看護師向けに助産師の仕事内容や資格の取得方法をご紹介

2018.2.18

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看護師の中には、助産師にも興味のある人もいるのではないでしょうか。また、看護師と助産師、両方の資格取得を目指している人もいるでしょう。助産師になるには、看護師資格が必須です。このコラムでは、看護師資格を持っている場合といない場合に分けて助産師になる方法を掲載。また、仕事内容や活躍の場、試験の合格率をご紹介します。

助産師とは

助産師は厚生労働大臣から認められる国家資格で、出産のお手伝いをする専門職です。日本では、助産師になれるのは女性のみとなっています。助産師の役割は、出産のサポートだけではありません。妊娠期の妊婦の診断や健康管理の指導から始まります。また、出産後も母体が妊娠前の状態に戻るまでの「産褥期」のサポートをしつつ、赤ちゃんの診察や子育てに関するアドバイスをするのも仕事のうちです。
助産師になるには看護師資格を持っている必要があります。また、助産師資格を持っていると、助産院を開くことが可能です。

看護師と助産師の違い

病気やけがの患者の診療・治療のサポートが主な仕事である看護師とは違い、助産師は出産に関連する業務が中心で、妊婦への介助も許可されています。出産時の直接的な介助は看護師ではなく、助産師が行う規則です。そのため、看護師としての知識のほかに、助産師としての豊富な知識が必要となります。

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助産師の仕事内容

助産師の仕事は出産の介助や妊産婦と赤ちゃんのケアです。
助産師の仕事内容を妊娠期、出産時、産後に分けてご説明します。

妊娠期

妊娠期における助産師の仕事は、妊婦とおなかの赤ちゃんの両方を定期的に診察して身体の状態を把握し、母子ともに健康な状態で出産期が迎えられるように適切な食事や運動の指導を行うことです。また、父母になる2人へ親となる際の心がけや出産の基礎知識を教えます。
安全に出産を終えるには、定期健診で母子の健康状態をチェックすることがとても重要です。おなかの上からエコーを当てて、赤ちゃんの心拍数や生育状況をみたり、妊婦の健康状態も触診や聴診で確認したりします。
ほかにも、妊婦の悩み相談にも対応するなど、心身ともに健康な状態で元気な赤ちゃんが産めるように指導していくことが助産師の仕事です。

出産

赤ちゃんが生まれてくる時期を迎えると、母子の身体に異常はないか診察を行いながら出産の準備を整えます。助産師は看護師とは違い出産の際に直接、身体に触れることが可能です。母体の状態をみながら赤ちゃんの頭を支えたり、医師に対応を指示したりして、出産の進行をコントロールする役割があります。出産を迎える妊婦は、不安や痛み、吐き気のせいでパニック状態になることが少なくありません。そのため、出産の進行具合をみながら身体をさすったり声をかけたりして、妊婦のケアを行います。

産褥期

産褥期に、お母さんが自立できるようにサポートすることはとても大切です。産褥期とは、出産後に母体がもとの状態に戻るまでの期間のことで、通常6~8週間かかります。入院している赤ちゃんのお世話や母子の健康管理、育児の指導などが主な仕事です。また、はじめて出産を経験したお母さんには、母乳の与え方やおむつの換え方なども指導して、育児の悩み相談にも応じます。

母子の退院後

母子の退院後は、健診などの産後ケアが主な仕事です。1ヶ月検診で赤ちゃんとお母さんの健康状態を確かめます。まず行うのは、赤ちゃんがうまく呼吸できているかどうか、母体の外の生活に順応できているかどうかのチェックです。そのあとは、定期健診で3歳までの新生児期の健康状態を見守りながら、赤ちゃんの成長に合わせたサポートを行います。

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助産師の活躍の場

助産師の活躍の場は、病院や助産所に限らずさまざまです。少子化により出産の機会は減っていますが、助産師が妊婦の検診や生活習慣の指導を行う「助産師外来」が注目を浴びています。また、中高生を対象にした性教育や出産を終えた女性へのアドバイスといった活動をしている助産師も。そのため、助産師の活躍の場は増えているといえます。
助産師の活躍の場をみていきましょう。

病院

病院では、正常分娩と異常分娩の両方の出産に対応します。スタッフの最低配置人数が決められており、産科医1人と直接身体に触れて介助をする助産師1人、赤ちゃんを受け取る助産師または看護師1人の3人体制で行うことが基本です。健康上問題のない母子に関してのみ、助産師が単独で出産介助を行うことができます。しかし、陣痛促進剤を使用した出産や麻酔を使う無痛分娩、帝王切開といった出産には産科医の判断と指示が必要です。そのため、病院での出産が多くなり、助産師のほとんどが病院の産科や産婦人科に勤務しています。厚生労働省の資料によると、病院勤務の助産師は全体のうち約63%です。
近年では、産科医の代わりに助産師が妊婦検診を行う「助産師外来」を設ける病院が増加傾向にあるといわれています。産科医と助産師の連携が取れているので、安心できる環境が整えられているといえるでしょう。

産婦人科クリニック

産婦人科クリニックでは規模の大きい病院と同様に、産科医と助産師が連携して出産をサポートします。ただし、設備が充実していないなどの理由で出産の対応はせずに健診のみ行うクリニックもあるので、出産の業務を担当したい助産師はあらかじめ確認しておきましょう。

出張助産師

出張助産師は自宅などでの出産を希望する妊婦のもとへ出向きます。そして、妊婦の自宅で出産の介助をすることが仕事です。助産所から派遣される場合や、助産師が独立して出産のサポートを行っているケースもあります。妊娠期の母子の健康管理から出産、新生児検診まで、綿密なサポートを長期にわたって提供する仕事です。育児や母乳についての相談や母子マッサージなどの産後のケアまで行っていることが多くあります。

助産所

助産所は、助産師だけで運営している出産施設です。妊婦の希望を重視するため、畳の分娩室や妊婦が一番楽な姿勢で分娩する「フリースタイル分娩」など、さまざまな出産スタイルに対応します。病院などとは違い、産科医がいないため薬品を使用しての医療行為が行えないので、助産所で出産できるのは母子ともに健康なケースだけです。妊娠から出産までを1人の助産師が対応することが多く、妊婦さんとより親密にコミュニケーションを取れる環境であることが特徴といえます。出産時に問題が起こった場合には病院に緊急搬送をすることがあり、その判断をするのも助産師の重要な仕事です。また、助産所はベッドの数が9床以下であり、助産師との距離が近いことから、家族のように接することができることも、特徴といえるでしょう。

産後ケアセンター

産後ケアセンターは、産褥期のお母さんと赤ちゃんが一緒に過ごすことができる宿泊施設です。出産後の育児支援を目的としています。助産師が中心となり、看護師や臨床心理士、産後ケアスタッフなどの専門科が24時間体制で見守っています。夜泣きする赤ちゃんをスタッフが預かるサポートもあるので、産後うつのリスク軽減にも繋がるでしょう。なかには、アロママッサージやヨガを取り入れての産褥期のケアを行う施設もあります。

不妊治療専門の医療機関

不妊治療はさまざまな理由から、なかなか子供ができない夫婦を対象にした医療行為です。近年、不妊治療を専門とする病院が増加しています。ここでは妊婦ではなく、これから赤ちゃんがほしいと思っている人が相手です。そのため、一般的な助産師とは仕事内容が変わります。身体的や精神的、金銭的にも負担が多いとされる不妊治療にあたる患者の不安を無くすことが助産師の仕事です。
また、パートナーである男性も患者として対応する点も、不妊治療だからこそのこととなります。

保健所・保健センター

保健所で働く助産師は、全体の1%と少ないです。しかし、助産師が保健所や保健センターに勤務し、地域の子育て支援の一環として妊婦の相談に乗ったり、産後の生活をサポートしたりするケースがあります。また、乳幼児健診のサポートをする場合や赤ちゃんのいる家にいくことも仕事です。
基本的に保健所は都道府県、保健センターは市町村が運営する公的機関のため、勤務するには公務員試験に合格しなくてはなりません。

出典:厚生労働省「平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況

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助産師になる方法

助産師になるには国家試験を受け、合格する必要があります。また、看護師資格が必須です。看護師資格を持っている人といない人に分けて、それぞれの道のりをご説明します。

助産師養成学校

看護師資格をすでに取得している場合は、大学院や専門職大学院で2年間か大学専攻科や短大専攻科、助産師養成所で1年間の助産師過程を修了すると、国家試験を受けることが可能です。

助産師養成課程

看護師資格を持っていない場合は、4年制大学の看護学部で看護師・助産師両方の課程を学び、それぞれの国家試験に合格する必要があります。ただし、助産師試験に合格しても看護師試験に落ちてしまうと、助産師資格を取得することができません。しかし、助産師国家試験に合格した場合、免許申請までの有効期限はなく、翌年以降に看護師試験に合格すれば、助産師免許の申請が可能です。

助産師の合格率

令和2年の助産師国家試験の受験者数は2,105人でした。そのうちの合格者数は2,093人で合格率は99.4%となっています。また、平成31年の試験では、合格率は99.6%、平成30年は98.7%と例年高い数値です。

厚生労働省「第103回助産師国家試験の合格発表

助産師の給与

厚生労働省が発表した「令和元年賃金構造統計調査」によると、看護師の月の給与額は約33.4万円で、平均年収は約482.9万円です。
助産師は看護師免許も持っており、少なくとも2つの免許を取得していることになります。そのため、可能な仕事の範囲が広いとされ、看護師より給与が高い傾向があります。また、お産が夜に突然始まることも珍しくないため夜勤が多く発生し手当が付く分、給与も高くなるといえるでしょう。

出典:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査

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助産師のこれから

平成30年に厚生労働省が発表した資料によると、現在の助産師の数は3万6,911人です。平成26年の3万3,956人、平成22年の2万9,672人と比べると、増加していることがわかります。
助産師の仕事は出産の介助が中心と思われていますが、現在では産後ケアの大切さに焦点が当てられているようです。子供を産み、家に帰った母子を支える人がいない場合、精神を病んでしまう「産後うつ」となってしまう可能性もあります。そうならないために、少しでもお母さんの支えとなることが必要です。
看護師資格も保有している助産師は、働く先の選択肢も多いといえるでしょう。近年では、産科医が日本全体で不足しており、医師に代わって妊婦検診を行える「助産師外来」が注目されています。そのため、今後も助産師の活躍は期待できるでしょう。

出典:厚生労働省「平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況

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