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看護技術Q&A

夜勤明けに、車で300km走って車中泊。大自然と動物をこよなく愛する看護師フォトグラファー半田菜摘さんのタフで熱い日常。

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写真家として活躍する現役看護師


現役のフルタイム看護師で写真家の半田菜摘さん。


半田さんは、単に看護師と写真家を両立させているだけでなく、数々の賞を受賞し、テレビのドキュメンタリー番組でも取り上げられるほどの「オンリーワン」の存在。

病棟勤務で夜勤もこなしながら、
休日は、美しくも荒々しい北海道の大自然の中に分け入り、
野生動物との出会いをひたすら待つ。
ときに、雪の中で8時間以上待つこともあるという。



去る2019年7月、渋谷ヒカリエで開催の「東京カメラ部写真展2019」に参加されるとの噂を聞き付け、『ナースときどき女子』編集部は半田さんにお話を伺ってきました。

お会いしてみると、どこにそんなバイタリティが詰まっているのだろうか、
と思うほど、半田さんは可愛らしい女性でした。

写真を撮ることで看護師の仕事にもいい影響があると語る半田さん。
野生動物を撮る意味や看護師と写真家の仕事を両立する秘訣などをたっぷり話していただきました。


やりがいを感じて看護師に。……その後、


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――テレビのドキュメンタリー番組『セブンルール』(フジテレビ系列・2019年3月19日に放送済)で、看護師と写真家を両立されている姿を拝見しました。

半田さん ありがとうございます。森での撮影や病院内で働くシーンにも密着していただきました。現在も生まれ故郷の旭川市で、看護師として病院に勤めながら、休みの日に写真を撮っています。

――写真家としての活躍についてはのちほどたっぷりお聞きするとして、まずは「看護師を目指したきっかけ」からお聞かせください。

半田さん もともと看護師を目指していたわけではないんですが、母が介護の仕事をしていたのでその影響もあったかなと思います。私が高校の進路を考えるときに、母にはよく「私が若かったら看護師になりたいわ」とか「今の時代、看護師資格は絶対いいわよ」と猛プッシュされました。

――最初はご自身で看護師を志望されたというわけではないんですね。

半田さん そうなんです。正直、命を預かるような仕事をするのは荷が重いなあと感じていたのですが、母の意を汲んだ叔父が美唄聖華高等学校(北海道美唄市の5年制看護学校)の入学パンフレットを持ってきてくれて、徐々に入学する雰囲気に。(笑)

――高校から看護を学ばれたわけですが、入学されてどうでしたか?

半田さん 高1から看護教科と一般教科の両方があるので最初はほんとに大変でしたね。ただ、全員が「看護師になる」という同じ目標があるので「頑張るしかない」という雰囲気でした。
でも5年生で実習が始まると、「めちゃくちゃいい仕事だ」と感じるように変わっていきました。徐々にやりがいも感じるようになったんです。もともと人と関わる仕事に就きたいと思っていたので、実習経験で看護師という仕事がストンと自分の中におちた感じです。患者さんの人生に向き合える素晴らしい仕事だと思えるようになっていました。

――では、やりがいをもって看護師になられたんですね。実際に働き始めていかがでしたか。

半田さん 札幌の病院に就職して、オペ室に配属されたので、患者さんと直接話す機会があまりなく、また、職場に人間関係を悪くさせるような人がいたので、じつはあまり良い思い出がないんですよね。初めて勤める職場だったので、「看護の現場ってこんなものなのかな」と我慢していたんですけど、他の人がどんどん辞めていってしまうので、「あ、やっぱりひどい環境だったんだ」と……。

――そうだったんですね。人間関係がきついと大変ですよね。
現在は故郷の旭川の病院にお勤めとのことですが、その札幌の病院には何年勤務されたのですか?


半田さん 3年は頑張ろうと思っていたんですけど、2年半で旭川に戻ることにしました。そこからはずっと同じ病院の病棟勤務です。今の病院は職場の人間関係も良いですし、患者さんと直接触れ合えることが嬉しくて、充実した看護師生活を送っています。

仕事のストレスを癒してくれたのが自然だった


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――では、写真の話を聞かせてくだださい。看護師として忙しい日々を送りながら、どのような経緯で写真と出会ったのですか。

半田さん もともとアウトドアは好きだったのですが、札幌で働いてつらかったときに知人が海釣りに誘ってくれたんです。ぼんやり海を眺めながら釣りをしていると、本当に気持ちが癒されて、「やっぱり自然っていいなあ」と改めて感じたんですね。

――なるほど、いきなり写真ではなく、まずは釣りやアウトドアだったんですね。

半田さん はい。それですっかり釣りにハマって、旭川に戻ってからもよく釣りに行っていたんですが、そこで知り合った釣り仲間が写真をやっていて、その人が撮った夕日の写真に感動してしまったんです。「うわー、こんなの撮りたい」って言ったら、「じゃあカメラ買わないと」と言われて、ちょうどボーナス時期だったこともあって、思い切ってセール品を購入してしまいました。それが私のファーストカメラです。
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看護と写真がリンクして相乗効果に


――半田さんは、看護師としてフルタイムで働いていますよね。その中で大自然の野生動物を撮るというのは、かなりハードなのではないかと思います。そのあたりのご苦労はいかがですか。

半田さん 時間のやりくりはたしかに大変です。写真は撮影して終わりじゃなくて、撮影データの処理もありますし、以前はプリントもやっていましたし、いまは個展もあるのでその準備や取材対応などもありますし……。でも、いまの職場はシフト面でもそれ以外の面でもとても理解していただいているので助かっています。

――シフト面でいうと、どのような状況なのでしょう。たとえば一週間のスケジュールはどう組まれていますか。

半田さん うちの病院は2交代制ですが、シフトを組む際に結構希望を聞いていただいていますね。たとえば夜勤明けの休日と通常の有休を組み合わせて連休にする、なんていう希望も通るので、それで撮影が続けられている面はあります。夜勤明けでそのまま撮影に行くこともありますし、撮影場所で夜まで撮影して、深夜に帰宅して翌日の日勤に出ることもありますよ。


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――体力的にきつくないですか?

半田さん 好きなことだから続けられるというのもあるんですけど、看護師の仕事って本当に忙しいじゃないですか。いざ職場に出たら勢いで働けちゃうんですよね。・・・ただ、30歳を過ぎて、きつくなってきたなとちょっとだけ感じることはありますけど。(笑)
そして何よりシフト以外の面で、作品自体を評価していただいているのが嬉しいですね。理事長がもともと絵が好きで、患者さんの癒しにもなるからと、私が撮った写真を病院内に飾っていただけたんです。応援してもらっているなあと感じますね。

――半田さんのお話を聞いていると、看護と写真が良い形で結びついているように思えます。

半田さん まさにその通りで、私のなかでは看護と写真はリンクしているんです。入院で外に出られない患者さんが私の写真を通して四季を感じてくれたり、通院中の患者さんが「あなたの写真を見たいから頑張って通院する」と言ってくれたり、気難しいタイプの患者さんが実はカメラが趣味で、写真を通して打ち解けられたということもありました。本当に良い影響しかないですね。

動物写真は究極の一期一会


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――先ほど、撮影場所が遠いというお話がありましたが、距離だけでなく、大自然の中に入っていく大変さもあると思います。それでも半田さんを過酷な撮影に向かわせる原動力は何ですか。

半田さん 大自然に身を置くことや動物と出会えたときの感動です。特に北海道は野生動物が多いので、それだけで魅力的な撮影環境だと思います。それと、やはり写真をやっているからには、良い写真を撮りたいっていう思いも強いです。誰もが行くような場所ではなく、自分で見つけた自分だけの世界を撮影して、それが認められれば達成感もあるし「嬉しい!」と感じますね。

――その「自分だけの世界」を撮影できたというエピソードをひとつ教えてください。

半田さん シマフクロウという世界最大級のフクロウを撮影したことです。約1年もかけてしまいました。

――1年ですか!?

半田さん そうなんです。シマフクロウは絶滅危惧種で個体数が170羽しかいないうえに、夜行性なのでなかなか見つけることが難しんですね。それで、このときはまず生態を調べることから始めました。ざっくり道東に棲んでいることがわかり、エサは渓流の魚を食べていることがわかりました。でも、これではまだ漠然とし過ぎていますよね。次に、シマフクロウは川の上から目視で魚を狙うので、水が澄んでいて浅瀬がないといけないという条件が必要だとわかってきたんです。ある程度、川の目星がついたら、今度は地図上に等高線が表示されるスマホアプリを使って、川沿いを探索します。撮影できずに、探索だけで終わった日もありました。そうして、魚を食べた痕跡やフンを見つけて、ようやく「ここが餌場だ!」って。

――写真家というより動物の研究者のようですね。そんな熱い思いで動物と出会えた瞬間や思い通りの場面でシャッターを切れた瞬間というのは、どんな気持ちなのですか。

半田さん これはもう「ありがとう!」の一言に尽きます。野生動物の撮影って、いってみれば「究極の一期一会」なんですね。私がいる場所に動物が現れてくれて、その場所に私と動物だけがいる。同じ空気を共有してそこにいてくれるっていう空間が「たまらなく愛おしい!」って感じるんです。

やりたいことがあるなら、やらなきゃもったいない!


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――看護の仕事以外の居場所があるというのは、どのような意味があるとお考えですか。

半田さん いろんな人と出会えることですね。特に趣味から始まる交友関係って、気の合う仲間ができやすいと思います。私も、写真を通して心から信頼できる人や、真剣に人生相談できる人と出会えました。それから、仕事以外にやりたいことがあると、それだけ視野が広がるので、人生が豊かになっているなあって実感することがあります。そうして心に余裕ができれば、人と接するときも優しくなれるので、結局は仕事にも良い影響があるんですよ。

――最後に、半田さんのように看護以外のことにも挑戦してみたいという方にメッセージをお願いします

半田さん いきなり仕事にしようとすると無理があるかもしれないので、最初は趣味からでもいいんじゃないでしょうか。自分の人生なので、やりたいことがあるならやらないともったいないです。私の経験からいっても、本当にやりたいことは続けられるし、本気で取り組めば必ず良い経験になるはずなので、好きなことならぜひ挑戦してみてください。



――慌ただしい日々に流されがちな看護師の皆さんに向けて、
とても刺激的で勇気を与える言葉だと思います。

看護師と写真家の両立は大変ですが、
ぜひ今後も頑張ってください。


本日はありがとうございました!



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