お役立ち
2014.12.30
ストレスは伝染します。病気で思うようにいかない患者さん。そんな患者さんを抱えるご家族。先輩看護師の余裕のない時。なかなか仕事を覚えられない後輩看護師…。
病院には、病んでいる人が集まるからこそのストレスがあり、それに従事している看護師にも大きなストレスがかかり、それぞれが影響しあってしまうもの…。
看護師のストレスをすべて消し去ることは難しいでしょう。でも、自分の中では、ある程度までコントロールすることができます。今回は、ちょっとだけ真面目にストレスのメカニズムを理解し、客観的に向き合うことで実践できる、看護師のストレス軽減法をご紹介したいと思います。
「ストレスを感じる」という状況は、何か不安や不満を感じさせる状況や相手があって起こるものです。専門用語だとストレッサーなどといいます。それが継続的に起こります。看護師にとってのストレッサーは、大勢の前で話さなければならない機会だったり、苦手と感じる相手との時間だったりします。
脳は強いストレスを感じると機能が低下し、思考力が散漫になったり、倦怠感を感じたり、重度だと呼吸や睡眠に障害が出てしまうこともあります。看護師の場合は、それが原因で仕事でミスを起こし離職してしまうなど、大きな問題になりかねません。
「ストレスによって脳の機能が低下する」と話しましたが、実はストレスを作っているのは脳自身。脳の中でも、記憶を残す『海馬』という部分が、生活の中で感じたストレッサーを記憶し、次にその苦手なものが来る時に備えようとします。
それは備えるための機能でありながら、「苦手意識」を生み出してしまうことにもなります。たとえば、苦手な患者さんのケアに向かう時、「あの患者さんは苦手」という脳の記憶が、看護師にストレスを与えるのです。
ストレスは、脳が苦手なものに対する備えのためにした記憶だとお伝えしましたが、逆に言うと、記憶に「苦手じゃない」と教え込むことで、ストレスを軽減することもできるということです。
たとえば、苦手な患者さんに、少しだけ頑張って積極的に話しかけてみます。そして、上手くコミュニケーションが図れたり、上手く処置できたことを、強く記憶します。何度も繰り返すことで、脳は「この人は苦手じゃない」と記憶を塗り替えてくれます。
苦手だからと言って避けていては解消しなかったものが、何度も経験することで、「大丈夫」に変わったり、「自分は、対応できるんだ」という思いに変わるのです。看護師にとってのストレッサーは、苦手な患者さんに限らず、人前で発表する機会だったり、とっつきにくい先輩ナースだったりするかもしれません。
いずれも看護師は、そのストレスを放置して逃げ出すことはできないですよね。だからこそ、ストレッサーをストレッサーでなくしてしまうという方法が看護師には有効なのです。
…と、今回は脳からの看護師のストレス軽減アプローチについてお話ししましたが、いかがでしたか? 無理をしすぎるのは、かえって看護師のストレスになってしまうので、あくまでも、ちょっとトライできる範囲で、この先の自分のために頑張ってみてください。看護師は多くストレスにさらされる職業です。この考え方で少しだけでもストレスを減らせて、お役に立てたらいいなと思います。
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