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「一方通行ではないコミュニケーションが中心にある看護は楽しいです」施設看護師インタビュー・石川 裕子さん

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介護分野で活躍する施設看護師へのインタビューシリーズ。今回は「社会福祉法人 葵新生会 特別養護老人ホーム 葵の園・新潟内野」に勤務する石川 裕子(いしかわ ひろこ)さんを取材しました。病院看護師から転職して4年目の石川さんに施設看護師のやりがいや面白さについて伺いました。

プロフィール
石川 裕子(いしかわ ひろこ)さん

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新潟県新潟市にある「社会福祉法人 葵新生会 特別養護老人ホーム 葵の園・新潟内野」に勤務する30歳。最初に県外の総合病院で内科病棟を担当。急性期を2年、慢性期を3年経験したあと、患者さまとより深くコミュニケーションを取りながら働きたいと考え、施設への転職を決意。2017年より現職へ。休日は飼い猫と遊ぶことが多く、お気に入りのキャットフードを美味しそうに食べる姿に癒やされている。

目次


・93歳の患者さまが教えてくれた、病院看護と施設看護の違い
・利用者さまを深く知ることが不安解消の秘訣でした
・一方通行ではない「コミュニケーションがとれる看護」は楽しい
・「施設看護師は成長できない」という心配は無用でした


■93歳の患者さまが教えてくれた、病院看護と施設看護の違い


——現在の職務内容について教えてください。

新潟県にある「社会福祉法人 葵新生会 特別養護老人ホーム 葵の園・新潟内野」に勤務しています。
主な業務は経管栄養やバイタルチェック、服薬管理、透析を必要とする利用者さまの体調管理などが中心です。そのほか、往診の先生への状態報告やそれによる臨時の検査、採血、検尿の介助なども行っています。食事がとれない利用者さまの点滴や褥瘡のケアも仕事の一つですね。現在、利用者さまが100名程いらっしゃいますが、その内経管栄養の方が10名前後暮らしています。
介護業務は介護士が担っていますが、入浴後のケアや食事の介助などは、看護師も協力して行っています。

——なぜ施設看護師になろうと考えたのでしょうか?

施設看護であれば、自分が求めている「コミュニケーションをとりながらの看護」ができると思ったからです。以前、内科病棟に勤めていたときに、93歳の患者さまを担当していたのですが、その方が特養に転院することになり、「施設だとできない看護もあるのでは?」と心配になったんです。私は、どうすれば患者さまが転院先に適応できるのか、特養でどのような看護をしてもらえるのか考えました。そのなかで、施設看護師の存在を知り、興味を持ちましたね。

また、施設について調べたことをきっかけに、急性期病棟から慢性期病棟へ異動したときのことを思い出したんです。慢性期病棟では、検温時など、患者さまとゆっくり会話できることが嬉しく、一方通行ではない看護の楽しさを感じました。施設看護師であれば、「もっと会話の機会が増えるかもしれないな」と考えたのが、転職のきっかけかもしれません。実際に施設で働いてみて、利用者さまと日々コミュニケーションをとりながら看護ができることに、一番の魅力を感じています。  
そのほかにも、病棟勤務のときは月に8回ほど夜勤に入っていたので、身体的にきつく感じていました。自分にあった働き方を検討していたのも理由の一つです。

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■利用者さまを深く知ることが、不安解消の秘訣でした


——施設看護師になる前に不安はありましたか?

「数十名の利用者さまを1人で担当できるのか」というのが、一番の不安でした。病院であれば看護師1人が対応する患者さまの数は7人。多くても10名程が一般的だと思います。施設看護の場合は、「40~60人を一人で担当する」と聞いたときには、そんなに大勢の利用者さまを覚えられるのか、処置を間違えたりしないだろうか、と悩みました。

——どのように不安を解消しましたか?

とにかく「カルテを読む時間」を積極的にとり、利用者さま一人ひとりの知識を増やしていきました。たとえば、カルテから先に情報を得ていれば、利用者さまが発熱されたときでも、「前回、この方は肺炎になられているから注意しよう」と、瞬時に考えられるようになります。結果的に各利用者さまの状態を丁寧に把握することで、ほかの看護師や介護士にも必要なケアを伝えられるようになりました。そして、大勢の目で利用者さまを支えられるようになったと感じています。
ほかにも、周囲に状況を共有して、フォローをしてもらうことがあります。施設では、寒さや暑さなど時期によって、一度に大勢の利用者さまの食欲が落ちることがあるんです。その際、点滴が必要になる利用者さまや、血管が細くなり点滴に時間がかかる方もいらっしゃいます。事前に一人ひとりの状態を看護師同士で共有しておくと、お互いにフォローすることができるので安心です。
そうした情報共有を事前にするように心がけた結果、担当する利用者さまの人数が増えても、自分の中で、ある程度の優先順位がつけられるようになりました。大勢の利用者さまの看護を「1人で頑張らないと」という、気負いや不安はなくなりましたね。
 
——一緒に働く同僚や先輩看護師との関係性はどうですか?

違う経験をもった看護師と連携を取り、支えあっています。看護師は全部で13名くらい在籍しているのですが、皆、看護経験が長く頼りになります。利用者さまのバイタルを測って不安があるときは、一緒に聴診してもらうことや、転倒後の外傷を整形外科の経験がある看護師に診てもらうこともあります。専門分野の経験がある看護師に外傷確認をお願いすると、腫れ方をみて「折れているかもしれないから、レントゲンを撮った方が良い」といったアドバイスがもらえるんです。一人だと見落としがちなことがありますが、違う経験をもった看護師同士がコミュニケーションを深めることで、結局は利用者さまのためになるのだと感じています。

■一方通行でない「コミュニケーションがとれる看護」は楽しい


——施設で働く面白さについて教えてください。

看護が一方通行にならないところですね。コミュニケーションが中心にある看護は面白いです。利用者さまと話していると、突然、昔の出来事を思い出されるのか、ご自身が若い頃の話を教えてくださることがあります。なかには、看護師の経験がある方もいらっしゃって、「忙しいでしょ。体調崩さないでね」と心配してくれることも。利用者さまと長くお付き合いをするうちに、「思い出の引き出しが、一つひとつ開いていく」様子が分かるのが、施設看護の面白いところでしょうか。
一方で、認知症がある利用者さまだと、急に怒ったり興奮したりする場合もあります。しかし、楽しいことを話していらっしゃるときは不思議と穏やかで、自分の看護により落ち着いた時間を作り出せたときはうれしいですね。「コミュニケーションを取りながら看護をしたい」と思っていた自分にとっては、最適な職場です。

——逆に、想像と違っていたことはありますか?

施設内で求められている「看護師の役割」について悩みました。働き始めたばかりの頃は、利用者さまについて考えているとき「介護士のほうが接する時間も長いし、深く知っているかも…」と遠慮することがありました。施設で働く看護師、介護士、ケアマネジャー、生活相談員それぞれの役割が分からずに不安になったのだと思います。
そこで、まずは周囲のスタッフたちを知ることから始めました。「介護さん」と呼んでいたのを名前で呼び、徐々にコミュニケーションを深めていったんです。すると、各スタッフの仕事内容や役割も理解でき、おのずと自分の立ち位置も明確になった気がします。
今は新しい看護師が入職したときも、「新しく入職した看護師の〇〇さんです」と名前で紹介し、仕事が進めやすくなるように意識していますよ。
     
——施設看護師として大切にしていることがあれば、教えてください。

自分のペースに利用者さまを「はめ込まない」ことです。たとえば、透析のあとに疲れて帰ってきている利用者さまには、聞きたいことがあったとしても「少し休憩してもらってからにしようかな」と一呼吸おきます。睡眠が足りなそうな利用者さまが長めに寝ていらっしゃるときには、「今すぐ処置をするのはやめておこう」と対応を変えることもありますね。こちらの都合ではなく、利用者さまの状況を優先するように心がけています。忙しいとついつい自分の優先順位で動いてしまうことがあるのですが、そんなときは一呼吸おいて、自分の慌ただしさを悟られないようにしたいですね。できるだけ利用者さまのペースを大事にして、一日の最後には、「石川さんに今日担当してもらえて良かった」と思ってもらえたら、嬉しいです。

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■「施設看護師は成長できない」という心配は無用でした


——これからの目標について教えてください。

疾患についての知識を増やしていきたいと思います。病院にいるときは、新しい治療法など学びやすかったのですが、今は情報が入りづらくなりました。そのため、自分から積極的に学んでいく必要があると感じています。新しく入所される利用者さまが、自分の知らない治療を受けてこられる場合もあるので、本やインターネットで学んだり、看護師仲間とノートを作り情報を交換したりしています。学びの手を止めずにいたいですね。そして、手に入れた知識は、介護士などにも分かりやすく説明できるようになれたらいいなと思います。

——施設看護に興味を持っている看護師へアドバイスをお願いします。

「施設に転職すると看護技術が磨けないし、成長も止まってしまう」と考える人もいるのではないでしょうか?私も入職前は少し心配していました。しかし、施設でも病院と同じように、看護師として利用者さま一人ひとりの疾患に丁寧に向き合っているのは変わりません。私自身も、これまで病院で培ってきた経験を活かせています。施設看護師になったからといって、医療処置を忘れてしまうことはないです。
施設で働いていても病院と同じように、「自分は看護師だ」と感じられるシーンはたくさんあります。むしろ、今まで関わることの少なかった介護士やほかの職種の人たちとコミュニケーションを取って、協力しながら看護にあたれる環境は、施設ならではの魅力だと思います。

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