『医療・看護現場で働く方に、いつもとは違った視点でその分野を研究している人を知ってもらいたい』という想いで始まったこちらの大学の研究室紹介。
第4回目は愛知県立大学看護学部小児看護学研究室 教授の服部淳子先生にお伺いしました。
主に『子どもに対するプレパレーション』について研究されています。
2000年以降,小児看護領域では子どもの権利を擁護する方法の1つとして,プレパレーションが広く行われるようになりました。プレパレーションは「心理的準備」と訳され,治療や検査を受ける子どもに対して発達段階に応じた方法で説明を行い,恐怖や不安を最小限にして子どもの対処能力を引き出すものです。これまでに入院に必要なバイタルサイン測定やレントゲン検査などの12のプレパレーション・ツールを開発し,効果を検証し,その有効性を確認しました。これらのツールは,無料ダウンロードシステムを構築した研究サイトから多くの看護師さんや看護学生さんに提供しています。
現在は子どもに対するプレパレーションは行われるようになってきましたが,医療者主導の画一的なプレパレーションが多く,子ども自ら質問し,質問に答えるといった子ども主導のプレパレーションではありません。これから子ども主導のプレパレーションを実施するためには,子どもが自分の健康状態に関心を持ち,健康管理や行動ができるようになること,つまりは主体的にヘルスケアに取り組めることが必須であると考えています。そのために自分自身の病気や成長・発達などを記録し,一貫して管理できる媒体が必要であると考え,「子ども健康手帳」を開発しました。
入院に必要なプレパレーション・ツールは,小児看護専門家会議にて内容を検討し,作成しました。また,子どもが楽しく取り組めるように遊び要素を含めています。さらに,子どもが検査や処置を受けた頑張りを可視化できるようにしています。子どもが親しみやすいようデザイナーに依頼し,クオリティの高いツールをめざして作成しました。
プレパレーション・ツールの効果は,サーモグラフィカメラを用いた鼻部表面温度によるストレス状態の評価や,行動観察による行動評価から検証しました.このように生理学指標や行動指標などの客観的指標を用い,効果を検証したツールを開発しています。
子ども健康手帳も同様に,保育士,幼稚園教諭の意見を踏まえ,小児看護専門家会議にて内容を検討し,デザイナーとともに開発しました。子ども健康手帳には,健康の維持・増進,疾病予防などに関する教育内容や,成長・発達歴や既往歴,予防接種歴などの内容を含めました.乳幼児期の健康管理は保護者主体であっても,幼児期から思春期後期まで子ども自身が記載して活用できるよう工夫し,自分の健康に興味が持てるようにしました。実際に保育園や幼稚園で活用してもらい,養育者に質問紙調査を行い,効果を検証しました。
今後は子ども主導のプレパレーションの実現を目指し,子どもが主体的にヘルスケアに取り組めるような教育システムを構築することが必要です。子どものヘルスケア教育の第一歩は幼児期であると考えていますが,ほとんどの幼児は,保育園・幼稚園に通園しているものの,ヘルスケア教育は養育者にゆだねられている現状があります。幼児期に多く実施される予防接種や医療機関の受診の説明も,養育者が実施しており,困難を抱えていることが明らかになっています。
そこで,これからのプレパレーションは「子どもの健康問題によって引き起こされる様々な心理的混乱に対し,認知発達に応じた説明や対応を行い,子どもの対処能力を引き出して自己効力感を高めるよう援助し,主体的にヘルスケアできるように促すこと」と定義して子ども健康手帳を活用した幼児期の健康教育プログラムを開発し,子どもが主体的にヘルスケアに取り組めるような研究を行っていきたいと考えています。
服部先生、お話ありがとうございました!
最後に、愛知県立大学看護学部 小児看護学研究室の基本情報を記載します。
愛知県立大学
看護学部 小児看護学研究室
https://www.nrs.aichi-pu.ac.jp/labo03/
服部先生の研究サイト
記事の制作について
「レバウェル看護 看護師さん向けお役立ち情報」では、
記事の制作・公開にあたってのポリシーを定めています。
詳細は下記よりご確認いただけます。
キャリア
働く場所
選考対策
資格
その他
読みもの
連載