「人生の先輩からいろいろなことを教われるのが訪問看護の魅力です」訪問看護師インタビュー・谷河由香さん

2020.12.24

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在宅医療の最前線で活躍する訪問看護師へのインタビューシリーズ。今回は株式会社アバンサール 雅の里リハビリ訪問看護ステーションに勤務する谷河 由香(たにがわ ゆか)さんを取材。ステーション所長の服部 健司様にも同席していただき、訪問看護のやりがいや?変さ、思いについて伺いました。

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プロフィール
谷河 由香(たにがわ ゆか)さん
株式会社アバンサール 雅の里リハビリ訪問看護ステーション勤務の40歳。准看護師免許取得後、兵庫県内にあるリハビリテーション病院の回復期病棟で3年勤務した後、2018年8月より現職。休日は2人の子どもを習い事へ送り迎えするほかはのんびりと過ごす。お酒を飲むことが好き。

目次

■スタッフ同士の協力で成り立つ訪問看護

ーー現在の職務内容について教えてください。

谷河さん:リハビリ中のご利用者さまが多いので看護ケアはもちろん、入浴介助や排便介助、生活指導などを主に行っています。たとえば、糖尿病のご利用者さまに、どのような食生活にしたらよいかを考えアドバイスしていますね。

所長:リハビリ中のご利用者さまには神経難病を患っている方が多いので、ステーションにはセラピストが多く、訪問看護師と一緒にケアに行くこともあるんです。その場合、訪問看護師の業務はご利用者さまの生活面のサポートが中心になります。当ステーションは、スタッフ同士で役割分担と情報交換をしながらケアができる体制です。

ーー訪問看護師になるまでの経歴を教えてください。

谷河さん:准看護師になる前は、皮膚科のクリニックで医療事務をしていました。そこで子どもを出産後、現場に戻るタイミングで小児科が新設されたので、異動することになったんです。すると小児科は新設で看護師が少なく、医師や患者さまのフォローなど事務以外の仕事も担当するようになりました。患者さまと関わる機会が増えたのは良かったのですが、患者さまに「点滴が終わった」と言われても抜針は看護師を呼ばないといけないなど、看護師しかできない処置が多くもどかしく思っていました。そこで、看護師免許を取ろうと決意したんです。ただ、子どもが小さかったので、2年間の短期集中で准看護師免許を取得することにしました。

准看護師免許の取得後は、回復期病棟に3年ほど勤めました。当時は子どものこともありパート勤務だったのですが、子どもが大きくなるにつれ勤務時間を伸ばそうと思うようになったんです。転職も視野に入れつつ、先輩看護師に相談すると「訪問看護師が向いていると思う」とアドバイスを受けました。自信はなかったのですが、先輩は訪問看護経験があり、尊敬できる方だったのでその言葉を信じて、訪問看護をやってみようと思いました。

ーー訪問看護師になることに不安はありましたか?

谷河さん:ありました。訪問看護の経験がなく、看護師としての経験も少ないと感じていたので、1人きりの現場で対応できるか不安でした。ですが先輩スタッフが「不安なら何回でも一緒に行くよ」と言って同行してくれたり、「いつでも電話していいよ」と言ってくれたりしたので、不安は次第になくなっていきましたね。サポートしてくれるスタッフが常にいる環境なので、以前ほど不安に思うことはなくなりました。

所長:実は、制度上、准看護師スタッフの看護計画は正看護師スタッフと一緒に作らければならないんです。そこで当ステーションでは准看護師と正看護師のペアを作り、サポートしあえる体制を用意しています。

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■“人生の先輩”であるご利用者さまと話せることが訪問看護の面白いところ

ーー訪問看護の面白いところはどこですか?

谷河さん:ご利用者さまとゆっくり話ができるところですね。ご利用者さまの話を聞く中で、ものの考え方や生活の仕方、家の様子は一人ひとり違うのを実感し、新たな発見の連続で勉強になります。話をしていると、ご利用者さま全員が人生の先輩だと強く自覚しますね。そのため話を聞くだけでなく、子どものことで悩んだときなどは自分のことについて相談することもあります。

ご利用者さまとは電話やLINEでやり取りをしていて、買い物や料理の話など、日々の些細な出来事などもよく連絡してもらいます(笑)。ご利用者さまとの距離が近くなるので、家族や友人ではなくご利用者さまだと意識して一線を引くことも重要ですね。出勤日ではない土日に「今から来れる?」と聞かれることもあるのですが(笑)、そこは状況を見て判断し断るべきところは断るようにしています。

所長:スタッフとご利用者さまの関係はとても良好です。人と人とのつながりを意識できるのも、一人のご利用者さまのケアにじっくりと当たれる訪問看護ならではの魅力だと思います。ご利用者さまが元気なころに好きだったことを訪問看護師が手伝いながら一緒にして喜んでもらえることもあるようです。お手伝いは話を聞いたり話しかけたりしながらできるので、コミュニケーションの機会にもなりますね。

谷河さん:担当するご利用者さまに、好きだった庭のお手入れができなくなってしまった方がいるんです。その方とは一緒に花や土を買いに行って、庭のお手入れをしているのですが、いつも「ありがとうありがとう」と感謝の言葉を貰っています。ご利用者さまの生活に入っていけるのも訪問看護のやりがいです。

ーー訪問看護の大変なところはどこですか

谷河さん:訪問看護の制度を把握するのが難しいですが、訪問看護の加算やご利用者さまの負担といった制度面の知識は、訪問看護師として働くうえで知っておいたほうが良いと思います。自分で調べるのは大変なので、現状は料金について現場で聞かれたら基本的に担当スタッフに確認するようにしています。ただ、自分の口からある程度説明できるようにしておきたいとは考えていますね。

所長:訪問看護ステーションには、一般企業の総務にあたる専門的な部署がないことも多いんです。そのため、契約時に料金説明はしますが、現場でスタッフが料金について聞かれたときは、担当者に確認しなければならないので、すぐに回答することが難しいこともあります。

谷河さん:またご利用者さまの情報が入手しづらいことがあるのも、ケアするうえで不便に感じます。病院だと既往歴や家族構成は書面を見ればすぐ分かりますが、訪問看護だと情報が少なく、入手するのも医師が身近にいないので時間がかかることが多いんです。

所長:長期間入院されていて、退院時に訪問看護を依頼される方なら、情報があることも多いのですが、日常生活を送る中で訪問看護を依頼される方だと、情報がないこともあります。ケアマネジャーの情報を基に作成した1枚のシートだけというのが大半ですね。

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■楽しく長く働ける訪問看護「きっとこれが自分のやりたかった仕事」

ーー訪問看護師として大切にしていることは何ですか?

谷河さん:年上の人は先輩だと思って、ご利用者さまに敬意を持って接するようにしています。看護師はご利用者さまのできなくなったことをお手伝いする立場ですが、自分のほうが偉いと思わずに「私が教えてもらっている」と常に思っていますね。

所長:人が家に入るのは、誰しも抵抗感があるものです。たとえば、自分の友達が来るにしても、部屋を片付けると思います。おそらくご利用者さまも訪問の前から準備している方が多いはずです。そのため、訪問する側が「上がらせてもらう」という心構えを持つのはとても重要だと思います。

ーーこれから訪問看護師としてどんなことに力を入れていきたいですか?

谷河さん:看護師として知識や技術をもっとつけていきたいです。一緒に働く訪問看護スタッフの意見を取り入れて成長したいですね。医療事務をする前は「自分のやりたいことは何だろう」と思いながら色々なアルバイトをしていました。でもこの仕事は、楽しく続けられているんです。そのため、今では「きっとこれがやりたかった仕事なんだ」と思いながら働いています。今の状況にはとても満足できていますね。

ーー訪問看護に興味があるけど迷っているという看護師へ一言お願いします。

谷河さん:訪問看護は一人で訪問するため、責任が大きく敷居が高いイメージがあるかもしれません。でも、周りにはサポートしてくれるスタッフもいるので安心して働けるはずです。ご利用者さま一人ひとりに寄り添って「何かできることを見つけたい」と思える人なら、楽しく働ける領域だと思います。

▼記事に関連する施設の情報はこちら(看護のお仕事)

雅の里リハビリ訪問看護ステーション

 
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