呼吸器内科・外科に配属され聴診を行うようになった新人看護師さんに向けて、基本的な呼吸音の仕組み、正常な呼吸音とはどのようなものを解説します。また、異常な呼吸音、たとえば肺炎などを発症しているときの呼吸音がどのように聞こえるかなどを紹介します。
呼吸音とは呼吸の際に空気が振動する音です。空気は気道を通る際に、内腔の抵抗で流れが乱れます。その時に音がでるのです。気道は肺に向かって23回分岐し、末端に行くほど細くなっていきます。
呼吸音が発生するのは第7~9分岐までで、口腔から第9分岐までの場所を乱流領域と呼びます。呼吸音が特に多く発生するのが第7~9分岐で、これ以降の分岐で層流領域、分子拡散領域と呼ばれる場所では呼吸音は発生しません。
呼吸音を聴取して異常な音に気づくためには、正常な呼吸音を知っておくことが重要です。正常な呼吸音は4種類あります。気管呼吸音、気管支呼吸音、肺胞呼吸音の3種類とそれらにまたがる中間の音の気管支肺胞呼吸音です。
気管呼吸音は喉頭部で聴取でき、空気の流れる速度が速いため強く粗い高音です。吸気よりも呼気時のほうが音は大きく、持続時間も長いです。
気管支呼吸音は喉頭部の下方、背中の肩甲骨の間にある気管上で聴取でき、気管呼吸音に比べるとやや弱い音です。吸気時と呼気時では音の大きさ持続時間ともに等しく聞こえます。
気管支肺胞呼吸音が聴取出来る場所は気管支分岐部付近です。聞こえる音は気管支呼吸音と肺胞呼吸音の中間のような音です。吸気時のほうが呼吸時より少し音が高く大きく、持続時間は呼気時のほうが長く聞こえます。
肺胞呼吸音は前胸部と背部で聴取することができます。呼吸音のなかでもっとも低音です。吸気時は全体で聴診できますが、呼気時は最初にだけ聞こえます。
聴診時、呼吸音が正常な音より弱ければ、気胸などの疑いがあり、逆に強ければ気管支炎などの疑いがあります。健康な人の正常な呼吸音とその聴取場所を知り、聴診時に呼吸音を正確に聴き分けることで異常に気づきやすくなります。
副雑音とは正常な呼吸音ではない音のことです。この音を聴きわけ、正しく伝えることが看護師に求められる聴診のスキルです。ちなみに「ラ音」と表現することもありますが、正式名称は副雑音です。看護記録には副雑音と書くようにしましょう。
副雑音には断続性の音と連続性の音、胸膜摩擦音があります。
さらに断続性音は、粗い水泡音と細かい音のする捻髪音に分けられます。
連続性音は、いびきのような低調性のいびき音と笛のような高音がする笛音に分けられます。
聴きわけた副雑音を正しく伝えるために標準化された表現が使われているので、それを覚えておきましょう。
1. 断続性副雑音:水泡音:粗い:鍋にお湯が沸騰しているような音、ポコポコ
2. 断続性副雑音:捻髪音:細かい:硬いゴム風船をふくらませたような音、チリチリ、バリバリ
3. 連続性副雑音:いびき音:低音:低いいびきのような音、ウーウー
4. 連続性副雑音:笛音:高音:口笛のような音、ヒューヒュー
5. 胸膜摩擦音:こすれ合うような音、キュッギュッ
聴診時に副雑音が聴こえてきた場合には、なんらかの疾患が疑われます。
聴診した音によって疑われる疾患を大まかに分けると以下のようになります。
断続性の捻髪音:肺線維症、間質性肺炎など
断続性の水泡音:細菌性肺炎、慢性気管支炎、気管支拡張症など
連続性の笛音:気管支炎、肺炎、気管支喘息など
連続性のいびき音:気管支喘息、肺炎や異物や腫瘍などによる気道狭窄など
聴診器で音を聞いて、いち早く症状を正確に理解することが看護師に求められるスキルです。まずは正常な呼吸音と副雑音を理解することと、どこで聴診するのか、など基本的な技術習得から始めましょう。
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