ズルカンの『看護師メシ』
2021.1.14
もう一度会って、お礼を言いたい人がいる。
病院で働いていると、様々な別れに出会うが、
「もう生涯、会えないだろう別れ」に遭遇した。
小さい頃からお世話になっていたおばちゃんが、闘病生活の末、遠くにいってしまった。
きっといろんな悩みがあっただろうが、私は、おばちゃんが大事にしていた苗を全部切ってから引っ越しした、と聞いて胸が痛かった。
季節の花が植えてあって、いつもいい匂いがして、カラオケで発表すると張り切って練習している曲が少し聞こえてきたりして。
ご主人や子供との思い入れのあった家を、去るというのは辛かっただろうな・・と、何もなくなった庭を見つめながら思った。
けど、先日実家に帰ると何もない庭に皇帝ダリアが背が高く咲いているのを見て、おばちゃんの面影を見つけたような気がした。
当たり前にいてくれていた人との別れが、いつ来るかわからない。
もっと感謝を伝えたかったと思うと同時に、皇帝ダリアの花言葉も感謝だったな・・
と私はぼんやり思い出していた。
中山有香里
【『看護師メシ』バックナンバー】
『看護師メシ』vol.3 ~休憩室を襲う「カップ焼きそば」~
『看護師メシ』vol.4 ~特別感がある「パン屋さんのパン」~
『看護師メシ』vol.10 ~折れた心を癒やした「天津飯」~
『看護師メシ』vol.11 ~無言のコミュニケーション「隠しオヤツ」~
『看護師メシ』vol.12 ~後輩の差し入れ「アップルパイ」~
『看護師メシ』vol.13 ~職員食堂の人間模様と「カツ丼」~
『看護師メシ』vol.14 ~落ち込む新人時代と「炊き込みご飯」~
『看護師メシ』vol.15 ~かたくなな患者さんの「娘さんのお弁当」~
【プロフィール】
中山有香里
看護師?イラストレーター。著書に『ズルいくらいに1年目を乗り切る看護技術『悲しいくらい人に聞けない看護技術』(メディカ出版)
Twitter:@musashi_0303
Instagram:@zurukan.yukari33
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