
日本は、世界でも類を見ない超高齢社会へと突入しています。さらに近年では、新型コロナウイルスにより多くの方々が受診・入院する機会も増え、医療現場の環境が変わりつつあるのが現状です。
そこで医療現場では、高齢者の方がしっかりと自らで生活していけるように認知症の予防・抑制に向けて取り組んだり、感染症対策を取りながら業務を円滑に進める工夫をしたりしています。
また、そうした中でも新しい生命の誕生があり、子どもやママさん、幅広い年代の女性をサポートする体制も求められています。
そこで本記事では、心療回想法を通して認知症予防・抑制に取り組む人材を育てる法人、聴診器に変革をもたらした企業、子どもや女性に対する医療相談サービスを展開する企業を紹介します。
老化とともに発症する可能性が高まるものの一つとして、認知症が挙げられます。認知症を発症すると、日常生活や社会生活が円滑に送れなくなることが多く、本人にとっても介護する側にとっても大きな負担がかかってしまいます。
そこで、そうした認知症の予防と進行抑制を支援しているのが、一般社団法人 日本パーソナルソング・メソッド協会です。パーソナルソング・メソッドに取り組めるカウンセラーの育成、および資格認定を実施しています。

パーソナルソング・メソッド(以下PSM)は、対象者の方が10歳から15歳までの間に触れていた音楽や映像などを用いて行う心療回想法です。対象者の方も実施する方も、音楽を聴いたり、映像を見たりしながら楽しく取り組めます。これまでに数多くの高齢者のココロの扉を開いてきました。
人の昔の記憶は側頭葉に記憶されており、当時聴いたり見たりしていた音楽や映像に触れるとそれが強く呼び起こされることから、PSMが開発されました。

また、心療回想法では脳を活性化させるためにも発話が重要ですので、同法人では「PSM体操」「AQUBI発声法」といった独自のカリキュラムを組み、血行や唾液分泌を促進させて対象者の方が円滑に発話できるような工夫を提案しています。
PMSカウンセラーの資格を取得するには、同法人が行うプログラムを受講する必要があります。プログラムはWeb上で開かれており、「認知症基礎知識」や「昭和のエンタテインメント」、「高齢者向け PSM軽運動」など、さまざまな角度から多岐にわたる内容が用意されているのが特長です。資格を授与されると、PCやタブレットなどWi-Fiにつなげる機器で対象者の記憶喚起に最適な音楽や写真を自動抽出してくれるWebサービス「PSMナビ」を無料で使用できます。
資格取得は、時間が定められていないため自由に受講できるうえ、短期間で受講を終えられるのもポイント。忙しい医療従事者の方でも、ちょっとした時間を見つけて受講しやすいのではないでしょうか。また、同法人からPSMの入門書「聴くだけで記憶が鮮明に蘇るパーソナルソング CDつき(サンマーク出版)」が発刊されています。
株式会社シェアメディカルは、先進的なデジタル医療機器、および医療用ソフトウェアなどの開発から販売までを手がけている企業です。開発の際には「人間中心設計」を取り入れ、医療従事者が必要としている物を作り上げることに尽力しています。
たとえば、「学校検診で多くの児童・生徒を聴診する際に聴診器の付け外しにより、耳が痛くなる」との医師の悩みから開発されたのが、手持ちの聴診器から取り外したチェストピースを取り付けてデジタル化する「ネクステート」です。

ネクステートには、心音や呼吸音をそれぞれ聞き取りやすくなるように調整できる機能や、周囲の気になる環境音を取り除いてくれる機能が搭載されています。さらに、服の上からでもしっかりと聴診できるなど、医療従事者が本当に聞きたい音のみを拾えるのが同製品の強みです。
聴診スタイルとしては、オーディオジャックやMicroUSBのほか、Bluetoothにも対応。有線でもワイヤレスでも聴診でき、これまでの身体的な負担から開放されます。また、同製品に接続する機材によっては、医療従事者自身のみならず周囲と音を共有したり、録音したりすることも可能です。
同製品を活用している現場は多岐にわたります。たとえば、発熱外来や新型コロナウイルス専用病棟が挙げられます。ワイヤレスで聴診できることから、医療従事者自身の感染対策はもとより、業務の効率化や防護服などの消耗品の使用量削減につながっていると取り上げられていました。
そのほか、小児科クリニックでは子供の生体音を親御さんと共有することでアドヒアランスや乳児を落ち着かせに役立っている、学校検診では効率が上がり服の上から聴診可能なので女生徒の恥ずかしさに配慮する事ができただけでなく、医師自身の頭痛や耳の痛みにも悩まずに済むようになったなど、さまざまな事例が報告されています。

訪問看護だけでなく、入院患者や感染症患者の対応などにおいて、看護師が聴診しなければならないケースも珍しくありません。その際に生まれる悩みやリスクの解決策として、同製品を取り入れてみるのも有用な手段と言えるでしょう。
小児科・産婦人科の分野において、身体的な健康はもちろん、精神的および社会的な健康をサポートするべく立ち上がったのが株式会社Kids Public。急速に広がるICTを駆使し、生育過程にいる母子が健やかな生活を送れるようにサービスの提供に務めている企業です。
サービスとしては、導入した企業や自治体などが利用できるメインサービスの「小児科オンライン」「産婦人科オンライン」をはじめ、それぞれの診療科に沿ったメディア運用、赤ちゃんから幼児になるまでの間で悩みがちなトピックの動画配信などを行っています。

小児科オンラインでは、悩みや不安の大小にかかわらず、育児や子どもの健康などを現役の小児科医に気軽に相談することが可能です。
一方の産婦人科オンラインは、妊娠中から産後までの女性に加え、女子高生・女子大生の年代から幅広く利用できる体制が整えられています。女性ならではの悩みや疾患などの相談に対し、現役の産婦人科医と助産師が対応しています。

予約から実際の相談まで、すべてオンライン上で行われるため、スマートフォンさえあればいつでもどこでも利用できるのが特長です。相談方法は電話のほか、LINEのメッセージチャット・音声通話・ビデオ通話を選択肢として用意しています。さらに、目で見てわかる部分にトラブルがあれば写真を送付できるため、より的確な回答がもらえます。
同サービスは企業や自治体だけでなく、クリニックへの導入も進められています。導入済みのクリニックからは「これまでは、退院後から初めての予防接種までの空白期間で生まれるさまざまな不安や悩みに対応できず、もどかしさを感じていた。導入後は、パパさんやママさんからの良い反響があり、効果を実感している」といったコメントが寄せられていました。
小児科や産婦人科で働いていると、このように寄り添ったサポートができないと悩んでしまうこともあるのではないでしょうか。そうしたとき、このようなサービスの存在を知っておくと、役立つ機会が巡ってくることもあるかもしれません。
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