過去の経験を活かす日々。「医療対応もあるので今も看護師として成長できます」施設看護師インタビュー・山下 美侑さん

2021.3.23

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介護の現場で活躍する施設看護師へのインタビューシリーズ。今回は「医療法人財団立川中央病院 介護老人保健施設アルカディア」に勤務する山下 美侑さんを取材。施設看護のやりがいや思い、大変さについて伺いました。

プロフィール

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山下 美侑(やました みゆ)さん
「医療法人財団立川中央病院 介護老人保健施設アルカディア」(東京都)勤務の28歳。看護学校卒業後、都内にある公立病院の循環器・腎センター病棟に就職。6年間勤務し、その後2019年7月に現職。趣味はゴルフ。コロナ禍以前は、仕事終わりや休日に打ちっぱなしやレッスンによく行っていた。

技術が身につくのか心配。働いてみるとスキル面も成長できると感じた

ーー現在の職務内容について教えてください。

当施設の業務は、利用者さまの食事介助や排便コントロールなど介護的なものが多いですね。利用者さまには、体調は優れないけれど病院の入院期限が過ぎてしまったために入所される方もいらっしゃるので、看護師としてはそういった方を看ることが中心になります。病院ではオムツ交換や陰部洗浄、入浴介助などが看護師の仕事ですが、施設では介護士が行ってくれるので大変だと感じるほどの忙しさではありません。また、看取りをすることもありますね。当施設の利用者さまは各フロア約50名で、3フロアで合計約150名いらっしゃいます。各フロアを看護師2~4人で対応しています。私が担当しているのは医療依存度が高い方が多いフロアで、経管栄養や胃ろうをしている方、ストーマをつけている方などの対応をしていますね。また、当施設には夜勤もあり、夜勤中は基本的に全フロアを担当することになります。ただ、利用者さま150名全員の対応をするわけではなく、事前に具合の悪い方をピックアップして、大体10名ほどを担当しますね。

ーー施設看護師になるまでの経歴を教えて下さい。

看護学校卒業後は、公立病院の循環器・腎センター病棟に就職しました。患者さまは心不全や腎不全の方が中心でしたが、対応する疾患の種類は幅広く、実質は総合内科のようでした。その後、腎臓病・腹膜透析強化チームや腹膜透析外来を担当し、6年間勤務しましたね。病院は患者さまの入退院が激しく、緊急対応が多くて忙しい職場でした。そのため、知識や経験が得られる反面、仕事を事務的にこなすばかりでやりがいを見つけられなかったんです。そんななか、看護師としての将来に悩んでいた頃に、老健に入所していた私の祖父が亡くなりました。当時、インフルエンザが流行った時期で面会制限があり、施設からは体調の異変に関する連絡も満足にもらえないまま、誤嚥性肺炎で急に亡くなってしまったんです。そこで、自分が病院で得た知識を活かして利用者さまの小さな変化に気づいて対応したいと思うようになり、老健で働くことを決心しました。特養や有料老人ホームには医療から離れてしまうイメージがありましたが、老健ならまだ病院と近いかな、と思ったんです。「介護老人保健施設アルカディア」を選んだのは、面接時に医療面の対応が比較的多いと聞いたのと、見学時に職場の雰囲気が良いと感じたからです。

ーー施設看護師になるのに不安はありましたか?

ありました。施設では病院よりも医療対応が少ないので看護師としての技術が培われるのか心配だったんです。そのため、医療対応の多いポジションを志望しました。しかし実際に働いてみると、採血や点滴などをする機会が多く、スキルが落ちるという心配はいらないと感じましたね。さらに介護業務は介護士を中心に行うので、看護師にとって働きやすい職場だと思いました。
また、就職前は施設看護師は年配の看護師が働いているイメージだったので、若手の私がうまく溶け込めるか不安でした。ただ、当施設は、30代が中心で、20歳のスタッフもいたんです。年齢層が同じくらいのスタッフが多いので、安心しましたね。

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施設看護師は時間をかけて丁寧にケアできる

ーー施設看護師のやりがいは何ですか?

利用者さまとゆっくり関わる時間が取れるところです。たとえば口腔ケアだと、病院では時間がないので確認するくらいしかできませんでしたが、施設では一人ひとり歯を磨いてあげられます。そのため歯がなかったり虫歯があったりするのをすぐに発見できますね。また、嚥下障害の方がいれば病院では口で食べなくても生きていけるように点滴などで対応するかと思います。一方、施設では利用者さまの食事の状況を観察してそれぞれに合った対応ができるので、現状9割の方は食事をすることができています。こういった日常的な対応ひとつをとっても時間をかけて丁寧にできるのがやりがいですね。

ーー施設看護師の大変なところはどこですか?

入職して間もない頃は、夜間の急変に対応するのが大変でした。病院では、患者さまが急変しても看護師同士で連携して対応できるよう教育を受けます。特に私は病院勤務の頃、週1~2回ほど急変の対応をしていたので、慣れていました。しかし、看護師と介護士とでは、知識や経験に違いがあり、緊急対応に慣れていない介護士もいるので、利用者さまの急変時に連携するのが難しかったんです。
現在は、なるべく夜間に急変が起きないように工夫しています。日中、利用者さまの具合が少しでも悪ければ検査をしたり、早急に病院に連れて行ったりするんです。そのため、利用者さまの異変を察知することは重要になりますね。異変を察知するのは看護師だけでなく、介護士も小さな変化に気づいてすぐに看護師に相談してくれるので、夜間の急な対応をできるだけ防げています。また、平日の日中は施設に常駐している医師から指示をもらえるので、早期の対応ができ、安心して働けています。

利用者さまの些細な変化に対応するために。相談しやすい雰囲気作りが重要

ーー施設看護師として大切にしていることはなんですか?

スタッフ同士で連携するために、お互いが尊重しあえるようにしています。スタッフはそれぞれ知識や経験が異なりますが、自分と違う意見ややり方を一概に否定するのではなく、お互いの意見を尊重して良好な人間関係を維持することが大切なんです。小さな発見でも「よく気づきましたね」と声がけしたり、私からも介護に関して相談をしたりすることで、相談してもらいやすい雰囲気作りを意識しています。

ーーこれから施設看護師としてどんなことに?を?れていきたいですか?

利用者さまやご家族に信頼される看護師になりたいです。ご家族の来設時には、利用者さまの様子を細かく伝えるのが重要だと思っています。コロナ禍だと直接の面会が難しいですが、ビデオ通話での面会を通して、利用者さまやご家族とのコミュニケーションは取り続けていきたいです。

ーー施設看護に興味がある看護師へ??お願いします。

私は施設看護師になるにあたり、看護師として成長できるか心配でした。しかし施設には医療対応もあるので、経験を活かしてアセスメントができています。疾患の早期発見ができたときには、看護師としての自信にも繋がりますよ。また、施設看護師になってからは時間や心にゆとりが持てるようになりました。病院勤務の頃は朝早くに出勤して、夜遅くまで残業する日々でした。そのため休日も身体を休めることが優先で、自分の時間が持てなかったんです。施設看護師になってからは勤務時間が安定していて、プライベートが充実するようになりました。仕事とプライベートのバランスも取れて、やりがいも持って働ける領域だと思いますよ。

ーーありがとうございました。

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▲休日にゴルフ中の一枚。転職してから新しい趣味を見つけられたことも日々の充実を感じる要因なんだそう。

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介護老人保健施設アルカディア

 
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