
「手術の介助ってとっても緊張するし、難しいんじゃないの?」と思われる方もいるかもしれません。手術室看護師なら、いつかは直接介助も間接介助も1人でできるようにならなくてはなりません。
今回は、手術室での教育、指導についてご紹介します。
私の施設の場合は、メンター、エルダー2人の先輩が1人の新人を担当して指導にあたります。複数の診療科が手術を行う施設の手術室看護師が独り立ちするまでには、5〜10年くらいの歳月を要するかと思います。病棟看護師に比べるとかなり時間がかかります。
私の施設では、基本的に3年目の看護師がメンター、それ以上の経験年数のある看護師がエルダーを担います。
手術介助では、ベテランの外科医や麻酔科医とのやり取りや患者さまの生命を目の前にして、過度の緊張や不安が伴うこともあります。そのため、特に新人に対する精神的なフォローは必須です。そういった部分でも、新人と経験年数が近い看護師に自分の気持ちを共感してもらったり、学習方法を見てもらったりすることは成長の助けになります。
何事も同じですが、経験年数を経るとなぜ新人ができないのか、何に悩んでいて何を求めているのかが分からなくなってしまうことがあります。「とりあえずやってみて」とか「たくさん経験することだよ」とか、新人にとっては曖昧なアドバイスになってしまいがちです。
もちろん、経験値が必要だということは正しいのですが、現状に悩んでいる新人にとっては解決にならない回答ですよね。「そうそうコレわかりにくいよね、私はね〜…」と具体的に話ができるメンターの役割は大きいと感じます。

エルダーは、メンターと新人の関係を見守る役割もあります。特に手術室看護師が独り立ちするには年数がかかるため、メンターでも経験がないことやわからないことが多々あります。
また、手術室看護師は外科医や麻酔科医とのコミュニケーションが肝になってきます。ベテラン医師とのやり取りでは、経験豊富なメンターが新人を「私の後輩です」と紹介してくれるだけで新人は気持ちも楽になりますし、仕事がしやすくなります。
術中に「困ってしまった」「どうしたらいいかわからない」「急変や術式変更などのトラブルが発生した…」なんてことも少なくありません。そんな時に、メンターやエルダーが別の手術に入っていることはよくあります。緊急手術が多い施設では、メンターとエルダー、新人がペアで手術介助に入ることができるのは稀なんです。
しかしながら、手術室でのトラブルは至急対応が求められるものばかりです。基本的に、介助に入った手術で自ら判断や対応ができないトラブルは、すべてリーダーに報告して指示を仰ぎます。

手術室では、師長が手術予定を組んだり、手術に入るスタッフを割り振ったりしている施設もあるかと思います。師長は経験録などを参考に新人を配置していきますが、まだ独り立ちに不安がある手術、苦手意識がある手術、得意な手術などを師長に理解してもらえているとスムーズに経験を重ねていくことができます。
新人でなくとも、緊急手術で人手が限られている時や珍しい症例に出くわした際に、自分にとって経験が少ない手術の介助をやるべきか、応援を呼ぶべきか迷うことがあります。そのような場合は、1人で決めずに師長に電話をかけてアドバイスをもらうといったことをします。なので、日頃から師長ともコミュニケーションを図っておくとことが大切です。
手術をする診療科が多いと、介助の得意不得意や相性も出てきますが、リアルタイムで全診療科の最新情報を理解しておくことはほぼ不可能です。1日で新しい情報がどんどん更新されていくためです。なので、各診療科を担当する看護師がいるかと思います。
脳神経外科なら脳神経外科担当の看護師が、いち早く最新情報を得て他の看護師へ情報を発信するので、わからないことや不安があれば各診療科の伝達ツールや担当の看護師に確認を取ることも必要です。各診療科担当の看護師や医師、医療機関メーカーの方が勉強会を開いてくれることもあります。
このように手術室では、手術に関わるスタッフ全体で支え合いながら、新人を見守り育てていきます。また、新人に限らずスタッフ間で情報共有を行い、手術室内での勉強会やラボ、医療機関メーカーによるデモストレーションなどが頻繁に開催されています。わからない部分を医師に直接確認することができるのも手術室の特徴です。
Writer…suke
Illust…Mana.Ishiguro
Twitter:@mana__iu
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