日本は”超高齢化社会”に入っており、医療の現場でも高齢者の患者さんの数は増えているかと思います。
そこで今回は、高齢者の患者さんや施設などの利用者さんとのコミュニケーションを円滑にとるための『5つのコツ』をご紹介していきたいと思います。
「 高齢者=弱者、いたわる対象」というイメージを持つ方も多いようですが、最近はご高齢でも健康で若々しい方が増えましたよね。高齢者の方というのは、人生の大先輩。さまざまな経験をされてきた方ですので、しっかりと敬意を払って対応する気持ちはとても大切です。
最近では、「ユマニチュード?」というフランス発祥の高齢者看護の実践方法でも注目されましたが、相手に「敬意を払っている」ということをしっかりと態度で示してから看護を行うことで、患者さんが協力的になってくれるということがわかってきました。ポイントは、相手が「敬意を払われている」と感じているかどうかです。
また看護や介護の現場では、「赤ちゃん言葉論争」(高齢の方を可愛くいとおしく思い、あえて赤ちゃん言葉でコミュニケーションを図ることに対する賛否の論争)が起こっています。
赤ちゃん言葉を使用する看護師や介護士は、親しみをこめ、相手に安心感を与えようという意図で行っているケースが多いのですが、患者さんや利用者さんは赤ちゃん言葉を使われると「バカにされている」と不快に感じられる方もいらっしゃいます。赤ちゃん言葉を使わずとも、優しく親しみのある言葉をかけることは可能です。看護師や介護士は、相手の気持ちになって、コミュニケーションの手段を模索していくことが大切です。
高齢化が進む中で、ひとりひとりに対し敬意を持って接する意識を持つことは、高齢者とのコミュニケーションを円滑にする重要なポイントとなるのです。
高齢者とのコミュニケーションで留意しなければならないことは他にもあります。それは、「高齢になると心身機能が変化している」ということです。
例えば、ある周波数以上の高音は、70才以上になると聞き取りづらくなると言われています。
また、高齢になると人によって程度の差はありますが、脳が萎縮し始めます。それによって、今までより怒りっぽくなってしまったり、異疑い深くなってしまうなど、性格面に影響が出ることがあります。これらは、本来のその人の性格から来たものではない可能性があるのです。
こうした加齢による変化は、誰もがなる現象です。しかし、心身機能が今までと変わっていくことを、不安や不満に思う高齢者の方も少なくはないでしょう。
これらのことを踏まえ、高齢者の方とコミュニケーションを図る際は、「高齢者特有の心身機能の変化がある」というを理解していくことが必要です。
また、こうした高齢による身体的な変化を指摘したり、その方のことではなくても大勢の前で話したりするということを快く思わない方もいらっしゃいますので、同時に留意しておく必要があります。
高齢者の方とコミュニケーションをする際、「相手にしっかりと理解できるように話を伝えること」、「相手の理解をしっかり待つこと」、そして、「相手の意見をしっかり聴くこと」の3段階を丁寧に行うことが大切です。
そのためには、高齢者の方、それぞれのペースを把握し、それに合わせることが必要となります。
また、こちらの話を伝える際は、目線をできるだけ合わせた状態で、ゆっくり、はっきりと発音すること、その際に相手に伝わりやすい「笑顔」の表情を作ることも、よいコミュニケーションに役立ちます。たとえマスクをしていても、目だけでも表情を伝えることはできますよ。
コミュニケーションは、良好な関係性があってこそ成り立つもの。相手の調子がいいときもあれば、そうでないときもありますので、まず相手をよく観察し、こちらの好意を伝える表情で、しっかり伝わるように発言し、相手の意見は遮らず聴けるように心がけてください。
もし、会話が困難な方の場合は、こちらが相手の意図を汲み、YES・NOで答えやすい質問形式で聞き出せると、コミュニケーションが図りやすくなるかもしれません。
対話する相手の合わせることが高齢者とのコミュニケーションの欠かせないポイントです。
もうひとつ、高齢者の方とのコミュニケーションで気を付けていただきたいポイントがあります。
それは、高齢者の方を驚かせずに、慌てさせずに話かけるということです。
高齢になると、どうしても認知範囲は狭まると言われています。こちらは遠くから相手を認識していても、高齢者は気づいていないという場合も考えられるのです。
高齢者に話しかける際には、まず背後から近づかないこと、病室などに入る際はノックをしたり、「入ります」と声をかけたり、アクションをしてから入室するようにしてください。
そして、近づく際は、背後からではなく、できるだけ相手の正面から現れること。
相手の視界に入ったと確認できたら、できるだけ相手の目線で近づいていくこともよいでしょう。
良好な関係性ができている場合は、話しながら軽く手や腕に触れると、高齢者の方が安心できたり、親しみを感じられます。ただし、関係性ができていないのにいきなり触れてしまうと、高齢者の方は警戒されて、心を閉ざしまうかもしれませんので注意してくださいね。
高齢者の方に急に話しかけない、死角から現れないというのは、「転倒事故防止」にも重要なポイントです。
高齢者とのコミュニケーションでは、「会話」ということがとても大切です。
とくに広く社会に接する機会が減った高齢者の方には、会話を多くすることが認知症予防や進行の防止に役立つと言われています。
「世代差のある方との話題に困ってしまう」という看護師も、中にはいらっしゃるかもしれません。
そんな時は、ぜひ、高齢者の方の趣味の話や若い頃の思い出話を聞いてみてください。
話すことが苦手な高齢者でも、「好きなこと」については雄弁に話すことができると思います。
また、「思い出話」をすると、意識が若返えり、表情が明るくなったり、意欲的になる方も少なくありません。聴いている方も、自分と違う世代の話を聴けたり、その方がどんな人生を送られてきたのかがわかり、楽しく興味を持って聴くことができると思います。
ご高齢の患者さんや利用者さんと出会う機会が増えた現代において、看護師がこのような高齢者とのコミュニケーションのポイントを知っておくことは大切です。
高齢者と言っても、ひとりひとり違う個性を持った人間であり、看護師もそれは同じです。
それぞれが違うからこそ、「相手を知ろう」とする思いから、良好なコミュニケーションは生まれます。
超高齢化社会の中で看護師として活躍されているみなさん。上記の内容もひとつの参考として取り入れていただき、”自分らしい”高齢者の患者さんや利用者さんとのコミュニケーション方法を実践していってくださればと思います。
いつも頑張っている看護師のみなさんの思いが、高齢者の患者さんにも通じることを願っています。
※HUMANITUDEおよびユマニチュードの名称およびそのロゴは、 日本およびその他の国における仏国SAS Humanitude社の商標または登録商標です。
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