看護師の仕事は患者さんを中心にまわっていますよね。そんな患者さんにもさまざまな方がいらっしゃいます。
今回は、看護師が特に印象に残った患者さんとのエピドードをまとめました。
ある日、入院名簿を見ると自分の名前が!? でも、年齢は私の母くらい。その患者さんは、私と同性同名だったのです。申し送りなどで名前を呼ばれるたびに自分のことじゃないとわかっているのに、なんとなく気になってしまいます。
受け持ちではなかったのですが、受け持ちの看護師が休みの日、担当になったので挨拶へ行くと、患者さんも同様に「他人のように思えないわね」と言ってくださり、退院の時にはわざわざお礼のお菓子まで下さいました。
手術後の経過がよく5日間で退院されて行かれましたが、とても印象に残っている患者さんです。
はじめの頃は笑顔の爽やかな男性患者さんだと思いました。看護師への受け答えも親切で、協力的。でも夜勤のラウンドの時、私がひとりで声かけに行くと、ちょっとセクハラまがいのことをお願いされました。私が断ると、「あんたは患者の苦しみなんか理解できないダメ看護師だな」と吐き捨てるように言ったのです。
患者さんの一例として周囲と情報共有し、その後は男性看護師がなるべく担当するようになりましたが、看護師の仕事を理解されていない言動が悔しく、今でも忘れられないです。
私は2年目に入っても同期に比べて自信のない看護師でした。同期からも心配されるし、先輩たちにはよく怒られていました。
そんな時、受け持ちになったのが年の近いKさんでした。Kさんは24才で特殊な血液の癌になってしまい、その進行は若いせいか早く、1年くらいしか持たないだろうと言われていました。
Kさんはたくさんの見舞客が、毎日来る人気者。かなりつらい状態の時でも、Kさんは笑顔。看護師や家族にもつらいと弱音は吐きませんでした。自分と同じ年齢とは思えないほどの落ち着きで、強くて、私はとても尊敬していました。
Kさんは退院と入院を繰り返し、1年後に入院された時はもう退院は難しい状況でした。
それでもKさんは弱音を吐かず、友人や家族に笑顔を見せていました。
そんなある日、夜勤だった私がKさんの病室を通りかかると、Kさんの小さな泣き声が聞こえてきたのです。初めて聞く泣き声にドキリとしましたが、私は声かけをし、Kさんの背中に手をあてました。するとKさんの呼吸が荒くなり、咽び泣き始めたのです。
私はKさんが過呼吸にならないように注意しながら、背中をさすり続けました。やがてKさんは落ち着き、入眠されました。
Kさんだってつらくないはずがないんだ…。
そんな当たり前のこと、看護師として気づいて当然のことなのに、Kさんの強さに甘えていた、そう思った私は、それから少しでもKさんが安らげるようにしたいと思いました。
でも、何をしていいのかわからないし、Kさんがして欲しいかもわかりませんでした。
自分から弱音を吐かないKさんを少しでも楽にさせたいという一心で、私は夜勤の日には必ずKさんのベッドに行ったら、背中に手を当てることにしました。それしか思いつけなかったのです。
Kさんは泣くこともあったし、静かに寝ている日もありました。
緩和ケアへ移ることになったKさんは、私に「あなたに会えてよかった。ありがとう」という手紙をくれました。そこにはステキなイラストが!?_それはデイジーの白い花と白衣の私でした。
Kさんの夢がイラストレーターだったことは、Kさんが亡くなった後に挨拶に来てくださった妹さんから聞きました。
妹さんは、「兄は頑固者だったので一人でも弱音を吐ける人がいて助かりました」と言ってくださいました。この病院で、Kさんのために、私だけができたことがあった__そのことが私を変えました。
私はもう自分だけがダメな看護師だと弱音を吐くことを止めました。ただ患者さんのために自分ができることを探そう、そういう看護師でいようと思っています。
挫けそうになったら、Kさんのイラストを見て、負けないで頑張ろうと思います。
そこにはKさんが見ていた私が笑っているのだから。
印象に残る患者さん、あなたはどんな患者さんを思い出しますか?
患者さんも人間、看護師も人間です。
いろんな出来事があり、色々な心理状況があり、相性などもあります。そんな中で、患者さんから学ぶことや鍛えられることは少なくないでしょう。
どんなことも、看護師としてのあなたの成長に繋げられて、患者さんへと還元できるといいですね。
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