在宅医療の最前線で活躍する訪問看護師へのインタビューシリーズ。今回は、株式会社スイッチオンサービス 訪問看護ステーションスイッチオン宝塚に勤務する大嶋(おおしま)さんを取材。訪問看護のやりがいや?変さ、思いについて伺いました。
プロフィール

大嶋 佐知様(おおしま さち)さん
株式会社スイッチオンサービス訪問看護ステーションスイッチオン宝塚(兵庫県)勤務。
社会学関係の大学院を卒業後、社会人になるものの、看護師を志し2010に看護系の専門学校へ入学。卒業後、総合病院の結核病棟で2年、神経内科病棟で3年、実家近くの療養病院で2年看護師として勤務し、2020年春に現職に。休日は実家に帰って身体が不自由な父の生活をサポートしている。最近は終業後の時間を有効活用して、楽器を始めようか検討中。
ーー現在の職務内容について教えてください。
エリア内の利用者さま宅を訪問して内服管理や体調管理などのケアを行っています。広いエリアを回るので移動は主に原付です。利用者さまはターミナルの方や、症状の軽い方などさまざまですが、最近はご年配で独居の方が多いです。当ステーションはリハビリ専門スタッフも一緒に働いているため、男性が比較的多く、スタッフの年齢層は大体30~40歳が中心です。事業所の雰囲気としては、とても風通しの良い職場だと思います
ーー一度社会に出たあと、看護師を目指したそうですね。方向転換したきっかけは何ですか?
もともと中学生の頃にも、看護師になりたいという夢があったんです。しかし、大学院では当時興味があった総合政策学を専攻し、卒業後は企業に就職しました。看護師に方向転換したきっかけは、2010年ごろ、父が脳出血で倒れたことです。父は一命は取り留めたものの、右半身不随という後遺症を抱えての生活を余儀なくされました。退院後、自宅に戻ることになったのですが、不自由な体でどのように生活を送っていけば良いか分らず、私も父も主たる介護者の母もとても不安だったんです。そんななか、ケアマネジャーや訪問看護師の方が手厚くケアしてくださって、自宅での生活に徐々に慣れていきました。その経験から、「病院で、家に帰る患者さまをサポートする仕事がしたい」と思うようになり、看護師を目指しました。
看護師になろうと決めた年、看護系の専門学校に入学して2013年に卒業し、看護師免許を取得しました。その後は総合病院の結核病棟に2年、神経内科病棟に3年勤務し、実家近くの療養病院に転職してからは2年勤務しました。
ーー看護師として働いたのち、訪問看護師になったのはなぜですか?
やはり在宅での治療にこだわりがあったからです。結核病棟や神経内科病棟でも、退院する患者さまのサポートをしていました。投薬を継続するか、人工呼吸器をつけるかなど、在宅治療に移行することを見越した看護をしていたんです。そこで、入院患者さまの中にも地域の応援があったら在宅で治療できる方が多いことに気づき、在宅治療を直接サポートする訪問看護師になりたいと思うようになりました。
転職でスイッチオンサービスを選んだのは、面接で丁寧に話を聞いてくれたからです。訪問看護は経験がなかったので「どれだけ話を聞いてくれるか」「不安を解消してくれるか」というポイントを重視していたんです。話を聞いてもらえたので、安心感がありましたね。
ーー訪問看護師になるにあたって不安はありましたか?
はい。病院では結核病棟や神経内科で働いていたので、看護の知識が専門分野に偏っていたんです。そのため訪問看護では、全身をみてケアするので対応できるか心配でしたね。実際にやってみると、上司や先輩スタッフはそれぞれがいろいろな科を経験しているので、困ったことがあってもその分野に詳しいスタッフに相談して解決することができました。仮に現場で緊急の確認があっても、ステーションにいるスタッフや管理者に電話して聞くこともできます。スタッフは「利用者さまの生活をなんとかしてあげたい」という熱い思いがある人が多いので、相談しやすい環境ですね。また、反対に自分が持っている結核や神経内科の知識をスタッフに還元することもあって、スタッフ間で相互に協力できる体制があると実感できます。
あと原付に乗れるか不安でした(笑)当ステーションでは訪問先によって車と原付、自転車を使い分けているんですが、実は原付に乗ったことがなかったんです。はじめの2週間くらいは乗り方を学べるように、先輩が前をゆっくりと走ってくれていました。
ーー訪問看護のやりがいは何ですか?
訪問看護には制限時間があるので、ケアを続けるにはご家族の方やほかのスタッフの協力が必要ですが、その協力がうまくいって利用者さまの状態が良くなると嬉しいですね。
以前、爪水虫に悩んでいる利用者さまがいらっしゃいました。私は病院勤務時代に「爪を切って足を丁寧に洗い薬を塗れば爪水虫は改善する」と学んでいたので、利用者さまのご家族に実践するよう協力してもらいました。するとご家族の方の協力もあって爪水虫が改善したんです。小さな変化ではありますが症状が改善すると、私のやりがいにもなるし、ご家族の方のやりがいにもつながると思うんです。心配性の方だと薬を塗りすぎて却って症状が悪化することも考えられます。そういうときに、看護師として適切に助言して症状が改善すれば、ご家族の方も安心して治療することができると思います。
また、そのように一緒に頑張ったなかで利用者さまやご家族の方から「ありがとう」と感謝の言葉をいただけるのもやりがいです。私は感謝の言葉をもらえるのが、自分へのご褒美だと思っています。ご家族も一生懸命にサポートしているのだと思うと、自分もより頑張ろうと思えますね。
ーー訪問看護の?変なところはどこですか?
天候によって移動が大変な日があることですね。原付や自転車で移動する時、夏は暑さや日焼け対策が欠かせませんし、雨の日は雨合羽を着ないといけませんから。
あとオンコール当番の日は大変だと思います。オンコールは病院と違って生活の中で取らないといけないので、鳴る鳴らないに関わらず緊張します。特にターミナルでご自宅で看取られる方などがいらっしゃるとなおさら緊張感が増しますね。ただ、たいていは日中に担当のスタッフがオンコールが鳴らないよう対策してくれているので、ナースコールに比べると鳴る頻度は少ないと思います。また仮にオンコールが鳴っても、よほど緊急でない限りは電話対応だけで済むことがほとんどです。普段からスタッフ間で利用者さまの情報を共有しているので、自分の担当でない利用者さまからの連絡でも、焦らずその方に適した対応ができていますね。オンコールの担当になった次の日は普通に出勤するので、はじめのうちは疲れを感じました。ただそれも1ヶ月ほどで慣れてきて、今では生活に溶け込み「自宅夜勤」と楽に感じられるようになりました。
ーー訪問看護師になる前となった後でギャップはありましたか?
訪問看護師になる前は、訪問は1人でしているというイメージがありました。でも実際は利用者さま一人をスタッフみんなで看る体制なんです。スイッチオンサービスでは訪問回数が多い利用者さまには、担当でないスタッフが対応することがよくあります。そのため、初めてのスタッフでも利用者さま宅に行けるように普段から電子カルテを一覧で見られるようにして、情報を共有しているんです。また、自分が担当の利用者さまのことも、上司や先輩は興味を持って聞いてくれるので気軽に相談できる環境もあります。
ーー訪問看護師として大切にしていることは何ですか?
利用者さまやご家族のお気持ちを第一に考えてケアすることです。病院では治療が主体なので患者さまにさまざまな制約がありますが、訪問看護では利用者さまの生活が主体になります。だから利用者さまやご家族が持っている目標に向かい一緒に努力することが必要なんです。また、利用者さまにはご家族の方だけでなく、隣にお住まいの方やほかのケアスタッフなどとの関係性もあります。利用者さまの置かれた環境を大切に考えながら関わっていくことが重要ですね。
あとは生活を制限しすぎないのも大事です。たとえば、お酒やタバコが状態を悪化させると分かっていても、楽しみで口にしたいとおっしゃる方が多いので、どれくらいまでと目標を立てて利用者さまの意思を尊重するようにしています。
ーーこれから訪問看護師としてどんなことに力を入れていきたいですか?
病院時代は結核や神経内科で、呼吸苦の患者さまを看ることが多かったので、訪問看護でも呼吸器系の専門知識を身に付けたいです。ゆくゆくは呼吸器関係の専門資格を取得したいと考えています。
ーー訪問看護に興味があるけど迷っている看護師へ一言お願いします。
私は訪問看護師になる前、訪問看護の仕事は自分で判断することの繰り返しなので怖いと思っていました。そのせいで訪問看護に興味があっても「看護師になって◯年目だからできない」と自分を制限していたんです。でも実際に訪問看護の世界に飛び込んでみると、先輩スタッフがサポートしてくれたり、見守っていてくれたりする環境で、看護師としての経験が長くなくても入りやすい領域だと思いました。
スイッチオンサービスでは職場見学を実施していて、スタッフと訪問先を回ることもできます。看護師になって1年目や2年目の方でも、訪問看護に興味がある方はぜひ見学に来てみてください。
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