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「介護施設だからこそ、利用者さまが生き生きと過ごせる」施設看護師インタビュー・川久保 綾子さん

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介護の現場で活躍する施設看護師へのインタビューシリーズ。今回は、職員からお母さんのような存在として慕われている川久保 綾子(かわくぼ あやこ)さんを取材しました。「ゆりかごから墓場まで」という言葉のとおり、新生児の誕生から高齢者の看取りまで経験してきた川久保さんに、施設看護のやりがいや課題、若い看護師へのアドバイスなどをお聞きしました。

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▲施設のセラピーの訓練を受けたわんちゃん「おもち」とのツーショット

プロフィール
川久保 綾子(かわくぼ あやこ)さん 
大阪市にある「社会福祉法人青野ヶ原福祉会 特別養護老人ホーム 青都荘」に勤務する61歳。看護師免許を取得後は母子センターに勤務。出産を機に一度専業主婦になるが、30代のときにパートとして外科胃腸科病院で仕事復帰。40代で福祉に興味を持ち、3年ほど特養に勤務。その後、療養型の病院で7年弱経験を積み、現職に至る。趣味はたくさんの料理を作って振る舞うこと。


目次


・福祉の分野に興味を持ち、40代で施設看護師の道へ
・介護職では担えない部分を施設看護師がサポート
・「自分が何をしたいのか」を考える大切さ


福祉の分野に興味を持ち、40代で施設看護師の道へ


ーー現在の職務内容について教えてください。

大阪市都島区にある「社会福祉法人青野ヶ原福祉会 特別養護老人ホーム 青都荘」に看護係長として勤務しています。「今日も笑顔で挨拶を」というスローガンをもとにサービスを提供している介護施設です。私は、2~7階までのフロアを回って全体の様子を見ています。各フロアに担当の看護師がいるので、相談を受けたときには利用者さまの様子や薬の確認なども一緒に行っていますね。体調不良の利用者さまがいたときには、医師と連携を取ることもありますよ。あとは、爪切りや簡単な医療処置など、介護職の人たちが不安になる処置も率先して行うようにしています。
そのほか、入所面談やショートステイの方の相談にのるのも仕事です。最近では、感染症の影響で面会がなかなかできないので、利用者さまの様子を心配するご家族からご連絡をいただくことが増えましたね。その対応もしています。業務内容が幅広いので、何でも屋さんみたいです。

ーー施設看護師になった経緯を教えてください。

看護師免許を取得後に就職したのは、大阪にある母子センターでした。NICUで低体重児や新生児を担当していましたが、出産を機に退職をして、4年間は専業主婦をしていましたね。その後、子育てをしながら、外科胃腸科病院で14年ほど主にパートで勤務をしました。福祉に興味を持ち始めたのが47歳のときで、それをきっかけに特別養護老人ホームに転職をしたんですよ。そこで3年ほど勤めたんですけど、また医療現場に戻りたくなったんです。友人の話なども参考にして、まだ経験したことがなかった療養型の病院に転職をしました。そこでは、看護師長として7年ほど勤務しましたね。
実際に療養型の病院で働いてみると、介護施設に比べて病院の要素が強い印象を受けました。患者さまの容態によっては、「介護施設であればもっとのびのび生活できるのに…」と思うときもありましたよ。だから、患者さまのご家族に「病院ではなく、施設のほうが生き生き過ごせると思いますよ」と提案したこともありましたね。
何年か勤めると、管理職なので書類関係の仕事も多くなって、「何で看護師なのにデスクワークばかり何だろう」と考えるようになったんです。そこで、もう一度、特養の施設に戻って働いてみようと思って、現職に就職しました。生後間もない赤ちゃんから始まって、今は介護の現場で看取りまでしているので、まさに「ゆりかごから墓場まで」という言葉通りですね。看護をしながら幅広い世代の人たちと関わってきました。

ーー施設看護師になってから感じた大変さや悩みはありましたか?

介護施設では、医師の存在の有無によって看護師の大変さが変わると思います。診療所が併設されている施設の場合は、利用者さまに異変があったときも医師にすぐ聞ける安心感がありますよね。一方で、決められた曜日に医師が往診にくる施設の場合は、日中に何かあったときの判断を看護師に委ねられることが増えるんです。そこは、キャリアがないと負担が大きいのではないかと感じるところですね。夜間にもオンコールで相談を受ける場合もありますし。私はいろいろな経験をしてきたので対応できましたけど、臨床経験が浅い看護師には大変な部分だと思いますね。

実際に、施設内で容体が急変する利用者さまはいます。判断に迷うときもありますけど、職員にはいつも「悩んだら救急搬送しなさい」と伝えていますよ。救急搬送して何もなければそれで良いですし、早期に治療してまた施設に帰ってこられるときほど、嬉しいことはありません。「もっと早く運んでいれば…」と後悔しないための判断が必要ですね。

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介護職では担えない部分を施設看護師がサポート


ーー施設看護のやりがいを教えてください。

利用者さまとゆっくり接することができるのが1番のやりがいです。利用者さまのなかには、認知症で短期記憶がない方もいらっしゃいます。会話した5分後には話の内容を忘れていることもありますが、利用者さまとコミュニケーションをとるのは楽しいですね。
最初にもお伝えしましたが、現在の職場は「笑顔で挨拶」を大切にしているので、入所して間もない利用者さまも安心して過ごせるように笑顔で受け入れをしています。それで、心を開いていただけたときには「良かったな」と心から思いますね。次の日には「どちらさんでしたっけ?」と忘れられていることもありますけれど(笑)。
そのほか、施設看護ならではのやりがいは、利用者さまと一緒にレクリエーションやカラオケなどができることですね。病院とは違って生活の場になるので、医療現場ではしないことができるのが楽しいです。

ーー施設看護師として大切にしていることは何ですか?

施設では、介護職のスタッフと看護師の連携が1番大切だと思います。介護施設では、介護職を中心として働くのが理想だと思うんですよ。でも実際は、看護師の立場が強く、介護職員と看護師の連携が課題となっている職場もありますね。介護施設は利用者さまの生活の場なので、介護職に求められる役割が大きくあります。それを前提に、看護師が医療処置の面を中心にサポートできる環境が整っているのが理想だと思います。

さらに、介護職の人たちが看護師に聞きたいことがあったときに、いつでも聞ける環境が大切です。そのためには、聞きやすい雰囲気を看護師が作り出すことも必要だと思いますね。そこの連携が上手くいかないと、結果的に利用者さまに負担をかけてしまうことになるんですよ。
また、スタッフの知識を増やしていくことも大切なので、年間を通した教育の計画を立て勉強会を開いています。あと、気になったことはパソコンですぐ調べるのも大事ですよ。職員には「パソコンは何でも教えてくれるで!」って伝えています。それでも、調べる時間がないときや、すぐに看護師の返答が欲しいときは、私の分かる範囲でいつでも教えてあげるように心がけていますね。

ーー施設看護をしていて、印象に残っているエピソードはありますか?

療養型の病院で出会った患者さまと、現在の施設で再会することがあったんですよ。その方は、認知症で徘徊もあったので自宅療養が難しく療養型の病院にいらっしゃったんです。病院では、生活のサポートより医療行為が主になることや、看護師が目を離さずにいることが難しいのもあって、患者さまを拘束するしか方法がありませんでした。でも、「このままだとせっかく元気に動けるのに寝たきりになってしまう」と思い、ご家族に施設への転移を進めたところ、転移先を見つけて退院されたんです。
それから約1年後、現在の施設で再会して、その方が施設内を自由に歩いて、ご飯をパクパク食べていらっしゃる姿を見て感激しました。もう涙が出るくらい嬉しかったですよ。当時と同じように徘徊もあるけれど、それもその人のスタイルという受け止め方で、介護職のスタッフも目を離さないようにしていました。そうしたサポートがあって、利用者さまらしい生活が送れていたんでしょうね。その方は、104歳まで施設で過ごして、老衰により穏やかな最期を迎えられました。看取りまでできたのは運命だったと思いますし、施設だからこそできたことでしたね。

「自分が何をしたいのか」を考える大切さ


ーーこれからの施設看護で目標などはありますか?

自分も含めてですが、施設看護師が施設内で信頼される存在になってほしいです。介護職の人たちの立場や役割を踏まえつつ、同じ目線で利用者さまと接して、介護職では担えない医療的な知識や技術の部分を発揮できる看護師でありたいですね。
私としては、利用者さまだけではなく、働く職員の健康管理も配慮していきたいです。そのために、職員の健康診断を年1回必ず行っていますし、夜勤をしている職員に関しては年2回行うようにしています。その結果によって、個別に健康相談や再診などの健康指導をしていますね。働く職員自身が健康でないと、利用者さまを見ることはできません。もちろん体だけではなく、心も大事。施設介護士は優しい人が多いから、自分を追い込んで悩むところがあるんですよ。そういうときには、オンとオフをしっかりつけるようにアドバイスしています。ずっと介護のことを考えるのではなくて、定時で帰宅したあとには好きなことを楽しんで、生活にメリハリをつけることが大切です。

ーーご自身はどのようにメリハリをつけていますか?

私の場合は料理が趣味なので、たくさん作って、誰かに食べてもらうのがストレス発散にもなっていますね。月1度の慰労会のときには、60~70人分のおでんやビーフシチュー、中華など、そのときどきで違う料理をたくさん作るんですよ。若い職員に「ちゃんと野菜も食べないと!」って言いながら、お母ちゃんみたいな感じで(笑)食べながら話をして、「気持ちが楽になった」と言ってもらえるだけで十分なんです。

ーーキャリアに悩んでいる看護師にアドバイスをお願いします。

キャリアよりも、「自分が何をしたいか」が大事だと思いますね。たとえば、臨床経験が3年しかなくても、「おじいちゃん、おばあちゃんが好きで施設で働きたい」と思うのであれば、施設看護師として働きながら学べば良いと思います。そんなに深く悩まず、自分が学びたいと思う分野の経験を積むことが大切です。もし悩んだら1回リセットして、自分を見つめ直すのが良いと思いますよ。
施設は病院と違ってイベントも多くありますし、利用者さまともゆっくり関われます。働いてみると癒しの場になるのではないでしょうか。施設看護師として働くのであれば、観察力や洞察力も必要ではありますが、何より一番大切なことは、明るく笑顔で挨拶することですね。

ーーありがとうございました。

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▲以前は毎月開催していた慰労会での調理中の様子
施設のスタッフは川久保様の料理を食べるのを楽しみにされているのだそう。

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