謙虚な姿勢が大切。「利用者様が求めるサポートを提供する訪問看護の仕事が大好きです」訪問看護師インタビュー・佐藤 さやかさん

2020.12.16

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訪問看護の領域で活躍する看護師へのインタビューシリーズ。今回は株式会社グッドライフケア東京 本部に勤務する佐藤 さやか(さとう さやか)さんを取材しました。北海道で育ち、祖父母を訪ねる訪問看護師を間近で見ていたことがきっかけで訪問看護の道へ。2010年から訪問看護師として勤務する佐藤さんに、長く働く秘訣や大変さについてお聞きしました。

プロフィール
佐藤 さやか(さとう さやか)さん

株式会社グッドライフケア東京に勤務。訪問看護歴は11年目。幼少期から北海道の祖父母のもとで育ち、道内の短大を卒業して看護師免許を取得。卒業後は道内の病院に就職し、整形外科・肝臓内科の混合病棟で3年勤務。その後、上京をきっかけに東京の製薬会社にて治験業務を5年経験し、2010年より現職。

祖父母を訪ねる看護師の存在を知り、訪問看護の道へ

ーー現在の職務内容について教えてください。

株式会社グッドライフケア東京に勤務して11年目になります。現在は訪問とエリアリーダーの役割が主な業務です。本部は江東区にありますが、エリアリーダーとして中央区や文京区、千代田区などのサテライト事業所を回って全体を把握しています。業務内容としては、スタッフのシフト調整などが中心です。エリアリーダーの業務もあるため、1日の訪問件数は5~6件ほど。近隣であれば自転車で訪問し、遠方のエリアの場合は電車を利用しています。利用者さまが抱える症状は、内科的な疾患、脳梗塞後の麻痺、難病、末期がんと幅広くいますね。また、サポートの内容もさまざまで、薬の管理をするのは難しいけれど生活は一通りできる方もいれば、寝たきりで生活のサポートを求めている方もいらっしゃいます。

ーー訪問看護師になりたいと思ったきっかけは何ですか?

私は北海道の祖父母のもとで育ったんですが、そこに訪問看護師が来ていたのがきっかけです。子どもの頃は「何をしているんだろう?」としか思っていませんでしたが、しばらくして訪問看護師の存在を知り、自分もなりたいと思うようになりました。訪問看護師になるためには病棟での勤務経験があったほうが良いと思い、卒業後は北海道内の病院に就職をしました。

3年後、東京に上京するにあたって訪問看護の道に進むことも考えましたが、まだ経験が浅くハードルが高いように感じたんです。そこで、当時興味があった治験の仕事に就きたいと思い、製薬会社に入りました。治験業務は外来の病院に訪問することが多く、医師や看護師と話をするための医療知識が必要だったり、患者さまの自宅での様子や過ごし方を知れたりと、訪問看護に通じるところがあったと思います。

ーー訪問看護師になる前に不安はありましたか?

ありました。私が看護学校に通っていたときは、まだ在宅看護のカリキュラムがなかったのでイメージが掴めず、漠然とした不安がありましたね。祖父母のもとを訪問していた看護師の印象は残っていましたが、実際に自分が働くとなるとどのように仕事をするのか想像できませんでした。

不安を払拭するために、在宅看護についての本やエッセイを読みました。しかし、実際に訪問看護を経験してみると、基礎的な看護の知識があれば心配することはなかったです。分からないことや難しい知識などは、その都度調べて解決するように心がければ、不安に感じることはないと思います。

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■利用者さまの表情や様子を敏感に感じ取る大切さ

ーー訪問看護のやりがいを感じるのはどんなときですか?
利用者さまから「あなたに来てもらえてうれしい」「来てもらっているときが癒やしの時間」などの言葉をかけてもらうと、訪問看護をしていて良かったと思えます。また、利用者さまと信頼関係が築けて、表情や様子から小さな変化を感じ取れるようになると、やりがいを感じますね。利用者さまの様子を見て「早めに病院に行きましょう」と声をかけることで、病気の早期対処や発見に繋がることもあります。

ほかにも、利用者さまの生活の一部をサポートするなかで、訪問看護師としての役割の必要性を実感できますね。たとえば、末期がんで、寝たきりのため一人で動けない方の場合も、こちらがサポートすれば、体を起こして足湯をしたり、一緒に会話を楽しんだりできます。利用者さまによって求めているサポートは違うので、一人ひとりの状態やお気持ちに合わせたケアができると、訪問看護をしていて良かったなと思いますね。

ーー訪問看護師の大変なところは何ですか?

雨の日の移動や対応が大変です。自転車のときはカッパを着て訪問するので、脱ぎ着できる場所がないとビショビショになることもあります。さらに、雨の日は視界が悪くなるので、道に迷うといつも以上に困ってしまいますね。また、雨の日は「体が痛い」といった体調の悪さを訴える利用者さまが増えます。普段外で歩くリハビリをしている方には別のメニューを用意する必要もあり、利用者様の状態に合わせて対策を考えないといけません。

利用者さまお一人に対する訪問時間は1時間ですが、意外と時間が足りなくて大変なときもありますね。訪問時間内に利用者さまの状況把握から必要な生活支援、さらに次回の訪問までに必要な準備や確認まで、やることがたくさんあります。一通りのことを終えたあと、ケアマネジャーや関係各所、利用者さまの家族への連絡も行いますね。経験を重ねるごとに細かいことに気づけるようになるので、時間が足りないと思うことが多いです。

ーー訪問看護師として大切にしていることは何ですか?

利用者さまのペースに合わせることを大切にしています。病院と違って、利用者さまのテリトリーである自宅に訪問するので、失礼のないように、謙虚な気持ちを心がけていますね。たとえば、洗面所を借りるときに「洗面所はどちらにありますか?」「お借りしてもよろしいですか?」と確認するようにしています。何度か訪問をすると慣れてくる部分もありますが、それでも基本的には「失礼いたします」という謙虚な姿勢を大切にしています。
また、外に出られない利用者さまが多いので、季節感が伝わるようなお声がけを意識していますね。「桜が咲き始めましたよ」「キンモクセイの香りがしますよ」など、自宅の中では感じられない情報を伝えています。

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■利用者さまのために何ができるかを考えたい

ーー訪問看護師を長く続ける秘訣はありますか?

長く働き続けるためには、職場の人間関係が良好なことが1番大事だと思います。お互いに相手の話を聞く姿勢を大切にすることが、良い人間関係を築く秘訣かもしれません。当社の職場では、相手の話を聞いてから自分の意見を述べる流れができているので、スタッフ同士の話合いもスムーズだと思います。

また、働きやすさが改善されているのも良いと感じますね。入職した当時は、会社の規模はまだ小さかったのですが、現在はサテライト事業所が増えて規模もだんだんと大きくなっています。事業が拡大するにあたって、会社側がスタッフの意見もどんどん取り入れてくれて、良い環境に変わってきています。特にスタッフが希望する働き方やライフスタイルに合わせて働けるのが良いところです。私も出産や育児と両立するために、産休中に配置換えをしてもらったり、時短勤務をさせてもらったりした経験がありますよ。

ーー今後の目標などはありますか?

利用者さまのためにできることは何かを考えて、実行していきたいです。今は東京に勤めていますが、北海道で過ごしていたこともあるので、都会でも田舎でも住んでいる地域に関わらず、利用者さまが求めるサポートを提供できたら良いなと思います。もし北海道に事業所ができたら、地元で訪問看護をしたいと考えるときもありますね。

ーー訪問看護に興味があるけど迷っているナースへ一言お願いします。

看護学校で習うような一般的な看護の知識をしっかり身につけていれば、訪問看護師として働けます。幅広い知識が必要ではありますが、基礎がしっかりしていれば訪問看護をしながら学んでいけますよ。また、在宅医療に携わるにあたって大切なことは、「利用者さまに寄り添って、自分に何ができるか」を考えることだと思います。そのためには、相手の気持ちを汲み取ってコミュニケーションを取ったり、いつもと違う様子や雰囲気に気づけたりできると良いですね。あまり難しく考えずに、ぜひ訪問看護の道に足を踏み入れてほしいと思います。

ーーありがとうございました。

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グッドライフケア訪問看護ステーション千代田

 
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