褥瘡ケアの基本的なポイントを解説!薬剤やドレッシング材を選ぶには?

2017.11.19

2558_TOP_褥瘡ケアの基本的なポイントを解説.jpg

いろいろな薬剤やドレッシング材がある褥瘡の治療。高齢者の方が増えてくることで、その予防方法や治療、ケアについてポイントを押さえていることも大切ですね。自信のない方に向けて、褥瘡ケアの基本的なポイントを解説します。気になる方は、参考にしてくださいね。

何よりも予防が大切

2558_1_何よりも予防が大切.jpg

褥瘡は、圧力と摩擦、ずれによって歪みが生じ発生する要因となります。褥瘡ケアの前提として押さえておきたいポイントは、「褥瘡を予防すること」です。

具体的には、体位変換を行い除圧すること、体位変換を行えないときは他の方法で除圧し予防をします。他の方法として、体転枕、耐圧分散マット、エアマットなどが挙げられます。

粘弾性フォームマットレスの使用では、4時間以内の間隔で体位変換を行うことが推奨されています。NPUAP/EPUAP合同ガイドラインでは、体位変換を行う頻度については、患者さんの組織耐久性や活動性のレベルの程度、全身状態や治癒の目的、皮膚状態のアセスメントを行い決めていくことが重要だとされています。

以上のほか、栄養管理も重要になります。褥瘡の好発部位などをアセスメントして、リスクの高い患者さんには、医師・栄養士などと連携し予防を行います。看護師が観察するポイントは、アルブミン、トータルプロテイン、体重変化、浮腫の有無、皮膚の脆弱性、骨の突出などです。

 
登録は1分で終わります!

褥瘡治療の過程を評価するためのツール

2558_2_褥瘡治療の過程を評価するためのツール.jpg

必要なケアをおこなっても、栄養状態や皮膚の状態などによっては褥瘡が出来てしまうことがあります。褥瘡が出来た場合は、DESIGN-Rで褥瘡の重症度を評価します。DESIGN-Rに基づいて褥瘡ケアの方向性をきめていくこともあります。

急性期の褥瘡ケア

急性期の褥瘡は創部が安定せず、短期間で悪化してしまう恐れがあるので観察と感染予防を重点的に行います。ドレッシング材は、創部を保護し閉鎖することで浸潤環境を形成し、浸出液の吸収、感染をコントロールするなどの目的に応じて種類を選択することが重要になります。

創部の保護を目的とした油脂性基材軟膏(亜鉛華軟膏、アズノール軟膏)、ドレッシング剤では創傷部の観察を目的としてポリウレタンフィルム、ハイドロコロイドなどを用いることもあります。

浅い褥瘡のケア

真皮レベルまでの褥瘡のケアでは、創部の保護と湿潤環境の維持を目的として、ポリウレタンフィルムなどのドレッシング材を使用します。外用薬は創部の保護を目的として油脂性基材軟膏(亜鉛華軟膏、アズノール軟膏など)、びらんや浅い潰瘍によって上皮化を促進したい場合には、プロスタグランディン軟膏やアクトシン軟膏などの外用薬を選択します。

肉芽形成の促進には、浸出液の量と肉芽の性状をよく観察します。この目的で使用する外用薬は、ユーパスタ軟膏、カデックス軟膏などです。使用する外用薬は、浮腫状の肉芽、乾燥性の肉芽により異なります。これらを見分けて使用する外用薬を検討します。

深い褥瘡のケア

深い褥瘡は感染を起こしていることが少なくありません。感染している場合は、良好な肉芽を形成できないため、最初に感染のコントロールを行います。外用薬は、カデックス軟膏、ゲーベンクリーム、ユーパスタコーワ軟膏などを用います。軽度の感染創には、銀イオン含有ドレッシング剤を治療に用いることもあります。

感染していない深い褥瘡のケアは、壊死組織を除去するために外科的デブリードマンを行います。外用薬も、壊死組織の除去を目的としてカデックス軟膏などを使用します。外科的なデブリードマンや外用薬の使用が難しい場合には、ハイドロジェルが多く用いられています。

DESIGN-Rで褥瘡の重症度を再評価

褥瘡のケアは、DESIGN-Rで褥瘡の重症度を再評価しながら進めます。具体的には、深さや浸出液、大きさ、炎症や感染、肉芽組織、壊死組織、ポケットなどを評価し、点数が小さくなるように治療方法を検討していきます。医師の判断などにより治療方法が大きく異なることもあり、褥瘡を正しく評価して最適な治療方法をアセスメントしていくことが重要です。

高齢者の方の特徴や治療をする上での工夫

高齢者の方に多い低栄養の状態は、褥瘡の発生のリスクが高く血清アルブミン3.0g/dL以下のことが多くみられます。病院によっては、褥瘡のレベルに応じてNSTの介入が行われています。肉芽形成を促進する上で必要な三大栄養素、必須ビタミンや微量元素などを摂取し、褥瘡が早く治るように治療が進められています。

高齢者の方が使用しているオムツの選び方や当て方についても工夫がされ、褥瘡の重症度によって適切な薬剤やドレッシング材を使用し、浸出液や感染のコントロールを行っています。さらに今後は、地域の施設や介護療養型の医療施設などでも、皮膚・排泄ケア認定看護師の活躍が期待されています。

まとめ

褥瘡は予防することが基本です。予防は、体位変換などにより除圧することで行います。適切なケアをおこなっても、患者さんの栄養状態や皮膚の状態によっては褥瘡ができることもあります。褥瘡が発生した場合には、DESIGN-Rに基づき重症度を評価しケアの方法を検討します。

基本的には、感染のコントロールをおこない肉芽形成に対しての治療を行います。褥瘡の状態などにより、使用する外用薬やドレッシング材などが異なります。褥瘡を評価し、患者さんの全身状態の観察を行いながら、最適な治療方法をアセスメントしていくことが重要になりますね。

 
登録は1分で終わります!

この情報はお役に立ちましたか?

無料でさらに聞いてみる

「レバウェル看護」を使うと、より詳しく話を聞くことができます。どんな転職先があるのか等も事前に知ることができます。

インタビュー参加者全員にギフト券3,000円分プレゼント!