現在、看護師の労働環境が十分に整っていないことが深刻な問題となっています。中には過酷な労働環境から抜け出せずに、命を脅かされてしまうケースもあります。看護師が過労死を避けるためにはどうすればいいのでしょうか?実際に起こった例をもとに、対策を考えていきましょう。
2012年に札幌の病院に勤務していた看護師の杉本綾さん(当時23歳)が自殺したことを受け、杉本さんの母親は国に労災認定を求めて訴訟を起こしました。
杉本さんは当時、看護師1年目でした。その労働状況は残業が1カ月で平均70時間を超えており、睡眠時間は1日2~3時間だったそうです。
国側ははじめ過労死認定の訴えを退けるよう求めていましたが、杉本さんの自殺から約1年後、主張を一転して過労死を認定しました。
この一件は多くの注目を集め、看護師のみならず医療現場で働く人たちの過酷な労働状況の問題が浮き彫りになりました。
また、現役で働く看護師にとっても、「自分のいまの労働環境はどうなのか?」「なにか対策を考えた方がいいのではないか?」と現状の働き方を見つめ直すきっかけになったのではないでしょうか。
過重労働に悩む看護師はたくさんおり、TwitterなどのSNSでも心身ともに限界を感じている看護師の投稿が多く見られます。中には、「当初聞いていたよりはるかに残業時間が長い」「過労死ラインを超えて仕事をしている」など深刻なものも見受けられます。看護師がいかに過酷な環境で働いているかがわかります。
看護師の労働環境が一向に改善されない理由としては、「看護師の人材不足」と「相談できる環境が職場にないこと」という2つの原因が考えられます。
人材不足は医療業界全体に共通する問題であり、年々深刻になっています。人が足りないため看護師一人あたりの業務負担が大きくなり、離職や転職を考える人が後を絶ちません。
そして、看護師のメンタルケアができる環境が整っていないことも大きな問題です。
本来、業務に関する相談は先輩看護師や直属の上司にするのが基本ですが、忙しすぎて相談すらできないような状態の病院が多いようです。そのため、労働環境に不満があっても相談できず、抱え込んでしまうという看護師が多いのです。
さらに今後高齢化が進むことを考えると、労働環境はより過酷になるのではないかと不安視する声も多くあります。
このような状況を受けて政府は、看護師を含む医療従事者の負担軽減への対策を検討するために動きはじめました。具体的には、看護師の勤務間インターバル制度の義務化や夜勤回数の見直しなどが挙げられています。
政府はこのような対策が「過労死等の防止のための対策の主軸になる」と考えているようですが、根本的に看護師の人手不足は解消できていないため、一人あたりの業務負担を減らすことはむずかしいのが現状です。
過重労働が原因で精神的に疲弊してしまっていたり、あるいは健康状態に悪影響が出たりしている看護師はたくさんいるかもしれません。ですが、自分の命以上に大切なものはありません。もし現状の労働環境に限界を感じているのであれば、環境を変えるという選択肢にも目を向けてみてください。
現状を少しでも改善できる病院を探し、転職するのもひとつの手です。必ずしも無理して今の病院での勤務を続ける必要はありません。これを機にぜひ、ご自身の労働環境を見直してみてください。
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