仕事
2022.6.15
医療機関は、患者の病気を治すという目的のほか、安らぎと安心感を与えるという側面も持ち合わせています。そうした空間作りに注力している医療機関も増えてきました。
また、看護師は少しでも患者の心に寄り添って対応できるよう、日々さまざまなことに関心を持ち行動している方も多いことでしょう。
本記事では、医療機関の癒やしの空間作りに一役買っているアイテムを提供する企業と、看護師のさらなる知識を深める支援をしている組織、万が一の事態に備え活動している組織を紹介します。
院内の明るい雰囲気作りを模索している方や、プラスアルファのスキルを習得したい方、災害看護に興味のある看護師の方は記事を読むことで解決の糸口が見つかるかもしれません。
版画や水彩画、水墨画といった絵画のほか、壁掛けアートなど技法もジャンルも異なる多様な作品を貸し出している、ギャラリー四季株式会社。所有する作品は実に3万点以上にものぼり、介護施設や医療機関などさまざまな場所の空間を癒やしと安らぎで満たし、人々の笑顔を引き出す事業を展開しています。
病気を治療したり予防したりする医療機関に対して、「こわい」「痛い」といったイメージを持つ方もいるのではないでしょうか。
ましてや、病気治療のために来院する患者の心理は、これからどのような診断がなされどのような治療方針になるのだろうかという不安が押し寄せてくることでしょう。
そうした一般の方が医療機関に持つイメージを払拭し、不安を抱える患者の心に明るく光を差し込んでくれるのが、院内に飾られている絵画やアートです。
よく院内で見かける壁にかかった絵画やアートは、何気なく飾られているようで、実は患者や医療従事者の心を癒やし、安らぎと安心感を与える役割を果たしています。加えて、医療機関はコンセプトに基づいた絵画やアートを取り入れることで、理想とする院内の雰囲気作りにも役立てています。
そのため同社では、所有する3万点以上もの数ある絵画やアートの中から、医療機関ごとに異なるコンセプトや要望に合わせて最適な作品を提案し貸し出してきました。
レンタル絵画の場合、作品は版画や油絵、水彩画、アクリル画、現代抽象画などさまざまな技法から選択でき、サイズも幅広く取り揃えられています。
風景が描かれている絵画で、海や山など具体的な題材を指定しても多くの作品の中から理想に近いものを探せるのが魅力。中にはキッズ向けの作品もあり、小児科や産婦人科などに設置すると優しく柔らかい印象を与えてくれそうです。
癒やしをコンセプトとしている医療機関の場合、グリーンやフラワーを使った壁掛けアートを飾ることで、絵画とはまた違った奥行きのある空間作りができます。和紙やリーフ、メタルといった独特の素材を使用したアート作品もあり、選択次第で院内の雰囲気もガラリと変えることができるでしょう。
なお、同社の所有するレンタル絵画作品は、その多くがヨーロッパで制作されたものや、作家から直接買い付けたものです。厳重な方法で保管されているため、院内の品格を保ちつつ安らぎの空間を作り出すことができます。
患者への対応でソフト面での院内の雰囲気作りに注力している看護師の方は、同社の取り組みを知ることで絵画やアートといったハード面での空間作りについて深く考えるきっかけになるのではないでしょうか。
日本における足病医学を牽引し、未病の段階から関わっていくことの重要性を唱え警鐘を鳴らしている、一般社団法人日本フットケア・足病医学会。学術集会の開催や学会誌の発信、フットケア研修の実施といった活動を通して、足病の現状と課題解決に向けた取り組みを行い、対応する人材を育成しています。
糖尿病で血糖値が高い状態が長期化すると、いわゆる三大合併症と言われている糖尿病神経障害や糖尿病網膜症、糖尿病腎症といった病気を引き起こします。
毛細血管が損なわれることによる血流障害で、重大な病気を併発してしまう糖尿病は足にトラブルを抱えることが多く、合併症の1つである糖尿病足病変は重症化すると足を切断しなければなりません。
それだけ、糖尿病患者にとって毎日の足の変化は見逃せず、合併症を未然に防ぐためのフットケアの重要性が提唱されています。
そうした中、同法人はフットケアの大切さと下肢障害の予防やフォローアップの重要性を広く認知してもらうと同時に、フットケア全般の専門知識と技術を身につけた方を「フットケア指導士」として認定する資格制度を設けました。
現在この学会認定資格制度はこれまでの歴史を基盤に、さらに活躍できる資格制度になるよう再構築に取り組んでいます。大まかな枠組みは変わりませんが、今後以下の内容との変更点が生じる可能性があります。予めご了承ください。
フットケア指導士の認定試験は年1回開催されています。受験資格は、国内において3年以上の実務経験を有する医師や看護師、准看護師、介護福祉士といった国家資格を有する方で、かつフットケアの実務経験を有する方が対象です。
また、認定セミナーを受講していることなどが受験の条件となっています。
認定試験は4肢択一のマークシート方式で、全部で50題を出題。
フットケアの基礎知識から専門知識までが求められ、晴れて試験に合格した暁には認定証が付与されます。
その後の合格者を対象とした実技講習会では、実際にフットケア専門家として指導にあたる前に技術のノウハウを得られるため、現場にて自信を持って最初の一歩を踏み出せるでしょう。
なお、フットケア指導士は認定を受けた後、5年ごとに更新が必要です。知識をアップデートし、技術もさらに磨いていくといった自己成長にも繋げられる認定制度だと言えます。
一方、Gate Keeperや下肢ケアの専門家として活動する「学会認定師」の認定資格も実施しています。
学会認定師は、主に下肢救済への貢献と足病の予防や治療などを行うため、資格申請にあたって下肢病変の予防や治療に関する適切な知識と技術が必要です。
申請条件の1つとなっている認定師セミナーの受講では、創傷管理に必要な基本的知識や、下肢救済に必要な理学療法などさまざまな内容が学べます。
受験対象者は、医師や看護師、診療放射線技師などです。2015年にはじめての学会認定師が誕生して以来、さまざまな医療関係者が積極的に活動を行っています。
糖尿病看護において、さまざまなケースに遭遇した際に正しい知識で患者を導き、フットケアとセルフケアの大切さを伝え自身も適切に実践するために、看護師の方はこうした認定資格の取得にチャレンジしてみるのもいいかもしれません。
地震や水害などの災害が発生した被災地での災害看護支援や、医療・保健・福祉関係者と災害関連団体などへ災害教育を実施し人材育成に注力している、特定非営利活動法人 災害看護研究所。地域住民の防災意識を高めるための勉強会やセミナーといった取り組みも積極的に行い、災害に対する地域力の向上に貢献しています。
ニュースでは、無情にも地震や風水害、火山噴火などさまざまな災害発生の知らせが流れてきます。こうした自然による天災は、災害の多い日本において珍しくなく、頻繁に耳にすることでしょう。
看護師の方の中には、災害現場に駆けつけ一刻も早く看護活動を行いたいと気持ちが焦る方もいるかもしれません。
しかし、実際の災害現場は想像しているよりも混乱に満ちており、災害に対して無知の状態で現場に入っても、何も支援できずにかえってジレンマを抱えてしまう可能性があります。
こうしたことから、災害現場にて被災者へ支援を的確に行うためには、前提として災害看護の基本的な知識を得ておく必要があるでしょう。
また、万が一にも災害に見舞われた場合、救助が駆けつけるまで時間を要することもあります。そうした際に重要となってくるのが、災害現場にいる人々の主体的な災害対応です。
混乱の最中、被災地の人々が必要な行動を選択してとれるかや、防災の予備知識を持っているかが鍵となり、的確な行動が一人でも多くの命を守ることに繋がります。
同法人では、人々がそうした防災に対する意識を高め、災害に強い地域作りをするための活動を行っています。
たとえば、ある地域に足を運び、区長や自主防災組織、民生委員といった方々と共に個別避難計画についての勉強会を実施。避難行動要支援名簿を見ながら、優先的に避難させるべき住民について話し合う場を設けました。
事前に該当する避難行動要支援者と具体的な人数を把握しておくことで、実際の支援体制を想定した話し合いが行え、災害時には円滑な支援活動が行えます。
別の日には、卓上に避難所の見取り図と紙で作成した人形を用いて、福祉避難所開設の初動や避難行動要支援者を受け入れるシミュレーションを実施しました。
言葉だけでは伝わりにくい説明や重要なポイントも、視覚的に現場をイメージできるよう工夫を凝らし、参加者が理解しやすい勉強会を開催しています。
そのほか、地域住民の方々と一緒に新聞紙で簡単にできる防災グッズ作りのセミナーも開催。備えることの大切さと、災害時に代用できるアイデアグッズの作り方を伝え、防災を身近に感じてもらう取り組みを行いました。
このような同法人の活動は、災害看護に関心がある看護師の方の心に深く響き、今後の方向性を定めるきっかけとなるかもしれません。
「レバウェル看護」を使うと、より詳しく話を聞くことができます。どんな転職先があるのか等も事前に知ることができます。