看護師がスキルアップするために、どのような研修を受講すべきか、悩むことがあるのではないでしょうか。看護師がスキルアップするために役立つ資格や、キャリアアップを目指せる資格について詳しく解説します。スキルアップを希望する看護師は「仕事にやりがいを感じられない」「職場に対し不満がある」など、理由はさまざま。このコラムでは、資格取得以外に、看護師ができることについてもご紹介します。
スキルアップを望んでいる看護師が、今の仕事や職場に対し悩みを抱えているケースは、少なくありません。以下にいくつか例を挙げますので見てみましょう。
看護師は日々の忙しさや責任の重さ、また、それに見合う待遇を得にくいことから、やりがいを感じられなくなることがあります。多忙な業務に追われることで、流れ作業のように感じ、一人ひとりの患者と向き合えず後悔することも。さらに、患者からのクレームや、先輩看護師から厳しい指導を受けることにより自信を失い、やりがいを見出せなくなる場合もあります。
職場の仕事内容に不満があり、スキルアップやキャリアアップを望む人もいるでしょう。看護師の仕事には、診察や手術の補助、入院患者の世話などがあります。人手不足などの理由から、残業や休日出勤など時間外労働を、頻繁に求められる職場もあるでしょう。また、休日に勉強会へ参加するよう職場から指示されることがあり、その後、レポート提出が必要となることも。
このような体制に不満を持ち、現状を変えるため、自身の知識や技術を高めたいと願う看護師もいるようです。
看護師として、より高い知識や技術を身につけたくても、教育体制が整っていない職場もあるでしょう。院内で勉強会や研修制度がないことに加え、先輩看護師などから仕事を教えてもらえないことも。
興味のある研修が職場以外の場所で開催されるとしても、勤務時間の調整をしてもらえず、参加できないケースもあります。
新しい情報を積極的に取り入れず、古い情報を元にした新人教育や、基礎の復習を行っている職場もあるでしょう。基礎はもちろん大切ですが、復習だけでは新たな技術や知識を身に着けられません。研修受講や資格取得などでスキルアップをし、古い体制の職場から転職するという選択肢もあります。
看護師としてスキルアップを目指せる、おすすめの資格を3つご紹介します。
専門看護師とは、複雑で困難な看護問題を抱える患者や家族の、看護および支援をするため、専門知識と技術を高めた看護師のことです。専門看護師は13の分野に分けられており、日本看護協会の「認定審査(書類審査と筆記試験)」に合格すると、認定証が交付されます。
専門看護分野は、以下のとおりです。
・がん看護
・精神看護
・地域看護
・老人看護
・小児看護
・母性看護
・慢性疾患看護
・急性、重症患者看護
・家族支援
・在宅看護
・遺伝看護
・災害看護
専門看護師を受験するには、以下の要件を満たしている必要があります。
・日本国内の看護師免許を有している
・看護系大学院修士課程修了者で、日本看護系大学協議会が定める、専門看護師教育課程基準の所定の単位(総計26または38単位)を取得している
・実務研修が通算5年以上あり、うち3年以上が専門看護分野の実務研修である
なお、専門看護師は5年ごとの更新手続きが必要で、その際、看護実績や研修実績、研究業績などの書類審査が行われます。
参照元
日本看護協会
専門看護師・認定看護師・認定看護管理者
認定看護師とは、保健・医療・福祉の現場において、熟練した知識と技術で看護ができる看護師のことです。「認定看護師教育機関」へ入学・修了したあと、日本看護協会の「認定看護師認定審査」に合格すると、認定証が交付されます。
日本看護協会が制定している、認定看護分野(21分野)は以下のとおりです。なお、この21分野に対する教育は、2026年度をもって終了します。2020年度より、新たに開始される19分野について、順にご紹介するので、ご参照ください。
2020年度から教育が開始される分野には、2026年度に終了する分野と同じものが、いくつか含まれます。これらは、内容を一部見直したうえで、教育が継続される分野です。
【認定看護分野(2026年度で終了する21分野)】
・救急看護
・皮膚、排泄ケア
・集中ケア
・緩和ケア
・がん化学療法看護
・がん性疼痛看護
・訪問看護
・感染管理
・糖尿病看護
・不妊症看護
・新生児集中ケア
・透析看護
・手術看護
・乳がん看護
・摂食、嚥下障害看護
・小児救急看護
・認知症看護
・脳卒中リハビリテーション看護
・がん放射線療法看護
・慢性呼吸器疾患看護
・慢性心不全看護
【認定看護分野(2020年度から開始される19分野)】
・感染管理
・がん放射線療法看護
・がん薬物療法看護
・緩和ケア
・クリティカルケア
・呼吸器疾患看護
・在宅ケア
・手術看護
・小児プライマリケア
・新生児集中ケア
・心不全看護
・腎不全看護
・生殖看護
・摂食嚥下障害看護
・糖尿病看護
・乳がん看護
・認知症看護
・脳卒中看護
・皮膚、排泄ケア
認定看護師を受験するには、以下の要件を満たしている必要があります。
・日本国内の看護師免許を有している
・実務研修が通算5年以上で、うち3年以上が認定看護分野の実務研修であること
なお、認定看護師は5年ごとの更新手続きが必要です。その際、看護実績や研修実績、研究業績などの書類審査が行われます。
ケアマネージャー(介護支援専門員)は、要介護者や要支援者に対しケアプランを作成し、施設や家族などと連携を図る専門員です。都道府県が実施している「介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネージャー試験)」に合格したあとに、実務研修を修了する必要があります。
一般的な受験要件は以下のとおりです。なお、地域ごとに異なる場合があるので、詳細については居住地または、勤務地の都道府県窓口へお問い合わせください。
・介護福祉士や社会福祉士、看護師などの国家資格を有している
・上記業務に対し実務経験が5年以上、かつ、従事日数が900日以上
・生活相談員や支援相談員として、相談援助業務に従事した期間が5年以上、かつ900日以上の実務経験がある
資格取得後は、5年ごとに更新手続きが必要です。更新時に行われる研修内容は、都道府県ごとに異なりますが、手続きを行わなかった場合は、資格剥奪となる可能性があるため注意しましょう。
なお、ケアマネージャーとして勤務するのであれば、資格取得が必須です。
看護師のスキルアップに役立つ資格を、診療科目ごとにご紹介します。
救急看護の現場では、迅速かつ的確な判断力を求められます。以下の資格は、救急科でスキルアップを目指す人におすすめです。
・BLSプロバイダー
・PALSプロバイダー
・ACLSプロバイダー
・学会認定・自己血輸血看護師
救急科においては、感染症対策が必要となることがあるため、「認定看護師」の項目で紹介した「感染看護分野」の資格も活かせるでしょう。
小児科では胎児から成人まで、幅広い年齢の患者に対する看護が必要です。年齢や発達状態によって対応が異なるため、綿密で丁寧なケアができる看護師が求められます。小児看護でスキルアップを目指すなら、以下の資格があると良いでしょう。
・臨床心理士
・思春期保健相談士
・社会福祉士
長期看護が必要な患者やその家族には、支援制度の提供だけでなく、心のケアが大切となるため、メンタルヘルスに関する知識が役立ちます。
整形外科の治療に必要な知識のほか、リハビリテーションの知識や技術を身につけられる資格は、以下のとおりです。
・骨粗鬆症マネージャー
・回復期リハビリテーション看護師
・日本運動器看護学会認定運動器看護師
整形外科では、ケガだけでなく骨粗鬆症患者のリハビリテーションをお手伝いすることがあります。それぞれの患者に対し、どのようにリハビリテーションを進めて行くのか、的確に判断し計画できるスキルが活かせるでしょう。
精神科では、以下の心理系に特化した資格が役立ちます。精神科には、自分の症状を的確に伝えられない患者さんがいることも。看護師は患者の心理状態を読み取ったうえで、医師に状態を伝える役割を担っています。
・臨床心理士
・公認心理師
・認知症ケア専門士
認知症ケア専門士と臨床心理士は民間の資格で、公認心理師は国家資格です。
看護師が専門の分野において、スキルアップを目指せる資格を、いくつかご紹介します。
体外受精コーディネーターとは、体外受精や顕微授精など高度生殖医療を必要とする人に対し、カウンセリングやケアを行うための資格です。NPO法人日本不妊カウンセリング学会が行っている、養成講座を受講したあと、筆記および面接試験に合格すると取得できます。
福祉住環境コーディネーターとは、障がい者や高齢者に対して、快適な住環境を提案するアドバイザーです。医療や福祉、建築などに関する、幅広い知識を身につけられます。
なお、この資格は、東京商工会議所によって認定されるもので、学歴や年齢、国籍などによる受験制限はありません。
リンパ浮腫療法士とは、患者に対し「複合的リンパ浮腫療法」をどのように行うか、指導や実施を行う資格です。受験資格は以下の4つすべてを、満たしている必要があります。
1.医師・看護師・理学療法士・作業療法士・あん摩マッサージ指圧師いずれかの資格を所持
2.上記の業務経験が2年以上
3.リンパ浮腫に関する研修を修了している
4.リンパ浮腫外来およびそれに準ずる医療機関にて臨床経験がある
日本リンパ浮腫治療学会による研修を修了し、リンパ浮腫患者の治療に関する実施症例を体験し、書類選考および、認定試験に合格すると資格取得となります。
看護師が目指せる管理職は、主に「看護主任」「看護師長」「看護部長」の3つです。日本看護協会では、この3つの役職に相当する「認定看護管理者」の教育と審査、認定を行っています。認定看護管理者の受験要件は以下のとおりです。
・日本国の看護師免許を有すること
・免許取得後、実務経験が通算5年以上あること
・以下4つの要件のうち、いずれかを満たしていること
1.認定看護管理者教育課程のサードレベル修了
2.看護系大学院において看護管理を専攻し修士号を取得、かつ修士課程修了後の実務経験が3年以上
3.師長以上の職位で管理経験が3年以上あり、看護系大学院において看護管理を専攻し修士号を取得
4.師長以上の職位で管理経験が3年以上あり、大学院において管理に関連する学問領域の修士号を取得
認定看護管理者の教育は、「ファーストレベル(150時間)」「セカンドレベル(180時間)」「サードレベル(180時間)」の3つあり、段階的にキャリアアップを目指せるでしょう。資格取得後は、5年ごとに更新手続きが必要です。
専門の資格を取得する以外に、看護師は以下のことを行っています。
看護師のためのセミナーや研修は主に、日本看護協会セミナーや各学会主催のセミナー、専門看護師のキャリアアップセミナーなどがあり、各地で定期的に開催され種類もさまざまです。なかには、インターネットで受講できる研修もあります。
短大や専門学校などで看護師免許を取得した人は、大学で単位を取ることにより、最短1年間で「学士(看護学)」を取得可能。看護師として働きながら通うことができ、卒業後に希望であれば大学院へ進学し、さらに修士・博士を目指せます。
大学に通学する時間を作れない人は、通信制学校が良いでしょう。通信制学校であれば、時間の融通が利くため、働きながらでも無理なく勉強ができます。通信制であっても、実習は行うので、スキルアップに必要な技術を学べるでしょう。
このコラムでご紹介したように、看護師ができるスキルアップの方法はいくつもあります。しかし、自分に合う資格や分野は何か、まず何に取り組むべきか、悩んでいる人もいるのではないでしょうか。資格やセミナーについて調べ、受講することを不安に感じている人は、看護のお仕事にご相談ください。
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