パワハラやモラハラなど、職場におけるハラスメントは、近年ニュースでも大きく取り上げられるようになりました。
なかでもパワハラは仕事中の事故や災害などと同じ「労災」として、業務に起因する災害の一つとして認められるようになり、うつ病や適応障害、睡眠障害などのさまざまな心の病気を発症すると、認定基準の対象に加えられます。
ここからは具体的に、心の病気による労災について詳しく見ていきたいと思います。
認定基準を満たし、「労働災害」と認定されると、労働者災害補償保険から保険が給付されます。
労働者災害補償保険は、勤務先(雇用主)が保険料を負担して運営されている保険で、規定に則って補償金額が決められています。うつ病などの病気にかかった場合は、通院費や治療費が支払われます。
職場でパワハラやモラハラなどを受けて心を病んでしまった場合でも、労災認定を受けることで給付金が支給されるので、通院や治療を続けながら回復を目指すことができます。
心の病気を発症した場合、労災と認定されるためには3つの基準をクリアしている必要があります。
まず、認定基準の対象となる「精神障害」を発症していること。うつ病・適応障害・心因障害・睡眠障害など、対象となる疾患は複数あります。
うつ病の場合、はっきりとうつ病とは分からなくても、うつ状態にある場合はうつ病として認可されるケースもあります。
次に、発病するだいたい6ヶ月前に「業務による心理的負荷」が認められていること。少なくとも半年前には心の病気の原因となる負荷がかかっていることが条件です。
業務と心の病気との関連については、長時間労働の有無、特別な出来事の発生など、36項目を弱・中・強の3段階に分けてチェックしていきます。
そして最後に、業務以外の心理的負荷や個体側要因が認められないこと。心の病気にかかる理由はあくまでも業務だけであって、それ以外の理由があると認可はされないという意味になります。
病院で「心の病気」と診断されたら、まずはその原因がどこにあるのかを考えることが大切です。
職場内でのいじめや過重労働などは労災の対象となりますが、うつを発症する6ヶ月以上前からうつ傾向にあったり、6ヶ月前より以前に心の病気の治療を続けている場合は、認可が下りない可能性もあります。
また、労災について勤務先に尋ねたい方もいるかもしれませんが、労災と判断する権限は勤務先にはありません。
労災はあくまでも労働基準監督署が認定するものですし、勤務先と交渉しようとすると「心の病気ぐらい労災にはならない」として補償を拒否されてしまう可能性もあります。
心の病気による労災の認定には、半年から1年程度の時間がかかります。その間は傷病手当金を受け取りながら、労災の申請を行い、認定後に労災に切り替えて給付を受け取ります。
切り替えの際には、健康保険協会または健康保険組合に、今まで受け取った傷病手当金と、治療にかかった総医療費または保険給付分の医療費を返還する必要があります。
少々手続きが複雑ですが、労災と認定されれば正規に補償をしてもらえるので、心の病気に泣き寝入りをせずに、適切に治療が受けられます。
業務の中で何らかの理由で心の病を抱えてしまった方の多くは、転職や退職をするなどして現場から離れていきます。しかしその場合病院への通院費や治療費などは本人が持たなくてはならず、病気を患って泣き寝入りすることもしばしばです。
どんな職場でもストレスはつきものですが、だからといってパワハラや過重労働などを放置しておくべきではありません。業務上にトラブルや問題を抱えている方は、まず根拠となる証拠を集め、労基署などに相談をしていくことが問題解決の第一歩となります。
精神労災の基準や都道府県の労働局の問い合わせ番号などについては、下記を参照ください。
厚生労働省の精神障害の労災認定に関する情報
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