私は、就職すると共に実家を出て一人暮らしをしていた。
兄弟の中でも最後に家を出たこと、のんびりした性格もあって両親は心配したと思う。
母からは「2週間に1回は帰っておいで」と言われていたものの、実際に働き始めると激務で自宅に帰ってからも、復習・予習。
疲れきってしまい、なかなか実家には帰らなかった。
数ヶ月してやっと実家に帰った時には、家を出る時のように「看護師頑張ってくる」と笑顔ではなく、「やめて実家に帰りたい」と言おうと思って帰宅した。
たぶん、父も母も私の様子を見て察していたのか・・・あれこれ聞かずにいつもと同じ(いや、いつも以上の)ご飯を作って出してくれた。
実家のご飯は、なんだか味が薄くて野菜ばかりで地味だと思っていたが、たかが数ヶ月家を出ていただけなのに食べていると妙に泣けてきた。
「どうしようもなくなったら、帰ってきたらええで」とだけ言われて、変わらず味方してくれる人がいるということで支えられた。
今でも、心が疲れた時はあの母の作る地味な料理を妙に食べたくなる。
【『看護師メシ』バックナンバー】
『看護師メシ』vol.3 ~休憩室を襲う「カップ焼きそば」~
『看護師メシ』vol.4 ~特別感がある「パン屋さんのパン」~
【プロフィール】
中山有香里
看護師?イラストレーター。著書に『ズルいくらいに1年目を乗り切る看護技術『悲しいくらい人に聞けない看護技術』(メディカ出版)
Twitter:@musashi_0303
Instagram:@zurukan.yukari33
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