
本記事では、光や音、感触を通じて心身の安定を促す環境調整や専門講座を展開する法人と、触れ合いを通じて発達や育児を支援する組織をご紹介します。感覚刺激を用いたリラクゼーションや身体の健やかな成長を支える専門的な知見は、日々の業務で多忙な看護師にとって、対象となる方との信頼関係を築き、ケアの質を高めるための有益な視点となるでしょう。
身体的な触れ合いや適切な環境設定がもたらす安心感は、患者の心理的な安定や穏やかな療養生活を支える大きな力となります。臨床現場での対人援助の専門性をさらに深めたい方や、五感に寄り添う具体的なアプローチを学びたいと考えている看護師の方は、ぜひこれらの活動を参考にしてみてください。
一般社団法人スヌーズレン・ラボは、スヌーズレンの理念を軸として、さまざまな企業や団体との連携により子どもたちの将来に向けた取り組みを推進している法人です。スヌーズレンは、光・音・香り・振動・触覚といった素材を活用して7つの感覚への刺激を行い、well-being の実現を目指す活動で、オランダにおいて重度知的障がいを持つ方々の余暇活動として始まりました。

2010年に前身プロジェクトから活動をスタートし、2022年に一般社団法人化。障がいのある子どもたちや支援を必要とする子どもたちの福祉充実に寄与し、大手企業をはじめとする多様な組織との共創の場として機能しながら、子どもたちにとってより良い環境の創出に貢献しています。
看護の現場では、重い障がいや疾患により言葉での意思疎通が難しい方との関わりに、新たなアプローチを模索している方も多いのではないでしょうか。そのような場面で活用されているのが、スヌーズレンルームのコーディネート事業や専門講座です。
スヌーズレンとは、感覚を優しく刺激する素材を配置した空間で、利用者が自ら好きな感覚を楽しみ、誰からも指示されずに過ごす活動を指します。同法人では、導入目的に応じたコンセプト設計から、対象者の発達段階や感覚特性に合わせた空間プロデュースまで対応し、現場の予算や状況に応じた機材購入相談も実施しています。
施設の課題に合わせた「スヌーズレン・センサリールームの理論講座と個別相談」を 2時間のプログラムとして、オンラインや出張形式で提供。医師や療法士、保育士といった幅広い専門職が参加し、施設ごとの状況に応じたきめ細かな助言を受けられる場となっています。

また、専門的な学びの場として「スヌーズレン・アドバンス講座(スヌーズレン・トレーニング)」を 3日間で提供しています。
1日目は基礎理論や学術的理解に加え、スウェーデンと日本の事例比較から感覚特性への対策を学びます。2日目はアロマセラピーの安全な活用法や、障がい者・高齢者へのアロマタッチ、背中のケアタッチといった実践手法を習得。3日目は機器の特性を体験しながら学び、手作りグッズ制作のワークショップを行います。
この講座は少人数制で、対面参加者にはロゴ入りの修了証が発行されるほか、感覚を楽しむためのランチが提供されるのも特徴です。
看護師の方にとって本サービスを活用するメリットは、感覚刺激を用いた環境調整によって患者の心理的安定を促し、より深いレベルでの援助が可能になる点にあります。言葉を介さないコミュニケーション手法やアロマ、タッチングといった具体的なケア技術の習得により、臨床でのアセスメント能力向上にもつながります。
諸外国の事例や専門的な理論を学ぶことで、対象者の「心地よさ」を軸とした質の高い看護を実践する視点が得られ、対人援助の専門性を深めて現場でのケアの幅を広げることができるでしょう。
NPO法人美えな塾は、妊娠期から産後まで、女性が直面する心身の課題に寄り添うことを目的に、2014年に設立された特定非営利活動法人です。約20年にわたる活動の中で、延べ8万人に骨盤エクササイズを指導してきた経験が背景にあります。

同法人は、妊娠・出産・育児期における心身のサポートとして、相談業務や教育活動、情報発信、普及促進を実施。女性が心身ともに健やかに、出産・育児期を過ごせる社会づくりに寄与することを使命としています。
骨盤ケアをはじめ栄養指導や鍼灸治療、助産ケアといった多分野の専門家と連携し、女性が自分自身の身体について正しい知識を身につけられる学習機会を、日本全国で提供しています。
産婦人科や小児科、地域保健の現場で働く医療従事者の方にとって、赤ちゃんの泣き止みや寝かしつけに悩む保護者へのアドバイスは、日常的かつ重要な課題ではないでしょうか。
同法人では、赤ちゃんの骨格発達に着目し、親子がともに心地よく過ごすための知識を伝えるイベントを自治体の補助金事業として年度ごとに取り組んできました。
たとえば、2025年度に実施した「抱っこと育児」講座では、日常生活における何気ない動作が赤ちゃんの心身に及ぼす影響を体験的に学習。赤ちゃんの発達段階に合わせた抱っこの仕方はもちろん、眠った後にお腹や背中の「スイッチ」を刺激せずに着地させるおろし方、赤ちゃんが安心して深く眠れる寝床作りなど、具体的で実践的な技術を扱った内容です。

また、2024年度に開催した「まんまる抱っこ講座」は、胎児期から小学生までの骨格発達を体系的に学ぶプログラムを提供。胎児のときに丸まっていた背骨が、いつ、どのようなプロセスでS字湾曲へと変化していくのかといった身体の仕組みを詳しく解説しました。
「泣くのはダメなことではなく、不快の学びである」という捉え方や、プロの手にかかるとすぐに寝てしまうような「心地よさ」の再現方法など、赤ちゃんの健やかな育ちと可能性を伸ばすための視点を養う内容です。
講座内では、抱っこ紐の適切な活用法やおんぶの推奨に加え、災害時に身近なもので代用できる防災アイテムの紹介など、生活に密着した多角的な支援を行いました。
これらのイベントは対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド形式で展開され、パパや家族も一緒に遊びながら学ぶことで、育児の孤立を防ぎ、地域のつながりを再構築する場となりました。今後も継続的な開催が予定されています。
さらに、これらのイベントで学んだ内容を日常生活に活かせるよう、現在は朝霞市・新座市において子育てサロンを毎月2回開催し、個別フォローを実施しています。参加者が継続的に相談や実践練習ができる環境を提供することで、講座での学びを実際の育児に定着させるサポートを行っています。
看護師の方にとってこれらの活動を活用するメリットは、乳幼児の身体的発達に関する根拠に基づいた指導法を習得し、保護者の育児不安に寄り添う力が向上する点にあります。
「なぜ寝てくれないのか」という切実な問いに対し、骨格や感覚の視点からアプローチすることで、臨床現場での支援においても、より説得力のある生活指導が行えます。
赤ちゃんにとって無理のない姿勢や心地よい触れ合いを保護者に具体的に示せるようになることは、親子の絆を育む伴走者としての看護の専門性を、より確固たるものにする一助となるでしょう。
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