「小1の壁」は常勤で乗り越えられる?直前に働き方を見直した看護師が、何を考え何を調べたか

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育児中の看護師にとって避けて通れないのが「小1の壁」です。具体的にはこういった大変さがあります。

  • 保育園は延長を使えば19時頃まで預けられるが、学童は18時前後で終わる
  • 小学校入学直後は午前授業だけの「慣らし期間」があり、預け先の確保が必要
  • 長期休み中は、学童があってもお弁当持参・預け時間の短縮で負担が増える

さらに見落としやすいのが時短勤務の期限です。多くの職場で子どもが3歳になるまで、長くても小学校入学で切れるため、「時短が終わる年」と「入学の年」が重なることがあります。

今回お話を聞いたのは、まさに小1の壁に直面し、悩みながらも10年勤めた病院から職場を変える決断をした看護師えぼしさんです。転機は、上の子の小学校入学まで4か月を切った冬でした。

一方で、常勤のまま壁を乗り越えた同僚・知人もいるとのこと。

その違いはどこにあるのか。壁が来る前に何を考えるべきか、教えてもらいました。

プロフィール:えぼし

看護師19年目。大学病院やクリニックなどを経て、リハビリ病院で10年間勤務。退院支援を担う医療連携室にて、正社員の日勤常勤で働いていた。2025年4月、訪問看護ステーションに転職し、現在は週4〜5日パート勤務。夫も看護師(月8回の夜勤専従)。小学2年生の娘と4歳の息子の母。

この記事の要点

  • まずは社内の異動相談から。ダメなら次の一手を考える

  • 転職と入学が重なるときつい。動き始めるのは1年前がちょうどいい

  • 収入が下がっても、数年だけと決めておけば選びやすくなる

  • 頼れる先は、家族だけじゃない

※1※2 調査方法:インターネット調査/調査期間:2024年2月7日~2月13日/調査概要:「看護師転職サイト」を対象としたユーザー満足度調査/調査対象:男女、全国、看護師・准看護師資格保有者かつ対象看護師転職サイト利用経験者、20~29歳 107s(※1)、20~34歳 175s(※2)/調査実施:株式会社エクスクリエ/比較対象サービス:「看護師転職サイト」主要10サービス(専用サイトのあるサービスのみ・求人結果の表示ページは除く)

「小1の壁」が原因で、10年続けた病院常勤を退職

転機は入学直前、12月のトラブルでした

私が10年続けた働き方を見直した転機はまさに「小1の壁」で、上の子が小学校に入学する直前の12月に、子ども2人が同時にインフルエンザで高熱を出したときのことでした。

4日連続で仕事を休まなければならず、その間も仕事が頭から離れませんでした。医療連携室は看護師2人の部署で、私が休めばカンファレンスがリスケになり、入退院支援加算に影響が出てしまう。書類もどんどん溜まっていくし、迷惑をかけている感覚があって、限界かもしれないと思うようになりました。

気づけば、あと4か月で上の子が小学校に入学する。しかも下の子が同じ4月に、3歳までの小規模保育園を卒業する予定だったため再保活も迫っていました。

当時は医療連携室で2つの病棟を担当しており、最大で約120人分のリハビリ進捗を把握しながら、1日に4人ほど新規の入退院にも対応していて。「私、このままだと精神的に潰れるかもしれない…」と気づいて、ようやくキャリアを見直した流れです。

無計画だったな……と反省していますが、当時は、フルタイムとはいえ延長保育を使って生活を回せていたので、問題視すらしていなかったんです。直前になって「あれ、もうすぐ入学じゃん!」と焦った記憶すらあります(笑)。

まず考えたのは、転職ではなく院内での異動

まずは、病棟へ異動できないか上司に相談してみました。病棟は人員が多いので休んでもフォローしてもらいやすいし、友達も多いのが魅力でした。

でも返ってきたのは「病棟なら、月に2回は夜勤に入ってもらうことになる」「それに、今の状況では異動は難しい」との言葉でした。

我が家は夫も看護師で、月8回の夜勤専従です。自分も夜勤するのは現実的じゃないのと、職場の状況的にも今は難しいとのこと。

結果的には、その返答で10年勤めた病院を辞めることを決心できたので、まず相談してみたのは無駄じゃなかったなと感じています。

「小1の壁」で転職先を考え始めてから「訪問看護のパート」に決めるまで

「小1の壁」にあたり、当初重視した求人条件4つ

異動が難しいとわかり、小1の壁が来る直前に転職しようと決めました。

当初設定した求人条件はこの4つです。

土日祝休み子どもの学校の休みに合わせて過ごせる時間を確保したかったため。
日勤のみ夫が月8回夜勤。家庭を回すことを優先したいため。
自転車で15分高校生の頃から自転車通学・通勤で、電車には乗りたくないため。
正社員ずっと正社員だったため。

相談して方針変更。「訪問看護のパート」に納得できた理由

条件は決まった。とはいえ、自分の優先順位がはっきりしないからか、求人を絞りきれなくて……。誰かに意見を聞こうと思い、転職エージェントに登録しました。

担当者から提案されたのが訪問看護でした。元々病院かクリニックの正社員求人で考えていて訪看は視野に入れていなかったのですが、話すうちに考えが変わりました。

「訪問看護は未経験だけど、医療連携室でよくやり取りしていたからイメージできる。
アドバイス通り、ワンクッション置いてパートから始めても良いのかも」

自分の中で気持ちが整理され、“訪問看護のパート”という選択に納得できる感覚がありました。

前職は、病院の日勤常勤で年収500万円でした。マンションのペアローンも抱えているので、パートに変えて年収が下がることに正直不安はありました。

でも直近、夫が休みを取りやすい病院に転職してくれていたのもあり「これ以上夫に求めるのも悪い。次は私が環境を変えなきゃ!」という思いが、最終的に勝った感じでした。

転職エージェントの担当者は子育て中の女性で、夫の協力体制をヒアリングしてくれたり小1の壁エピソードを教えてくれたり、人生相談みたいな時間でしたね(笑)。

自分の口から職場に言いづらいことは、担当者が全部代わりに伝えてくれました。たとえば、勤務時間を17時までと話していたのですが、面接後に不安になり、慣れるまでは16時にできないかと相談したら、交渉して通してくれたんです。

訪問体験も組んでもらいました。ママさんナースばかりのステーションで、娘がこれから1年生なんですと話したら「大丈夫だよ!」「とりあえず4月は大変だから来なくていいよ(笑)」と温かく迎えてくれて。ここにしようと決めた瞬間でした。

言いづらい条件、担当者から伝えます

病院常勤から、残業なしのパート看護師に転職。収入と暮らしの変化

訪問看護に移ってからも「日勤のみ」であることは変わりませんが、直行直帰ができるようになり、残業もほとんどなくなりました。

具体的な変化はこちらです。

以前現在
病院で日勤常勤8時半〜17時。毎日残業で延長保育訪看パート週4〜5日。定時17時、早いと16時退勤
4週8休。土日祝に休む場合は有給使用土日祝休み
年収500万円ほど年収300万強(手取り月22万)

働き方は病院での日勤常勤フルタイムから、訪問看護のパート週4〜5日へ。年収は500万円ほどから300万強へ。月換算にすると手取り22万円ほどで、ペアローンも夫の収入と合わせれば十分にやりくりできる金額だとわかり、安心できました。

ただ、ずっとパートを続けるつもりはありません。下の子が3年生になったら正社員に変える予定です。正社員なら、ボーナスやオンコール手当で年収は400~450万に増えるみたいです。

そんなふうに期限を決めているので、今だけ収入が下がることも受け入れられました。
3年生を目安にしているのは、その頃には鍵を持たせられるくらい子どもが自立してきて、学童の友達関係も落ち着いてくると感じているからです。

そして何より大きい変化は、生活にゆとりが生まれたことでした。

フルタイムの頃は、帰ってご飯を食べて寝るだけ。休日に片付けをして、また仕事で。「お風呂入って!」「ご飯食べて」と急かすばかりだった記憶です。

今は土日祝をしっかり休めるようになり、寝る前には子どもたちの今日の出来事を聞く余裕があるんです。「絵本読んで」と言われても、しょうがないなと笑いながら読める。

残業もなく、訪問が早く終われば16時に上がることもあります。訪問と訪問の合間の時間でPTA活動もできたり、自転車で小学校の前を通るときに校庭を覗いてみたり(笑)。

病院のように決まった時間に縛られない分、こうした融通がきくのは訪問看護ならではだと感じます。フルタイムの頃には考えられなかった生活です。

あなたに合う働き方を一緒に考えます

常勤を続けられる人と、環境を変えるしかない人の違い

常勤を続けられる人に共通していること

私は小1の壁で働き方を緩めましたが、「やればできるよ!」と、夜勤ありの常勤と子育てを両立している知人も数人います。話を聞くと、両親が近くにいて日常的にサポートできる、夫が在宅ワークで融通がきく、といった環境が共通していました。

前職の同僚は、小学校の入学式から3日間だけ休んで、あとは子どもに任せていましたね。学校生活に慣れるかどうかも本人次第という思い切った考え方です。

それで問題なくやれる子もいるんだなとビックリしつつ、私は心配で真似できなかったです。

私が、常勤を続けるのは無理だと判断した理由

私が小1の壁を迎えるにあたって常勤を続けるのが難しいと判断したのは、まず平日に動ける大人が自分だけだったからです。夫は月8回の夜勤で、母は近くに住んでいますが療養中で頼れません。

あとは娘の性格も大きかったです。保育園のときから行き渋りがあり、新しい環境に溶け込むのが苦手なんじゃないか…と1人目なので余計に心配でした。

たとえば民間の学童を選べば、家の前までバスで送ってくれるし習い事もついてきて一石二鳥。でも費用が月6万円と大きいですし、慣れない1年生を夜遅くまで預けるのはかわいそうだなと思ってやめました。

知人は学校近くの賃貸に引っ越していましたが、うちは持ち家でその選択肢もありませんでした。

ファミリーサポートも検討しました。助成金も出て便利な仕組みなのですが、知らない人を家に入れることにどうしても抵抗があり、活用できませんでした。

こうして並べてみると、どの条件も厳しくて…。

私の場合は、自分の働き方を変えるのがベストという結論になりました。

どんな求人があるか、知って備えておく

壁は小1で終わらない。どちらにせよ頼れる先は必要だと思う

いま娘は小学2年生、息子は幼稚園の年中さんになりました。その中で感じるのが、壁は小学校入学の春で終わるものではなく、学年が上がるたびに形を変えてやってくるということ。

たとえば、小学校に入ると保育園とは違って先生と毎日顔を合わせることがないので情報が入ってきづらいですし、最初は楽しく通っていた学童も、2年生になって友達が変わり「今日は帰りたい」と言う日が増えて……。

その代わり、頼れる先も少しずつ増えました。
大雨の日に下の子が急に熱を出して上の子を迎えに行けなかったとき、同じマンションのママ友が一緒に連れて帰ってきてくれたことがあって本当に助かったんです。

ママ友との関係を広げるのに気が乗らない人もいるかもしれません。でも、子ども同士が仲良くなって、その流れでママ同士も打ち解けていくものです。もしそういうネットワークに入れるのなら、入っておいたほうがいいというのが実感です。

結局、育児との両立で転職してもしなくても、周りのサポートは必要なんだと思います。相談できる人がいるかどうかで、気持ちの余裕が違うので。

小1の壁が来る1年前に、やっておけばよかった4つのこと

もし小学校入学の1年前に戻れるなら、やっておきたかったことが4つあります。

①自分の条件を先に確かめる

同じ「小1の壁」でも、分かれ目になるのはこのあたりだと思います。

  • 平日に動ける大人の数
  • パートナーの勤務形態
  • 学校までの距離
  • 子どもの性格・タイプ
  • 引っ越しが許容できるか

これがいくつか大丈夫そうなら、今の働き方のままでも乗り切れるかもしれません。まずは自分の場合はどうか?を考えてみるのがおすすめです。

②時短勤務がいつ切れるか確認する

私の場合、下の子が3歳になったタイミングで時短が切れて、その年に上の子が年長になりました。入学の1年前にフルタイムに戻っていたことになります。この1年間が想像以上にきつくて、結局12月に限界がきました。

時短勤務が切れる時期と小学校入学の時期が近い人は、フルタイム勤務で生活を回せるのかを早めに試算しておいたほうがいいと思います。まずは職場の就業規則を見て、いつまで時短が使えるのかを確認してほしいです。

③学童と自治体の制度を調べる

学童は、エリアによって入りやすさ・料金・何年生まで通えるかも違います。私が住むエリアだと待機はゼロで、6年生まで月2,000円で通えます。

加えて私も子どもが幼稚園のときは知らなかったのですが、小学1年生の4月はほとんど午前で帰ってきますし、夏休みなど長期休暇は学童の預かり時間が短かったりお弁当が必要になったりするため要注意です。

地域差も大きいので、自分の住むエリアで確認しておくのがおすすめです。

④転職を考え始めたら、一度エージェントにも話を聞いてみる

希望する条件で働ける職場があるのかは、実際に探してみないと分かりません。私も転職エージェントの担当者に「自転車で15分・土日祝休み・正社員がいい」と伝えてみたことで、その条件では常勤求人がないと知り、ほかの案を教えてもらえました。

私が小1の壁目前で働き方を変えたのは、子育てを後悔したくなかったからです。あのまま病院の医療連携室に残って、残業しながらなあなあで子育てしていたら後悔していた気がして…。

同じように迷っている人がいたら、一番伝えたいのは「ひとりで抱えないでほしい」ということです。というのも、私が自分でどうにかしようとするタイプなので、あの12月、1人でテンパってしまったなあと……(笑)。

相談する相手は、家族でも同僚でも、転職エージェントの担当者でもいいと思います。まずは自分にどんな選択肢があるのかを、見てみてほしいです。

編集部より📝
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 取材・執筆
白石弓夏
看護師兼ライター。看護師歴17年以上。小児科、整形外科、派遣など多様な現場を経験。現在は整形外科病棟で非常勤として勤務しながら、ライターとして活動して8年以上。最近の楽しみは、仕事終わりのお酒と推しとまんが、それと美味しいごはんを食べること。著書に『Letters~今を生きる「看護」の話を聞こう~』。
お読みいただきありがとうございました!
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コメント

  1. むぎママ

    私も小1の壁を見越してクリニックに転職しました。同じく常勤ではなく、子育て優先でちょっと悩んだけれどパートに変えました。やはり家で誰かがみてくれるという安心感は大きいよなと感じています。常勤の頃は残業もやはり多かったので…

  2. ponta

    小1の壁。自分のやりがいとしてはガッツリ働いて稼ぎたい気持ちもあるけど子育ても大事にしたい笑  となると、女性は難しい選択を迫られる場面が多いですよねー。なんといっても家族の心身の健康が第一ではありますが、悩ましい。まずは現実的な選択肢を知ってみるというのは、そうだよねと思いました^^!

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