
クリティカルケア認定看護師に興味がある看護師の方は多いのではないでしょうか。
ここでは、クリティカルケア認定看護師の役割・仕事内容のほか、資格取得の流れやかかる費用・時間などについて詳しく紹介します。
この記事を最後まで読み終えてもらえれば、クリティカルケア認定看護師について分かり、前向きに取得を検討できるでしょう。
クリティカルケア認定看護師が気になっている方は、ぜひ参考にしてください。
日本クリティカルケア看護学会(JACN)によると、クリティカルケアについて「疾病や外傷、侵襲の大きな手術などで生命の危機に瀕している患者への看護」としています。
ICUやCCU、救命救急センターなど高度急性期の現場で提供されている医療・看護は、クリティカルケア看護と言えるでしょう。
クリティカルケアに関する知識やスキルは、高度急性期病棟だけでなく、急性期の一般病棟や手術室、在宅医療などでも必要とされています。
クリティカルケア認定看護師は元々A課程の「救急看護」「集中ケア」の2つの分野に分かれていましたが、2019年よりB課程の「クリティカルケア認定看護師」に統合されました。
クリティカルケア認定看護師の役割・仕事内容として、下記が挙げられます。
それぞれの役割・仕事内容について詳しくお伝えするので確認してみましょう。
ICUやCCUなどに入院している患者様は、急変リスクが高いですが、自身の不調を周囲に伝えるのが難しいです。
そのため、高度急性期の現場では、患者様の重症化を予防するために正確な知識や判断力が求められます。
クリティカルケア認定看護師は救急看護について専門的に学び、バイタルサイン値や検査データなどから患者様の状態をアセスメントしながら、異常の早期発見・対処に努めます。
高度急性期病棟では重篤な状態にある患者様が多く、生命維持のために人工呼吸器や点滴などきめこまやかな全身管理が行われています。
特に生理機能の回復は、患者様の社会復帰に大きく影響する重要なポイントです。
クリティカルケア認定看護師として培った知識やスキルを活かし、全身管理が行われている患者様の療養生活や治療をサポートします。
ICUやCCUなどに入院する患者様は、下記のようなさまざまな苦痛が生じているものです。
| 苦痛の種類 | 詳細 |
| 身体的苦痛 | 疼痛や呼吸困難感、不眠など |
| 心理的苦痛 | 不安や悲しみ、苛立ち、焦燥感など |
| 社会的苦痛 | 経済基盤や社会的役割の喪失、ご家族の問題など |
| スピリチュアルな苦痛 | 無力感や価値観の変化など |
患者様が感じている苦痛に寄り添い、適切な対応をすることもクリティカルケア認定看護師の大切な役割です。
重篤な状態に陥った患者様の生存率は改善されてきているものの、QOLの向上が難しいのが現状です。
そこで、クリティカルケア認定看護師には、患者様が自立できるように早期リハビリテーションに取り組み、セルフケア能力を高める支援も求められます。
高度急性期の現場で行われるセルフケア支援の例は下記のとおりです。
また、患者様のセルフケア支援では、患者様の意思もしっかり反映した関わりも大切です。
高度急性期の現場では自身の意思を周囲に上手く伝えられない患者様が多いです。
そこで、クリティカルケア認定看護師は、患者様の権利を擁護し、患者様の要望に近い決定ができるように支援します。
また、患者様やご家族の想いを医師に伝え、多職種と連携しながら、患者様・ご家族の希望に添った治療の提供を目指すことも重要です。
クリティカルケア認定看護師になるには、ある程度まとまった費用や時間がかかります。
ここでは、クリティカルケア認定看護師になるのにかかる費用や時間を紹介するのでチェックしてみましょう。
クリティカルケア認定看護師になるには、下記のようなまとまった金額が必要です。
| 項目 | 金額 |
| 教育機関の受験料 | およそ5万円 |
| 教育機関の入学金 | およそ5万円 |
| 教育機関の受講料 | およそ120万円 |
| 認定試験の受験料 | およそ5万円 |
| 認定料 | およそ5万円 |
別途で教材費が数万円ほどかかるほか、遠方の教育機関に通う場合は引っ越し費用や交通費も発生します。
自己資金で費用を工面するのが難しければ、奨学金制度の活用もおすすめです。
クリティカルケア認定看護師になるまでは、およそ2年かかるとされています。
資格取得までのスケジュールは下記のとおりです。
| 時期 | スケジュール内容 |
| 4月上旬 | eーラーニングでの授業が開始される |
| 5~7月 | 講義・演習・科目試験の集合研修を受ける |
| 8月下旬~9月中旬 | 専門科目の臨地実習を受ける |
| 10月上旬~12月上旬 | 特定行為研修の臨地実習を受ける |
| 12月上旬 | 統合演習を受ける |
| 12月下旬 | カリキュラムの修了試験を受ける |
| 翌1月下旬 | 修了式に参加する |
| 10月 | 認定試験を受ける |
| 12月 | 合格判定が通知される |
| 翌々年2月 | 認定証が通知される |
教育機関に通うおよそ10カ月は、一次的に休職や退職が必要となる可能性が高いです。
職場によっては資格取得のために、休職を受け入れてもらえたり、勤務として対応してくれたりすることもあります。
あらかじめ職場の資格取得の支援制度をチェックしておくと良いでしょう。
クリティカルケア認定看護師を取得するには、条件を満たしたうえで、認定審査に合格しなければなりません。
クリティカルケア認定看護師の資格取得の流れは下記のとおりです。
クリティカルケア認定看護師を取得したい方は、スケジュールを組む際の参考にしてみましょう。
クリティカルケア認定看護師になるには、看護師としての実務経験が通算5年以上が必要となります。
また、そのほかにも教育機関を受験するための条件を満たさなければなりません。
日本看護協会の「認定看護師教育機関認定要項」によると、実務研修内容の基準は下記のとおりです。
なお、クリティカルケア部門は、救急・集中治療部門などを指し、手術室やNICUは除きます。
認定看護師を目指せる教育機関は全国にありますが、クリティカルケア認定看護師を目指せる教育機関は全国に3件のみとなります。
日本看護協会の「教育機関別開講状況・定員数一覧(B課程)」によると、2024年次の開講課程数と定員数は下記のとおりです。
| 教育機関 | 都道府県 | 定員数 |
| 日本看護協会看護研修学校 | 東京都 | 30名 |
| 昭和大学 認定看護師教育センター | 東京都 | 16名 |
| 大阪府看護協会認定看護師教育課程 | 大阪府 | 30名 |
いずれも大都市の教育機関であるものの、遠方に住んでいる看護師は一次的な転居も視野に入れましょう。
教育基準カリキュラムは、「共通科目」「専門科目」「実習・演習」の3つに分かれています。
2025年現在では、特定行為研修が組み込まれているB課程のみ選択可能です。
日本看護協会の「認定看護師教育基準カリキュラム(P2)」によると、今日科目一覧は下記のように定められています。
<共通科目:380時間>
| 科目 | 時間数 |
| 臨床病態生理学 | 40時間 |
| 臨床推論 | 45時間 |
| 臨床推論:医療面接 | 15時間 |
| フィジカルアセスメント:基礎・応用 | 各30時間 |
| 臨床薬理学:薬物動態・薬理作用 | 各15時間 |
| 臨床薬理学:薬物治療・管理 | 30時間 |
| 疾病・臨床病態概論 | 40時間 |
| 疾病・臨床病態概論:状況別 | 15時間 |
| 医療安全学:医療倫理・医療安全管理 | 各15時間 |
| チーム医療論(特定行為実践) | 15時間 |
| 特定行為実践 | 15時間 |
| 指導 | 15時間 |
| 相談 | 15時間 |
| 看護管理 | 15時間 |
<専門科目 – 認定看護分野専門科目:180時間>
| 科目 | 時間数 |
| クリティカルケア看護概論 | 15時間 |
| 主要病態とケア | 45時間 |
| 患者及び家族の心理・社会的アセスメント | 15時間 |
| 救急初期対応技術 | 45時間 |
| 合併症及び機能低下の予防技術 | 30時間 |
| 対象に応じた指導・相談技術 | 15時間 |
| クリティカルケアにおけるチーム医療 | 15時間 |
<専門科目 – 特定行為研修区分別科目:99時間>
| 科目 | 時間数 |
| 栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 | 22時間 |
| 呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連 | 39時間 |
| 循環動態に係る薬剤投与関連 | 38時間 |
<演習・実習:165時間>
| 科目 | 時間数 |
| 総合演習 | 15時間 |
| 臨地実習 | 150時間 |
教育機関での学習内容は、「共通科目」「専門科目」「実習・演習」の3つに分かれており、専門科目には特定行為研修も含まれます。
重篤な状態の患者様の看護に必要な知識・スキルを包括的に身につけることができるでしょう。
カリキュラム終了後は、年に1回の認定審査に合格しなければなりません。
自動的に認定審査を受けられるのではなく、WEB申請や認定審査料の振り込みなどが必要となるので注意してください。
クリティカルケア認定看護師の認定試験の内容は、例年下記のとおりです。
| 試験時間 | 100分 |
| 問題数 | 計40問/150点満点 |
| 試験形式 | 四肢択一式のマークシート方式 |
| 会場 | 都道府県ごとに設置された会場 |
認定審査の合格率は公式発表されていないものの、専門的な知識を問われるため、難易度は易しくないことが予想されます。
教育基準カリキュラムに沿った基礎知識を中心に出題されるので、カリキュラムの内容をしっかり学習しましょう。
認定審査に合格した看護師は、認定看護師名簿への登録を済ませてください。
登録が完了した時点で、認定看護師として名乗ることができます。
また、認定看護師は特定行為研修も受けているため、認定看護師と併せて特定看護師と名乗ることも可能です。
クリティカルケア認定看護師は、専門性の高い資格なので、取得することで多くのメリットが期待できます。
クリティカルケア認定看護師になるメリットは下記のとおりです。
それぞれのメリットについて詳しくお伝えするので、どのようなメリットがあるのか確認してみましょう。
認定看護師の教育カリキュラムは、専門的な知識を学べるうえ、実習を通じて看護実践を振り返ることができるのが魅力です。
また、薬剤投与関連や人工呼吸器関連などの特定行為研修も受けるため、高度な医療技術も身に着けられます。
クリティカルケア看護について理解が深まり、自信をもって看護を提供できるでしょう。
ICUや救命救急センターで働いていると、一般病棟に移った患者様の治療や、退院後の日常生活・社会復帰の支援などに目を向ける機会が少ないものです。
クリティカルケア認定看護師は、カリキュラムの中で患者様の救急搬送から社会復帰までの一連の看護について、学びを深めることができます。
回復期を見据えた支援を提供することで、クリティカルケア看護の質の向上が見込めるでしょう。
クリティカルケア認定看護師は、重篤な状態にある患者様の重症化・合併症予防や、早期回復のための看護などについて、一般看護師への指導役も担います。
そのため、看護師長や看護部長といったマネジメント職へのキャリアアップにも向いている資格です。
また、クリティカルケア認定看護師を取得するまでに得た知識やスキルは、ICUや救命救センターだけでなく、ほかの診療科目で活かすことができます。
幅広い職場で活躍できるので、キャリアアップのチャンスが多いと言えるでしょう。
職場によっては認定看護師は資格手当が支給されるため、給与アップが見込めるでしょう。
実際に、日本看護協会の「2022年度 専門看護師・認定看護師に対する 評価・処遇に関する調査(P31)」によると、平均給与が11,191円上がっていると報告されています。
また、認定看護師の処遇改善は下記のとおり
| 評価の内容 | 調査数 | 割合 |
| 基本給が上がる/昇給(給料が上がる) | 380件 | 10.0% |
| 昇格する(等級が上がる) | 179件 | 4.7% |
| 昇進する(職位が上がる) | 194件 | 5.1% |
| 特にない | 3,146件 | 82.7% |
給与が上がったのは全体の10%にとどまるものの、昇給の可能性があるのは嬉しいポイントです。
認定看護師の待遇は職場によって差があるので、資格支援に積極的な職場で働くのも選択肢の一つと言えるでしょう。
クリティカルケア認定看護師をはじめ、認定看護師の資格はメリットが多い一方で、いくつか注意したい点があります。
人によっては「資格の取得や維持が難しい」とミスマッチが生じるかもしれません。
ここでは、クリティカルケア認定看護師を目指す際の注意点について紹介するので、ニーズにマッチした資格であるかチェックしてみましょう。
クリティカルケア認定看護師になるには、少なくとも10カ月は通学が必要となるため、これまで通りの働き方を続けるのが難しいです。
一時的に休職するか、退職を余儀なくされるかは職場の理解度によって異なります。
中には「今の職場で働き続けたいけれど、資格取得への理解が得られない」と退職を選択しなければならないケースもあるでしょう。
クリティカルケア認定看護師をはじめ、認定看護師の取得には時間や費用がかかります。
特に、興味のある認定分野の教育機関が近場にあるとは限らず、転居が必要となる場合も少なくありません。
自己資金で学費や生活費をまかなうのが難しければ、資格支援制度が整った職場への転職も選択肢の一つです。
全ての認定看護分野において、認定看護師は5年ごとに認定更新審査が必要です。
日本看護協会の「2025年度 第24回 認定看護師(CN)認定更新審査 審査・申請の手引き(P4)」によると、認定更新審査を受ける条件を下記のように定めています。
なお、2025年度より2000時間以上の看護実践時間は問われなくなっています。
また、病気などのやむを得ない理由によって認定更新審査を受けるのが難しい場合、認定期間の延長を申請することが可能です。
クリティカルケアについて学べる資格は、認定看護師だけではありません。
ここでは、クリティカルケアを学びたい看護師におすすめの資格をいくつか紹介します。
取得・維持のハードルが低い資格もあるので、自分に合った資格があるか確認してみましょう。
BLSとは、アメリカ心臓協会(AHA)と提携している日本ACLS協会による資格です。
心停止後の救命の基礎として、成人・小児の胸骨圧迫や窒息の解除方法、AEDの使用などについて講習を受けることができます。
| 受講時間 | 1日(6時間程度) |
| 合格基準 | 筆記試験の正解率が84%(21問/25問)以上 (不合格となっても当日1回のみ再試験が受けられる) |
| 受講料 | 18,480円 |
| 有効期限 | 2年 |
BLSは医療従事者に限らず、スポーツインストラクターや保育士など一般市民も受講可能です。
「まずは救急看護師として基礎的なスキルを定着させたい」という看護師に向いているでしょう。
ACLSは、BLS同様に日本ACLS協会で定められた資格で、心停止や心拍再開直後、徐脈/頻拍、脳卒中、および急性冠症候群の認識・治療における技術を身につけることができます。
| 受講時間 | 2日(16時間程度) |
| 合格基準 | 筆記試験の正解率が84%(42問/50問)以上 (不合格となっても当日1回のみ再試験が受けられる) |
| 受講料 | 38,980円 |
| 有効期限 | 2年 |
BLSに比べてより専門性の高い知識・スキルが身につきます。
ただし、ASLSプロバイダーを取得するには、BLSプロバイダー/インストラクター資格保有者でなければ受講できません。
ACLSプロバイダーを取得したい場合、まずはBLSプロバイダー/インストラクターを取得しなければならない点に注意してください。
急性期ケア専門士とは、日本急性期ケア協会(JACA)が定める資格で、急性期ケア・急変対応のスペシャリストです。
看護師として2年以上の実務経験を積めば受験資格が得られ、全国260ヶ所の試験会場でCBT受験ができます。
受験料と登録料でそれぞれ12,100円(税込み)でかかるものの、更新料は原則としてかかりません。
取得ハードルが低いうえ、資格の取得・維持の費用を抑えられるのも魅力です。
ここでは、クリティカルケア認定看護師についてよくある質問を紹介します。
クリティカルケア認定看護師を目指すにあたって、実務経験としてみなされないのは手術室やNICUです。
救急・集中治療部門が実務経験の対象であり、HCUも実務経験としてみなされます。
もしも実務経験を満たしているか不安な場合は、日本看護協会に問い合わせてみると良いでしょう。
認定審査の試験内容は、カリキュラムの内容に沿って出題されます。
そのため、講義の中で使用した資料や参考書を中心に学ぶと良いでしょう。
クリティカルケア認定看護師の認定審査を対象としたテキストや参考書などは市販されていないので要注意です。
クリティカルケア認定看護師は、重症度や緊急度の高い患者様に対して高い水準の看護を提供できるクリティカルケアのスペシャリストです。
クリティカルケアの専門性を高められるほか、キャリアアップや給与アップを目指すことができます。
また、急性期だけでなく回復期まで幅広く学べるため、回復期を見据えた支援が提供できるのも魅力です。
クリティカルケアについて学べる資格は他にもあるので、希望に合った資格の取得を検討してみましょう。
クリティカルケア認定看護師として活躍できる職場を探したいと悩んでいるなら、レバウェル看護がおすすめです。
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