看護師は「収入が安定している良い職業」といわれることがあります。しかし、実際に働いてみると思っていたより少ない額だった…ということも。このコラムでは、看護師の平均月収はどれくらいかご紹介します。同じ看護師でも性別や地域で平均月収に差が出るのか、ほかの職業に比べたとき本当に収入が安定しているのかも解説。これからの働き方の見直しに、ぜひご活用ください。
厚生労働省が行った調査では、2019年時点の看護師の平均年収は約483万円。これを12カ月で割った額が平均月収になるため、約40万円になります。准看護師は業務範囲がやや制限されることもあってか、平均年収は約403万円と看護師に比べると低めで、平均月収は約34万円です。
看護師は人命に関わる仕事であり、資格をもっている人しか働けないため給与が良い印象です。参考までに国税庁の調査によると、令和元年時点の給与所得者の平均年収は約436万円のため、看護師は収入が安定した職業といえます。
看護師は男女間の賃金格差が少ない職業です。男性看護師の平均月収は約41万円で、女性看護師は約40万円とわずかな差に収まります。准看護師の場合は、男性の平均月収は約35万円、女性は約33万円です。
賃金の差が少ない理由として、もともと女性が活躍する職業だったため、結婚や子育てでキャリアが中断しないように働ける仕組みが整っていることが考えられます。女性の場合、ライフスタイルの変化によって短時間勤務やパート勤務に切り替えることが多いですが、男性は働き方を変えることが少ないため順調にキャリアを重ねて管理職に就くことも。そのため、年齢が上がると男性の方がややボーナス額が上がる傾向にあり、平均月収もわずかですが高くなっているようです。
看護師の月収は勤める都道府県によって大きく異なります。高齢者が多く交通の便が悪い過疎地域では、医師や看護師といった医療従事者が不足していおり、好条件・高収入で募集しているケースもあるようです。
2019年時点で最も平均年収が高い県は岐阜県で、その額は約543万円。ついで滋賀県が約536万円、千葉県が約522万円と看護師全体の平均年収を大きく上回ります。対して最も平均年収が低い県は宮崎県で約391万円と、岐阜県との差は約152万円です。ワースト2位は大分県で約416万円で、続いて鹿児島県が約417万円と看護師全体の平均年収を大きく下回ります。
看護師全体の平均年収である483万円を基準に見ていくと、高年収を狙いやすいのは首都圏や関西地方、東海地方が多い印象です。一方で、九州・沖縄地方や四国地方、東北地方は年収が低い傾向にありますがあくまで平均のため、病院によって収入は異なります。地域による収入の差は参考程度に留めておくと良いでしょう。
参照元
厚生労働省
令和元年度賃金構造基本統計調査
新卒の場合、夏の賞与がほとんど出ないことや最初は夜勤がないことを理由に、看護師全体の平均月収を下回る可能性が高いです。新卒に限定した平均年収・月収のデータはないため、ここでは日本看護協会の調査結果をもとに学歴別初任給をご紹介します。ここで紹介するのは平均金額なので一概にはいえませんが、一般的には平均月収は初任給以上はあると考えられるでしょう。おおよその平均月収を知るために、参考にしてみてください。
看護系の大学院を卒業している場合、初任給は手当込みで約28万円で基本給は約21万円です。新卒は入らない夜勤手当も含まれた額なので、実際にはこれより少ない額になるでしょう。
4年制大学を卒業している場合、初任給は手当込みで約27万円で基本給は約21万円です。大学院卒とほとんど差はなく、こちらも夜勤手当込みの計算なので実際より少ない可能性があります。
3年課程の短大か専門学校を卒業している場合、初任給の平均給与額は手当込みで約26万円で基本給は約20万円と、大学院卒や大卒に比べてやや低い額になります。手当によっても金額は変わるため、それほど大きな差は生まれないでしょう。
看護師は学歴よりも現場での経験とスキルが重視されるため、最終学歴による年収の差は大きくありません。上記の平均初任給額を踏まえると、学歴に関わらず新卒の平均月収は20万円後半くらいだと考えて良いでしょう。
参照元
日本看護協会
2019年病院看護実態調査
全職種の平均年収である約501万円に対して、看護師の平均年収は約483万円とやや低い数値です。では、なぜ看護師は高収入な職業のイメージがあるのか、厚生労働省の調査結果を参考にほかの職業と比較してみましょう。
給与所得者の平均月収は、看護師よりやや多く約42万円です。無資格や未経験でもつける仕事だと平均月収は低く、看護師のような資格が必要な職業や技術職は高くなる傾向にあります。しかし、全職種と比べて、看護師の平均月収は高いどころかやや下回っているのが現状です。それでも看護師が高収入で安定性が高い印象が強いのは、実際に女性の中では稼げる職業だからです。女性のみの全職種の平均年収は388万円と、看護師に比べて100万円ほど低くなります。働く女性にとって、看護師はかなり高収入な職業で憧れの的といえるでしょう。
看護師に限らず、ほとんどの仕事で資格を求められる医療業界は、全体的に高収入といえます。たとえば、看護師と同じく資格がないと働いてはいけない、業務独占資格である医師の平均年収は約1169万円です。ほかにも薬剤師の平均年収は約562万円、診療放射線技師は約502万円というように、同じ業界内でも看護師より年収が高い職業は多いのです。
収入だけでいえばほかの職種も魅力的ですが、出産や育児などでライフプランが変化しても仕事を続けたい女性にとって、看護師は長く働きやすく安定して稼げる働き方といえるでしょう。
看護師の平均年収をもとに、22歳から定年の60歳まで働いた場合、推定生涯年収は約483万円×38年間で約1億8,300万円になります。また、看護師は定年後の再雇用も可能なので、長く勤めれば生涯年収も上がるでしょう。一方で、年齢を重ねてからの肉体労働や夜勤は心身ともに負担が大きいので、体を壊さないように注意しましょう。
日本は年々少子高齢化が進んでおり、看護師不足は現在よりも深刻なものになると見込まれています。しかし、見方を変えれば看護師が将来的に仕事に困ることは考えにくいということ。現在看護師の資格をもっているものの、働いていない「潜在看護師」が多く、日本看護協会が復職を呼びかけるほど看護師は需要が高い職業なのです。
先述したように、看護師は需要が高まっているため資格があるだけで、就職先に困りません。病院をはじめ、介護施設でも看護技術は役に立つといえます。
高齢者が増えることで、訪問看護の需要が急増すると予想されています。そのため、看護だけでなく介護の資格を持つ看護師は重宝されるようになるでしょう。将来のキャリアアップと安定した月収のために、介護福祉士など介護系の資格を取るのもおすすめです。
認定看護師や専門看護師といった資格は、看護師としてスキルアップできるだけでなく、資格手当が付いて年収アップにも繋がります。近頃は少子高齢化が進んでいるためがん患者の看護や認知症看護など、一般的な看護知識以外も身につけておくと将来役に立つでしょう。
看護師は労働者の中でも比較的高い平均月収ですが、今よりも収入を増やしたい場合は以下の方法がおすすめです。
認定看護師や専門看護師といった資格を取れば、資格手当が付いて月収も上がります。職場によっては資格取得に必要な費用を負担してくれたり、配慮した勤務シフトにしてくれたりするので、利用できる制度がないか確認してみましょう。
看護主任や看護師長など、役職に就けば基本給が上がり役職手当が付きます。管理職になると、直接患者と関わって看護を行う時間は減り、業務改善が主な仕事になります。研修や試験を受けることで管理職につけますが、そもそもポストが少なく昇進しにくい病院もあるので注意してください。
確実に今よりも月収を上げるなら、転職を視野に入れてみましょう。資格取得や管理職への昇進は、時間が掛かるうえに収入を増やす方法として考えると、確実性が低いといえます。転職であれば、数々の求人の中から今より高収入な職場を探すことも難しくありません。しかし、仕事は収入がすべてではありません。福利厚生や通勤のしやすさなど、自分が求める条件から総合的に判断することをおすすめします。
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