やアプローチ、テンポで執刀医が手術を進めていくとは限りません。
車でいうと完全に助手席、もしくは後部座席に座ることになります。看護師の経験値で執刀医の腕ややり方に合わせられるかが変わってきますが、やはり合う合わないがあります。
介助をしていると、結果的に「気持ちが悪くなる=酔ってしまう」ことがあるのです。特に近年では、内視鏡などの鏡視下手術が増えたためカメラワークで酔ってしまうことも。
ひどいと術中に気絶してしまいそうになったり、手術の介助が継続できなくなってしまったりします。私、向いてないなと思う理由の一つです。
手術では、実はそれぞれ独特の匂いがあります。電気メスが組織を焼く匂い、血液の匂い、骨片の削りカスの匂い、羊水の匂い、壊死組織の匂い、腸管の匂い(便や消化液)、薬剤の匂いなどです。
マスクをしているのでダイレクトではないですが、部屋中に匂いは充満します。特に出血が多くなると血生臭く、壊死組織が腸管に近ければ悪臭に。悪阻ならまず耐えられないでしょう。
人にはどうしても無理な匂いがあります。仕方ないことではありますが、その場合は他のスタッフにお願いするしかありません。
緊張したり、細かい作業をしたりすると手が震えてしまうという人がいます。震えにくい人もいるのですが、震えやすい人や緊張しやすい人は悩んでしまうことがあると思います。
手術の介助は震えていると難しいのです。ステントグラフトなどではガイドワイヤーが抜けてしまったり、跳ねてしまったり、10-0のような小さな針糸は掴めない、もしくは落としやすく紛失してしまうかもしれません。医師に手渡すときも、震えていては受け取りづらくなってしまいます。
人によっては、毎回同じ場面で失敗をしたり、震えてしまったりすることが多いです。何度も繰り返し練習をしたり、両手を使ったり、指示面積を広く取るなどなんとか安定する渡し方を工夫していくことが安全のために必要になります。
手術では本当に小さな針糸を取り扱うことが多々あります。老眼の有無もありますが、近眼や目が疲れていても「あれ?見えない!無くした?!」と不安になることがあります。
針糸の管理だけなら目を離さずに追っていけば無事に後処理までできるのですが、術中は針糸を用意して手渡す他にもやることがたくさん。うっかり針糸に気が付かずに引っかかったり、持針器や針刺しから外してしまったりすることがあります。
身体に残留してしまうと危険なので、手術室看護師なら誰しも青ざめてしまいます。泣いても喚いてもすぐに見つけるしかありません。とはいえ、簡単に手術を止めるわけにはいきません。見つけるのも至難の技なんです。
医師は顕微鏡や拡大鏡を使用しているのでもちろん手元は見えていますが、私たち看護師は管理している器械や範囲が広いため、針糸が見えにくいからといって拡大鏡を付けると逆に介助しづらくなってしまいます。
針糸の取り扱いには、ある程度慣れが必要です。落ち着いて、正確な介助を行うことが求められます。焦っているときほど慎重に器械や針糸を扱い、介助していきます。
私も、初めて冠動脈バイパス吻合の介助をした際は、針糸の取り扱いにくさで苦労しました。医師から針糸を返されても受け取れたか不安で、受け取れても針刺しに刺してきちんと処理できるか不安になりました。
そうすると介助も遅れてしまうし、気付かぬ間に糸は引っ張ってしまうしで私には向いてないなと悩みました。しかしながら、針糸のサンプルを使って術前に小ささに目を慣らしたり、介助や処理の練習をしたりしてなんとか克服してスキル維持をしています。
Writer…suke
Illust…Mana.Ishiguro
Twitter:@mana_utd
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