「訪問看護師になれて幸せです」目指すのは家族の一員のような看護師。訪問看護師インタビュー・平川 梨子さん

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在宅医療の最前線で活躍する訪問看護師へのインタビューシリーズ。今回は、自分の看護観を実践するために訪問看護の道を選んだ平川 梨子(ひらかわ りこ)さんを取材しました。ご利用者様とそのご家族に寄り添うことを大事にしている平川さん。23歳の若さで訪問看護の道を選んだ経緯や、実際に働いてみて感じたことなどをお聞きしました。

プロフィール

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平川 梨子(ひらかわ りこ)さん
東京都にある「株式会社メディセプト いきいきSUN訪問看護リハビリステーション」に勤務する25歳。看護師資格を取得後は、総合病院の循環器内科病棟に2年半勤務。その後、美容クリニックでの経験を経て、23歳のときに現職へ。趣味はダイビング。

※1※2 調査方法:インターネット調査/調査期間:2024年2月7日~2月13日/調査概要:「看護師転職サイト」を対象としたユーザー満足度調査/調査対象:男女、全国、看護師・准看護師資格保有者かつ対象看護師転職サイト利用経験者、20~29歳 107s(※1)、20~34歳 175s(※2)/調査実施:株式会社エクスクリエ/比較対象サービス:「看護師転職サイト」主要10サービス(専用サイトのあるサービスのみ・求人結果の表示ページは除く)

ご利用者様とご家族に関われる環境を求めて、訪問看護の道へ

ーー現在の職務内容について教えてください。

東京都にある「株式会社メディセプト いきいきSUN訪問看護リハビリステーション」に勤務しています。配属先は浅草橋のステーションです。1日に5~7件のお宅に電動自転車で訪問していて、台東区を中心に中央区や荒川区にも行きます。スタッフみんなでご利用者様を把握するためにチーム制をとっているので、基本的には他のスタッフと順番で回っています。でも、急変や看取りなどの大事な場面では、利用者さまのご家族が安心できるようにメイン担当のスタッフが訪問することが多いですね。
私が訪問しているご利用者様は、内科系や循環器系の疾患を抱えている方が多いです。また、私自身が精神科訪問看護に関する資格を取得したので、アルコール依存症などの精神疾患を抱えるご利用者様にも訪問させていただいています。

ーーどうして訪問看護師になろうと思ったのですか?

私は学生時代から「家族の一員のように、安心してもらえる看護師」を目指しており、訪問看護ではそれが実現できると考えたからです。看護学校を卒業後は、総合病院の循環器内科病棟に2年半勤めました。病棟では患者様やご家族とのコミュニケーションを大切にするよう心がけていたんです。でも実際は、業務に追われて患者様とゆっくり話をする時間が確保できませんでした。また、患者様の退院を見送るたびに、「これから回復していく大事な時期に、何も相談に乗れないことが悲しい」と感じるようになったんです。

病院を退職後は、興味があった美容医療に転職したのですが、3ヶ月で退職しました。そのときに再度、自分が何をしたいのかを見つめ直して、目指していた看護師像を思い出したんです。そこで、在宅医療の道を考えるようになり、自宅付近の老人ホームやデイサービス、訪問看護ステーションに見学に行きました。実際にいろいろな場所を見学してみて、老人ホームなどの施設だと関わる相手がご利用者様だけに限られてしまうと感じました。でも、訪問看護であればご利用者様を含めたご家族みなさんと関われることに気づいて、訪問看護師になろうと決めたんです。見学に行ったなかで、今のステーションが一番アットホームな雰囲気を感じて、働いてみたいと思いました。

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訪問看護師はご利用者様やご家族の人生に寄り添うパートナー

ーー訪問看護師になる前に不安はありましたか?

訪問看護師が務まるのは、経験豊富なベテラン看護師というイメージがありました。私が訪問看護の道へ進もうと思ったときは23歳で経験も決して多くなかったので、未熟な自分にできるかどうか不安しかありませんでした。自宅でご利用者様が急変したときに1人で対応しなければならないというプレッシャーも感じていましたね。でも、「自分の看護観を貫きたい」という思いが強かったので、不安はあっても悩むことはなかったです。また、知り合いの看護師は病院勤務をしている人が多いので、「訪問看護の分野に行くなんて度胸があるね」と言われることもありました。でも、かえってそういった反響があったから、前に進もうと思えたところもありますね。

ーー病院勤務と訪問看護でギャップを感じたことはありますか?

たくさんありますよ。特に、働く環境の違いでギャップを感じることが多いですね。病院勤務のときは、夜勤もあって、土日祝日も関係なく働いていました。でも、訪問看護の場合は訪問時間が決まっているので定時に帰れるんですよ。同じ看護師でも働き方がまったく違うことに、最初は衝撃を受けましたね。

ほかにも、職場環境の雰囲気にも違いがあると思います。病院は患者様が近くにいるので、引継ぎや相談をするときも常に緊張感を感じるんです。一方で、訪問看護の場合はステーションにご利用者様がいるわけではないので、スタッフだけの環境という安心感があり落ち着いた気持ちで話し合いができます。移動先で見つけたパンやお菓子をみんなで食べながら相談することもありますね。スタッフ同士で和やかにコミュニケーションをとる時間があるのは、訪問看護ならではですよね。

ーー実際に訪問看護師として働いてみてどうでしたか?

私は訪問看護師になって、自分の看護観に合った看護ができることが何よりの幸せです。訪問看護師は、ご利用者様とご家族の人生に寄り添うパートナーのような存在だと思います。だから、人生の重要な選択に関わる機会もたくさんありますね。その悩みを一緒に抱えて、選択した生涯を支えられるのは訪問看護師の特権だと思っています。とにかく、家族の一員のように、利用者さまの生活に関われることがうれしいですね。

私が訪問することによって、ご利用者様に少しでも「楽しい時間だった」「幸せだった」と感じてもらいたいと思っています。そのために、明るく元気に訪問することや、些細なことにも関わることがモットーです。たとえば、取れたボタンを縫い付けたり、衣替えの手伝いをしたりなど、できることなら何でも。ペットのことで悩んでいるご利用者様がいれば、自分が飼っている猫の話を交えて相談に乗ることもありますね。看護師の仕事とはいえないかもしれませんが、一緒に悩みを共有することで家族のような距離感に近づけるのではないかと思っています。

ご利用者様の気持ちを考えて、思いやりを持つことが大切

ーー訪問看護の大変なところを教えてください。

看取りは精神的に大変です。急変や入院であれば、ご家族のフォローや退院後の支援などできることがたくさんありますが、看取りはそうはいきません。ご利用者様との距離が近い分、悲しいことやつらいことも家族と同じように感じてしまいますね。一緒に過ごした思い出や、訪問サービスが終わってしまう現実に寂しさを感じます。でも、ご利用者様の望みを叶えて、ご家族も納得したうえで最期を迎えるときに、ご家族と一緒に看取れることは幸せなことでもあるんですよ。ただ、そうは思っても、引きずるとどんどん気持ちが落ち込んでしまうんですよね。経験を積めば慣れてくるかもしれませんが、慣れたくないと思う部分もありますし、気持ちの切り替えが大変です。私の場合は看取りをした週末に、趣味のダイビングに出かけるようにしています。自分に合った方法で気持ちを前向きにすることが大事ですね。

ーー訪問看護師として大切にしていることは何ですか?

一番大切なのは思いやりを持つことだと思います。「この疾患があるご利用者様にはこのケアをしよう」という決まった考えではなく、まず「ご利用者様本人がどう生きていきたいのか」という気持ちに寄り添って、家族関係や生活環境など全体的に考察してケアするように心がけていますね。

胆のう炎を繰り返している90代後半のご利用者様がいたのですが、その方は石が胆のうから大腸に移動するという特殊な病気にかかってしまいました。一緒に住んでいる娘さんが、必死に介護や病院を探しましたが、なかなか治療できるところが見つからなくて。ご利用者様ご本人は痛みでつらそうな様子だったので、看取りに向けて薬を使う選択肢もありました。でも、ご利用者様が「生きたい」と意思をはっきり伝える瞬間があって、結局薬は使いませんでした。大腸へ移動した胆石の治療法が見つからず、先生と娘さんと「奇跡が起きて、排便と一緒に出てきてくれたらいいのに」とよく話していたました。そんな時、ご本人がこれまでに無い肛門痛を訴え診察したところ石を発見。全て無事に除去でき、食事も再開できると考えていました。ですがそれ以降も体調は安定せず、元旦の日に腸管穿孔の疑いで急変しご逝去されてしまいました。ご家族の絆が強く、娘さんの「生きて欲しい」という思いにご本人様が応えるように、「まだ死んでないよ」とご本人が仰る日々を過ごしていました。

突然のお看取りでしたが、本来であればずっと前に体力は尽きていてもおかしくない状態ではありました。これもまた、娘さんのために年越しまで頑張ってくださったのかなと思うと、感慨深いものがあります。死亡確認後、「 連絡するのはオンコールではなく平川さんに連絡しましょう」と言っていただけ、私がエンゼルケアに駆けつけることが出来ました。それも全て、医者・看護師・娘さんの信頼関係がとても良いものだったからだと思っています。ご本人も穏やかな表情で、これまでを振り返りながら、幸せに包まれたお看取りとなりました。

家族の絆はもちろん、医療従事者の関わり方でこんなに穏やかな看取りに出来るのだととても幸せに感じました。これからも元旦が来るたび、きっと私はこのご利用者様の事を思い出すと思います。これからも全ての利用者様を看取りまで幸せにしてあげたいと強く思うようになりました。

私にできることは、まず生きようと頑張っているご利用者様や、支えるご家族の思いを受け止めることだと思っています。さらに、分からないことは積極的に勉強して、ご利用者様やご家族からの質問に答えられることを増やしたいです。

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訪問看護だからこそ学べることがたくさんある

ーーこれからどう成長していきたいと考えていますか?

最終的にどうなりたいかまでは考えていませんが、今はたくさんのことを勉強して吸収したいです。今のステーションにはさまざまな知識や経験を持ったスタッフがいるので、いろんな方に話を聞くようにしています。たとえば、先輩からは今までの看護経験について、医療事務の担当者やケアマネジャーには保険のサービスに関することを、PTやOT、STにはリハビリについて教えてもらっています。また、社長には人との関わり方やマナーなどを教わっています。ほかの医療機関では知ることができなかった知識を、たくさん学べる良い環境ですね。いつか尊敬する所長のような訪問看護師になりたいと思っています。

ーー訪問看護に興味があるけど迷っている方に向けてメッセージをお願いします。

まず勇気をもって、ステーションを見学してほしいです。訪問看護師の方たちはとても優しいので、不安なことや迷っていることがあれば丁寧に答えてくれると思いますよ。実習で訪問看護を経験したことがある看護師は多いと思いますが、そこで見たことは訪問看護のほんの一部です。私自身も、実習のときのイメージが強く残っていましたが、実際に見学に行ったら、イメージが変わっていろんな不安が払拭されました。

看護の知識については、病院で働いているときより学ぶ意欲が湧いて、仕事へのやりがいにつながっています。病院だと同じような疾患の患者様が多いので、知識が深まってもそこから広がることがなかったんです。でも、訪問看護ではさまざまな知識と経験を持ったスタッフがいるので、話を聞いているだけで知識や興味の幅が広がります。私自身も刺激を受けて、「もっと深く学びたい」と思うようになりました。これから在宅医療の需要が高まると思うので、若くても訪問看護の世界に挑戦してほしいですね。訪問看護の魅力に気づけたら、毎日仕事で幸せを得られます!

ーーありがとうございました。

 
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