「昔はね」っていわれるけど、昔と今で違うことってなんですか?

2016.5.17

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「昔はこうだったのよ」というベテラン看護師さん、そう話すベテラン看護師さんも「昔は包帯を洗濯して、乾いたら巻いて元の状態にしたのよ」なんていう話を聞いていたかもしれませんね。

ここでご紹介する昔と今の境界線は平成17年2月1日に公布され施行された「医療法施行規則の一部を改正する省令」。

その後にも一部が改定され公布施行されています。
それ以降の昔と今、みなさんと一緒にみていきましょう。

術前準備、剃毛

術前処置の剃毛で苦戦されたベテラン看護師さんもいるのではないでしょうか。

昔は、剃毛には毛に雑菌が繁殖しやすいなとの考えから、手術部位の感染予防、毛が手術の際に妨げにならないようにするといった目的がありました。

しかし、今では剃刀で皮膚を損傷することで、その切傷に細菌が繁殖し、手術部位感染:SSI(surgical site infection)を起こしやすいと言われています。

術前の準備として剃刀を用いた剃毛は行わず、電気クリッパーや除毛剤を用いた除毛を、硬毛が邪魔する以外は行わないとされています。

除毛をした後も、剃毛と同じく皮膚の状態の観察をすることは昔も今も変わりません。

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手術室の手洗い

手術前の手洗いの目的は、手に付着している通過菌をほとんど除去し、皮膚の常在菌を減少させることです。

昔は、硬いブラシで長時間擦り洗っていました。昔の硬いブラシを使った擦り洗いでは、手に傷をつくりそこに雑菌が定着、増殖して感染のリスクを高めるといわれ、今は柔らかいブラシが使用されています。

最近ではブラシは使用しなくても洗いで十分との報告があり、ブラシを使用しない手洗い法を行う施設もあるようです。

そして洗い流す水は、滅菌水と水道水では手指の除菌効果にほとんど差がないことされています。

手洗いと洗い流す水は、「滅菌手洗い」から「清潔な手洗い」と改められたことにより変わりました。水道水を用いるには水道法に基づいた定期的な検査と、蛇口などの清掃を各施設が確実に行うことが前提です。

これまでの滅菌水製造装置を適切に管理しなから滅菌水を使用していくことも可能で、各施設の状況とマニュアルなどで管理されていく必要があります。

消毒方法

手術の後の消毒は、感染を起こさないように昔は手術の翌日から毎日行っていました。

また、シャワーは抜糸されるまでは入れない場合もありました。
最近では特殊な場合を除いては毎日のガーゼ交換、消毒は行われていません。それは、術後に縫合された創は約48時間で上皮化し、バリアーが形成され感染はしにくいからです。

なので、それ以降のドレッシングも基本的には必要なく、シャワー浴も可能となります。しかし患者さまの中には、毎日消毒して感染を起こさないようにして欲しいと考えている方もいると思います。

理解を得られるように説明することが大切です。

病院により違うとは思いますが、昔はアルコール綿は消毒液を継ぎ足したり作り足したりして、必要な分をトレイに取り持って行くことなどがあったようです。

今は作り足しや消毒液の継ぎ足しはせず、素手でつかんで容器内で絞りだしをすることなどもしません。そうすることで、細菌の汚染を受けるといわれます。

今は個包装や使いきりのものがあり、便利になっています。鑷子を用いて取り出すことが理想ですが、手洗いをした清潔な手や手袋で取り出してもよいようです。

尿道留置カテーテル管理

患者さまに尿道留置カテーテルが挿入されていると、昔は挿入日に次回の交換日と膀胱洗浄日などを計画しました。

カテーテルを定期的に交換することがカテーテル尿路感染:CAUTI(Catheter-associated Urinary Tract Infection)予防の目的の1つになっていたからです。

しかし今は、定期的に交換することで予防はできないといわれ、閉塞などがあったときに実施するようになってきています。

また膀胱洗浄は、カテーテルの閉鎖状態を保持することがカテーテルCAUTIの予防では明らかとされ、治療上必要な場合以外は行わないようです。

そして膀胱訓練は、術後や長期などに留置された尿道留置カテーテルの抜去前に行われていました。今では、尿意を阻害したり感染の機会を増やすことなどから行われなくなっています。

おわりに

いかがたっだでしょうか?昔、目的にそって行っていたことも、時代とともに変化してきますね。毎日儀式のように行っていたことが原因で感染のリスクがあがっていたとは、昔は思いませんでしたね。

まだ他にも変わっていることがありますし、これからも変わっていくと思います。新しいことを柔軟に受け入れて患者さまによりよい看護を提供していけるといいですね。

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