看護師と准看護師の違いには、どんなものがあるでしょうか。准看護師は、医師や看護師の指示を受けたうえで業務に当たらなくてはいけません。業務内容に大きな差はありませんが、資格の取得方法や給与が異なります。このコラムでは看護師と准看護師の違いや准看護師資格の取得方法を掲載。また、准看護師から看護師への転身方法についてご紹介します。
一般的に看護師と呼ばれる職種には、「看護師」と「准看護師」の2種類があります。法律上、名称独占の規定があるため、准看護師は看護師と名乗ることはできません。
看護師は、厚生労働大臣から与えられる資格です。業務に関する法律上の定義として、傷病者と褥婦に対する療養状の世話や診療の補助を行うことが仕事であるとされています。
准看護師は、都道府県知事から与えられる免許です。業務に関する法律上の定義として、「医師や歯科医師、看護師の指示を受けたうえで」、傷病者と褥婦に対する療養状の世話や診療の補助を行うことが仕事であるとされています。つまり、看護師と業務内容に大きな差はありませんが、医師や歯科医師、看護師からの指示がなければ動けないということです。
また、准看護師資格だけでは、専門看護師や認定看護師の資格を取得することはできません。
看護師と准看護師の大きな違いは法的な立場です。看護師は国家資格、准看護師は公的資格であるため、資格取得までの道のりが異なります。
看護師と准看護師の違いをみてみましょう。
看護師の場合、高卒以上なら最短3年、中卒なら最短5年で専門の教育課程を経て、国家試験の受験資格を得ることが可能です。准看護師は最終学歴に関係なく最低2年、専門の教育機関で勉強すれば受験できます。中学卒業後、少しでも早く働きたいのであれば、准看護師を一つの選択肢として考えてみても良いでしょう。
医療に関する政策において、医療サービスの手厚さを表す指標「看護配置基準」があります。看護配置基準とは看護師と患者数の比率を図るものです。この「看護師」に准看護師は含まれません。基準値によって診療報酬も異なるため、利益を上げたい病院では、准看護師を採用していないケースもあるでしょう。
厚生労働省が発表した「令和元年賃金構造統計調査」によると、看護師の月の給与額は約33.4万円で、准看護師だと約28.2万円です。また、看護師の平均年収は約482.9万円で、准看護師の場合は約403万円のため、看護師の方が給与が高いことがわかります。
出典:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」
准看護師になるには、准看護師試験に合格することが必須です。准看護師の試験を受けるには、次のいずれかの方法があります。
准看護師養成所の入学条件は中学校を卒業していることです。受験資格が中学校卒業ということもあり、入試の難易度は中学卒業レベルに設定されています。入試科目は学校によって違いますが、英語・作文・国語・社会・数学・理科など、中学で学んだ内容から2~3科目出題されることが多いようです。
高等学校の中には、准看護学校と同じ扱いになる「衛生看護科」というコースがあります。衛生看護科を卒業後、専攻科に進み2年間勉強すると看護師資格の受験が可能です。また、衛生看護科を卒業後には高等学校の卒業資格も与えられます。
准看護師を目指すメリットに、資格取得までの期間が看護師と比べて短いことや働きながらでも資格を取りやすいことが挙げられます。准看護師を目指すメリットをみてみましょう。
准看護師資格は最短2年で取得することができます。一方、看護師資格は最短でも3年、最終学歴が中学卒業であれば5年かかるので、早く働き始めたい人には准看護師資格はメリットといえるでしょう。また、看護師と比べて資格取得までの期間が短いため、かかる費用もその分少なめです。
准看護師資格は、働きながらでも資格が取りやすいといえます。准看護師養成所には、全日制と半日制があり全日制であれば週3日、半日制であれば平日の午後や夜間に授業を受けられることがほとんどです。そのため、自分のライフスタイルに合った通学方法の選択が可能です。仕事の合間に通学することができるため、働きながらでも資格取得を目指しやすいでしょう。
准看護師試験は、6つのブロックに分けられた各都道府県で行われます。試験日がそれぞれ異なるため、同じ年で複数回の受験が可能です。試験内容は各都道府県で異なりますが、合格率は平成26年から令和元年にかけて96%~98.9%と高い数値を推移しています。試験の回数が多く、合格率が高いことはメリットといえるでしょう。
出典:厚生労働省「令和元年度准看護師試験の実施状況」
准看護師が看護師へ転身するには「看護師学校養成所」に通い2年の課程を修了後、国家試験に合格する必要があります。看護師学校養成所には全日制や昼間・夜間の定時制、通信制があることがほとんどです。全日制の通学期間は2年間で、准看護師資格を持ち、最終学歴が中学校卒業の場合は実務経験が3年以上あることが受験の条件となっています。なお、定時制の場合は、2年の課程を修了するまでに3年の通学期間が必要で、全日制同様、准看護師資格を持ち、最終学歴が中学校卒業の場合は、実務経験が3年以上あることが入学の条件です。
通信制は2年間で、入学するには准看護師資格を持ち、かつ実務経験が7年以上ある必要があります。座学は通信教材によって受講することが可能なため、働きながらでも勉強しやすいでしょう。ただし、実習のほかにも2年間で50日以上登校しなければなりません。
准看護師という職業の現状を詳しく解説します。准看護師は減少傾向にあり、准看護師と看護師を一本化しようとする動きも。その一方で、准看護師は必要であるという考えもあります。これから准看護師を目指そうと考えている方は、以下を参考にしてみてください。
厚生労働省の発表によると、平成30年の准看護師の数は約30.4万人です。看護師の数は平成24年の約101.5万人から平成30年の約121.8万人と、年々増加傾向にあることに対して、准看護師の数は平成20年の約37.5万人、平成24年の約35.7万人と減少傾向にあることがわかります。
出典:厚生労働省「平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」
近年、少子高齢化により医療の高度化・複雑化が進んでいます。それゆえに、医療現場での看護師は自分で判断し、行動しなければいけない機会が増えているといえるでしょう。医療のニーズが年々高まっている現状では、看護師の人数を確保する必要があると日本看護協会は自分の判断で業務を行うことができない准看護師を、看護師と一本化しようとしています。実際、一部の都道府県では、准看護師課程の募集を停止しているようです。
しかし、医師会では地域看護を支えているのは地域への定着率が高い准看護師であるという考えを発表しており、准看護師がいなくなってしまえば地域医療の人手不足が問題になるとしています。
准看護師は減少傾向ではありますが、資格取得までの期間が短かったり、働きながら資格取得が目指せたりするというメリットがあります。ライフスタイルややりたいことを思い浮かべ、自分に何が合うかを考えてみると良いでしょう。
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