「看護アドボカシー」とは、「患者の代弁者」、「患者相談窓口」という意味で用いられている言葉です。
自己決定が難しい患者さんや、ご高齢で意志決定が難しい患者さんなど、弱い立場にある方の生命や権利を擁護し、代弁する存在として、現代の医療分野において重要な役割を担っています。
「看護アドボカシー」の考え方を受け入れている医療機関はまだ多くはありませんが、中には専門の「アドボカシー室」を設置するなどして、患者さんの意見をヒアリングしたり、院内の医療やサービスへの満足度を調べている医療機関もあります。
では、具体的に「看護師アドボカシー」を実践するにはどのようなことがもとめられているのでしょうか。
看護アドボカシーでは、患者さんにとって身近な存在である看護師の存在が欠かせません。看護師は、患者さんの気持ちや意志をいち早く把握し、時と場に応じて代弁者となる必要があります。
たとえば、小さなお子さんやご高齢の患者さんが、病状や治療内容について理解ができなかった時、「もう一度説明をお願いします」と代弁をしたり、理解できない部分を患者さんに代わって医師に尋ねるといった、適切な配慮が求められます。
直接患者さんに代わって尋ねる以外にも、質問や聞き返しのしやすい雰囲気をつくったり、医療スタッフと患者さんの距離が近くなるよう配慮することも、看護アドボカシーの重要な役割です。
看護アドボカシーにおいては、患者さんの権利や意思決定が優先されます。
たとえば患者さんが自分で治療方針についての決定ができない場合、患者さんのご家族や周囲の方と連携して、患者さんご自身に負担のない方法を選択していただくなど、治療を受けるご本人に配慮することが求められます。
患者さんご自身への説明やアドバイスはもちろん、患者さんとそのご家族が求める情報を提供したり、意志決定をサポートするのも看護アドボカシーにおける役割です。
情報の少ない中で治療を受けることは、患者さんにとって負担やリスクが大きくなります。そこで看護アドボカシーが必要な情報をそのつど与えていき、適切に処置を進められるようにサポートしていきます。
コミュニケーションが難しい患者さんや、自己決定をためらってしまう患者さんに対しては、その意見を適切にヒアリングしなければなりません。
たとえばいくつかの治療方法が提示されている時に、心から納得しないままに治療方法が決められてしまっては、患者さん自身に不満やリスクが残ります。
そこで、「患者さんが何を不安に感じているのか」「本心ではどのように考えているのか」「どんな処置を希望しているのか」を適宜把握し、最終的にリスクが残らないように選択をサポートしていきます。
患者さんの意志を把握するには、ふだんからの信頼関係がポイントになります。
患者さんが他の医療スタッフには言いづらいと感じている不安感や疑問点を、看護アドボカシーを行う看護師がきちんとヒアリングし、受け取ってあげることで、適切な医療が提供されます。
看護師の側から患者さんに対して積極的に挨拶や対話を行い、少しでも多くの意志表示をしていただけるように、信頼関係を構築していくことが大切です。
看護アドボカシーは、患者さんの不満点や疑問点を聞くだけにとどまらず、患者さんの意志を把握して「代弁者」となったり、適切なアドバイスや情報提供も行っていきます。
一人一人の方に最適な医療を提供するために、常に患者さんの状況や意志を考慮しながら治療の決定をうながすことが、看護アドボカシーにとってもっとも重要なことです。
以上、読んできて、すでにお気付きだと思いますが、これらはすべて看護の基本と共通していますよね。しかし、「看護アドボカシー」という言葉や役割を明確にすることで、より強くこれらのことを再確認し、周囲に共有・認識を促し、実行に結びつけるということに役立てていけるのではないでしょうか?
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