世の中には、てんかん発作で悩んでいる方や、子ども付き添い入院で辛い思いをしている家族、病気などで外出できず星空を見る機会がないお子さんたちがいます。ただ、状況を理解し、支援の手を差し伸べることで、その人たちに笑顔を届けることは可能です。支援する側に立って初めて気づくことも多いので、興味がある看護師さんは、以下で紹介する法人の活動に参加してみてはいかがでしょうか。
日本てんかん協会(別名:波の会)は、てんかん患者やその家族を支援している公益社団法人です。てんかんへの社会的理解の促進や、てんかん患者を対象とした社会援護活動、各種調査研究などに努めています。同法人はこれまでに、てんかん地域診療体制整備の設置や障害者基本法・障害者雇用促進法・道路交通法の改正などを実現しました。てんかん患者が安心して笑顔で暮らせる社会の実現を目指し、全国各地で活動を続けています。
▲てんかん情報誌『波』/画像提供:公益社団法人日本てんかん協会
てんかんは、ニューロンの過剰な放電よっておこる病気です。症状は人によってさまざまですが、10秒前後の意識消失や筋肉の脱力、顔面・四肢のけいれんなどがよく挙げられます。どんな症状にせよ、同じ症状が繰り返し発生することが、てんかんの特徴です。
てんかんは、脳の一部分から始まる焦点てんかんと、脳全体から始まる全般てんかん、両方が混在する全般焦点合併てんかん、いずれにも分類できない病型不明てんかんに分類されます。さらに、原因により構造的、素因性、感染性、代謝性、免疫性、病院不明に分けられます。
てんかん治療は飛躍的に発展しており、発作の約8割は薬や外科治療によって抑制することができます。ただし、てんかんの分類によって発作抑制率は大きくことなるため、治療の際はてんかんの正しい診断が重要です。
同法人は主な公益事業として、「社会啓発事業」「療育指導事業」「調査研究事業」「その他の事業」の4事業を展開しています。
社会啓発事業では情報誌・書籍の発行や動画制作、ボランティア育成、講座の開催などを行い、てんかんに関する正しい情報の発信や普及に努めています。療育指導事業では、個別・集団療育指導や研修会の開催、当事者グループの育成などを実施。調査研究事業では、各種調査や研究活動、情報センターの運営、国際交流などを実施しています。その他の事業として、議会・行政に対する要請活動や全国大会の開催、関係団体との連携などを行っています。
同協会は公益事業のほか、てんかんに関する相談事業も実施。精神保健福祉士や心理士、看護師などの専門家が、病気や経済、生活上の問題などに関する悩み相談や、福祉制度、各種サービスの活用方法などの情報提供などを行っています(相談専用ダイヤル有)。
▲画像提供:公益社団法人日本てんかん協会
公益社団法人日本てんかん協会
https://www.jea-net.jp/
キープ・ママ・スマイリングは、子どもの入院に付き添う家族の生活支援をしている特定非営利活動法人です。
同法人の理事長は、病気のお子さんに付き添い、病院で生活する日々を経験されました。そこで、十分な生活サポートを得られず、過酷な環境に置かれている付き添い家族の現状を目の当たりにされたそうです。
キープ・ママ・スマイリングは、そんな付き添い家族に笑顔を届けたいという理事長の想いから誕生しました。各方面からの支援や寄付のもと、食を中心とした生活支援に取り組んできました。
また、付き添い家族の実態を明らかにするためのアンケート調査も実施。研究機関とともに、付き添い家族へのよりよい支援のあり方を模索しています。
子どもが入院した際、その病状や状態によっては、家族が付き添いケアする必要があります。しかし、多くの病院では、泊まり込んでケアする家族への生活サポートが行き届いていない状況です。付き添い家族は、子どもの身の回りの世話や検査などで追われるうえ、睡眠は狭い簡易ベッド、シャワーは短時間と、落ち着ける場所も時間もありません。かといって個室を利用するとなると、経済的負担も大きくなってしまいます。食事に関しては、付き添い食を提供している病院は少ないため、ほとんどの家族はコンビニ弁当や外食で簡単に済ませることが多く、食べそびれることもしばしばです。
睡眠や休息が十分にとれない生活や栄養が偏った食事などを繰り返すうち、心身の健康を損なってしまう家族が大勢います。実際、同法人が2019年に実施したウェブ調査によると、付き添い家族の約7~8割が、体調不良や寝不足、栄養不良、経済的不安などを実感していることがわかりました。こうした家族が安心して子どもの病気と向き合い、笑顔になれるためには継続的な支援が必要不可欠です。
同法人は付き添い家族を食で支援する「ミールdeスマイリング」事業を展開し、全国の小児病棟に届けるために野菜がたっぷり入った缶詰の商品開発にも取り組みました。有名シェフの監修のもと、衛生面や安全性に配慮した缶詰は、佐賀大学医学部附属病院、聖路加国際病院、東京医科歯科大学医学部附属病院の小児病棟で配布されています。
実際に食したお母さんたちからは、「缶詰とは思えないくらい美味しい」「レストランの味がする」といった声が寄せられています。一人でも多くの付き添い家族に『ミールdeスマイリング』と笑顔を届けるべく、同法人は医療関係者に向けた広報活動も行っています(現在はコロナ禍で休止中)。
▲付き添い生活応援パックを開ける親子/画像提供:特定非営利活動法人 キープ・ママ・スマイリング
新型コロナウイルス感染症の流行により、小児病棟の面会や外出に制限がかかっています。付き添い者の交代を禁止する病院も多く、付き添い家族の負担はさらに大きなものになっています。そこで同法人がスタートしたのが、付き添い生活で必要な食料品や生活用品がつまった「付き添い生活応援パック」の無償提供です。
パックの具体的な内容は、レトルト食品やお菓子、飲料、マスク、消毒液、化粧品、衣類など。長い付き添いに欠かせない食品や生活・衛生用品を、半年間に全国で1000名の付き添い家族にお届けしました。支援品はもちろん、支援してくださる方々の存在が、付き添い家族の大きな支えになっています。同法人は今後もこの活動を継続・拡大していくため、支援者を募っています。
▲付き添い生活応援パックの一例/画像提供:特定非営利活動法人 キープ・ママ・スマイリング
特定非営利活動法人 キープ・ママ・スマイリング
https://momsmile.jp/
星つむぎの村は、「星を介して人と人をつなぎ、ともに幸せを作ろう」をミッションに掲げる一般社団法人です。どんな状況・環境にいる方も星空を楽しめるよう、全国各地で出張プラネタリウムや星空観望会、星・宇宙に関するワークショップ、アート活動などを実施しています。
星空を見上げる楽しさはもちろん、宇宙と私たち・いのちのつながりを、伝えています。
▲画像提供:一般社団法人星つむぎの村
同法人は、病気や障がい、環境によって本物の星空を見ることができない方のために、出張プラネタリウムを実施しています。
入院中に出張プラネタリウムを体験した子どもやその家族からは、「勇気をもらえた」「自分の悩みはちっぽけだと気づかされ、頑張ろうと思えた」「みんなで星空を見るうち感謝の気持ちがあふれた」といった声が寄せられています。患者や家族はもちろん、その様子を見守っていた医療従事者も、「癒される」と感動を共有しています。
現在は、出張プラネタリウムのほか、星空・宇宙のライブ配信やオンデマンド動画で届ける「フライングプラネタリウム」も実施しています。場所やシーンに合わせたさまざまな投影スタイルを用意しているので、広いスペースの確保が難しい病室や自宅での実施も可能です。非接触で実施できるため、面会制限がある子どもや、感染リスクの高い子どもも安心して楽しめます。
2021年度の枠として、長期療養中の子どもや難病の子どものいる病院、施設、団体向けに、無償でおこなうプラネタリウムも募集中です。
▲天井投影の様子/画像提供:一般社団法人星つむぎの村
誰の上にも必ずある星空。そんな星空を見上げることで、社会の中にある境界線がとりはらわれていきます。138億年の歴史の果ての「今、ここ」にともに生きていることを感じ、自分たちの体の材料が星からできていることを知ると、視点が変わり、目の前のいのちへの向き合い方も少し変わるかもしれません。そんな願いをもって、同法人では医療従事者向けのリフレッシュ研修会も行っています。
また、170名を超えるボランティアが集まる同法人内では、病気や障害の境界を超えて、共に生きる社会を目指すにはどうしたらよいかについても議論が交わされる場があったり、自由や学びを制限される子どもたちが楽しく過ごせるオンラインの場もあったり。「すべての人に星空を」。誰もが参加可能な活動です。
一般社団法人星つむぎの村
https://hoshitsumugi.org/planetarium/
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