東邦大学看護学部 がん看護学研究室 村上好恵先生にインタビューしました!

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※1※2 調査方法:インターネット調査/調査期間:2024年2月7日~2月13日/調査概要:「看護師転職サイト」を対象としたユーザー満足度調査/調査対象:男女、全国、看護師・准看護師資格保有者かつ対象看護師転職サイト利用経験者、20~29歳 107s(※1)、20~34歳 175s(※2)/調査実施:株式会社エクスクリエ/比較対象サービス:「看護師転職サイト」主要10サービス(専用サイトのあるサービスのみ・求人結果の表示ページは除く)

◆はじめに

『医療・看護現場で働く方に、いつもとは違った視点でその分野を研究している人を知ってもらいたい』という想いで始まったこちらの大学の研究室紹介。

第5回目は東邦大学看護学部がん看護学研究室 教授の村上好恵先生にお伺いしました。

主に『家族性腫瘍の患者とその家族をサポートするケアについて』研究されています。

研究の概要について教えてください

家族性腫瘍(遺伝性腫瘍)は、若年で発症しやすい、多臓器にわたり同時性・異時性にがんを発症する、という特徴があるため、患者は生涯にわたり医療機関への受診が必要となります。加えて、その原因となる遺伝子変異を受け継ぐ可能性のある次世代に対して検診計画をたてて、がんの早期発見、早期治療につながる受診行動がとれるよう支援する必要があります。このような家族性腫瘍(遺伝性腫瘍)の患者および家族に提供される情報がもたらす精神的な影響について明らかにし、実際のサポートに役立てています。さらに、遺伝性腫瘍も含めたゲノム情報に対する遺伝リテラシー教育も視野に入れて活動しています。

研究の詳細について教えてください

欧米では1990年代に入り、乳がんのハイリスク者を対象に遺伝情報がもたらす心理・社会的影響と遺伝カウンセリングへの関心が高まり、遺伝子検査後の心理・社会的問題について1996年頃から報告が散見されるようになりました。これらの報告では、遺伝子検査の結果開示は、重篤な精神的衝撃をもたらすものではないとされています。

わが国の患者と家族を対象とした研究を紹介します。対象は、リンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸がん)とよばれる代表的な遺伝性大腸がんに関連する遺伝子検査を受けた患者および未発症家系員です。リンチ症候群は、ミスマッチ修復遺伝子(MLH1、MSH2、MSH6など)の生殖細胞系列変異を原因とする常染色体優性遺伝形式のがん症候群であり、発生するがん種は大腸がんのみならず、子宮内膜がん、卵巣がん、胃がん、小腸がん、肝胆道がん、上部尿路がん、脳腫瘍など多岐にわたります。画像検査や一般臨床検査で本症候群に特異的なものはなく、確定診断のための検査としては、原因遺伝子の生殖細胞系列の変異を調べる遺伝子診断が必要です。リンチ症候群と診断された患者やそのリスクがある家族に対しては、がんを早期に発見するために好発部位の定期的な検診が推奨されています。

研究では、リンチ症候群に関連する遺伝カウンセリングと遺伝子検査を受けたがん患者と未発症家系員を対象に、遺伝子検査の結果開示1ヵ月後、12ヵ月後における精神的苦痛および罪責感について前向きコホート調査を実施しました。12ヵ月後調査を完遂した30名において、結果開示1ヵ月後、12ヵ月後に大うつ病や外傷後ストレス障害(PTSD)といった重篤な精神的衝撃は見られませんでした。結果開示後の精神的苦痛は、がん告知後の頻度に比べて断然低く、実際に「遺伝子検査で変異が明らかになったことで、今後どのように検診を受けていけばよいのか人生設計が明確になった」という声もきかれ、情報をポジティブに受け止めている人もいました。

しかし、大うつ病あるいは小うつ病の既往歴という精神的な脆弱性をもっていた場合に、軽度ですが精神的苦痛が生じることが明らかとなりました。また、遺伝性疾患に特徴的な心理反応として報告されている罪責感(guilt feeling)が、1ヵ月後と12ヵ月後にもみられました。罪責感を抱いていた母親の1人は、子供が自身の変異を受け継いでいるか否か確定していないにも関わらず「子供の将来を考えると申し訳ない」と罪責感を抱いていました。一方で、遺伝子変異を受け継いでいないことが明らかとなった未発症者が、すでにがんを発症している親族に対して、「自分だけ健康で申し訳ない」というサバイバーズ・ギルト(survivor’s guilt)とよばれる罪責感を抱いていました。この研究によって、わが国においても欧米の報告と同様に、遺伝子検査の結果説明は重篤な精神的衝撃をもたらすものではないことが明らかとなりました。しかし、軽度であってもさまざまな反応が見られたため、初回遺伝カウンセリング時に、対象者のがん体験や大うつ病あるいは小うつ病の既往について確認し、遺伝に関する情報を提供することによる精神的影響を予測しながら支援しています。

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今後の研究の展望を教えてください

現在、わが国のがん対策は、第3期がん対策推進基本計画(平成30年3月9日閣議決定)に基づきすすめられています。特に、がんゲノム医療の充実が掲げられたことを受けて、がん遺伝子パネル検査が行われています。がん遺伝子パネル検査は、標準治療の終了後にさらなる治療の可能性を求めて行うことを目的とした検査です。この検査では、多数の遺伝子を網羅的に解析するため、同時に遺伝性腫瘍に関連する遺伝子が明らかになることもあります(二次的所見)。その際に、患者や家族とともに医療者も予期せぬ結果に驚き、対応に苦慮していることが報告されています。この理由として、これまで遺伝性腫瘍の患者や家族への支援に携わっていたのが、一部の医療者だったこともあげられます。しかし、今後ますますゲノム情報に基づいて治療が進むことが予想されるため、医療者をはじめ国民全体に対する遺伝リテラシー教育を行っていくことが必要と考えています。

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◆東邦大学看護学部 がん看護学研究室の基本情報

村上先生、お話ありがとうございました!

最後に、東邦大学看護学部 がん看護学研究室の基本情報を記載します。

東邦大学

https://www.toho-u.ac.jp/index.html

がん看護学研究室

https://www.lab.toho-u.ac.jp/nurs/spec_cancer/index.html

 
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