
糖尿病の患者さんのなかには、病識がなく、治療を受け入れない方もいます。その場合、看護師の関わりや指導が重要です。最終的には患者さん自身が疾患を理解して、治療に向き合えるように関わりを工夫する必要があります。
この記事では、糖尿病の基礎知識や看護の方法、ポイントを解説します。さらに臨床現場で使える看護計画を2例紹介しますので、どのように看護を展開したらよいか悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

糖尿病の患者さんを受け持つにあたり、糖尿病について正しく理解することが大切です。
この章では、糖尿病の基礎知識を解説します。看護を提供するうえで必要な知識ですので、糖尿病患者さんとの関わりに不安がある方は、ぜひ最後までお読みください。
糖尿病とは、体内におけるインスリンの作用が正常に行われず、血液中の血糖値が高くなる疾患です。
インスリンは、膵臓に存在するβ細胞で作られ、血糖値を下げる働きがあるホルモンです。食事をして血糖値が上がった場合、通常であればインスリンが分泌されて体内の血糖値をコントロールしてくれます。しかし糖尿病の場合、血糖値を下げられず高血糖状態が続いてしまうのです。
インスリンの作用が不足する機序としては、以下の2つが考えられます。
糖尿病の種類は主に「1型糖尿病」と「2型糖尿病」に分けられます。1型糖尿病は自己免疫反応によってインスリン分泌細胞が破壊され、インスリン欠乏を生じることで発症する病気です。小児から発症することも多く、インスリン治療が必須となります。
対して2型糖尿病は、インスリン分泌の不足とインスリン感受性の低下の双方が発症に関わると考えられています。生活習慣や肥満体型などの環境因子のほかにも、加齢や遺伝的要因などが関係しているケースも珍しくありません。インスリン治療が必須の1型に対し、2型はインスリンを使用することもありますが、生活習慣の改善によって血糖コントロールが図れる場合もあります。
ほかにも、妊娠をきっかけに発症する「妊娠糖尿病」や、手術や感染症などが原因で一時的に高血糖を引き起こすことがあります。
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高血糖の状態が続くとさまざまな臓器に影響を与え、代謝異常をともなうおそれがあります。高血糖状態のときには、以下の症状が見られます。

上記の症状が出現しても、軽度であれば問題と感じず発見が遅くなるケースもあります。なかには自覚がないまま進行して、重篤な合併症を引き起こすおそれもあるため注意が必要です。
糖尿病が悪化して血糖コントロール不良が続くと、以下のような重篤な合併症のリスクが高まります。
上記合併症のほかにも、動脈硬化の悪化や心臓病や脳卒中のリスクが高まるとされています。血糖コントロールを図り、原因となる環境因子をなくすことで、合併症の予防に効果が期待できるのです。
糖尿病の治療法は、主に3つあります。
軽度であれば、エネルギー摂取量をコントロールしてバランスのよい食事を意識したり、適度な運動を心がけることで改善されることもあります。
具体的な治療メニューは、状態や症状、生活スタイルを考慮して、医師と相談して決めます。血糖コントロールが必要な状態であれば、経口血糖降下薬やインスリン製剤を使用するケースも多いです。
糖尿病について理解できたところで、次は糖尿病の患者さんの受け持ちに向けた看護のポイントを解説します。
患者さんの症状や状態に応じて、どのような関わりが必要なのかを考えることが大切です。

糖尿病の治療で大切なのは、患者さん自身が前向きに治療に取り組むことです。生活習慣が原因の場合、疾患や治療への理解が乏しいことも考えられるため、糖尿病について正しい知識を提供する必要があります。
さらに、合併症や高血糖が続くことでのリスクを説明し、血糖コントロールの必要性の理解や危機感を持たせることも大事です。患者さんがなるべく高いQOL(生活の質)を維持しながら生活ができるよう、支援することが看護師の役割といえるでしょう。それには、患者さんとの信頼関係を築くことも大切です。
糖尿病では、血糖をコントロールして合併症を予防するために、正しい治療を継続することが大切です。
食事療法や運動療法では、今までの生活習慣や環境を変える必要がありますが、長年の生活スタイルを変化させることは簡単ではありません。しっかりと治療に関しての知識を持ち、患者さん自身が前向きに取り組む姿勢が大切です。
また、生活習慣や環境を変えたあとは、そのスタイルを継続しなければなりません。患者さん個人のライフスタイルに合わせて、どの方法が適切なのか、どうしたら改善できるのかを一緒に考え、指導することが効果的です。できたことや、改善されたことを評価することで、患者さんの意識を高め、治療を継続するためのモチベーションアップが期待できるでしょう。
インスリン注射の看護が知りたい方は、こちらの記事もあわせてお役立てください。
糖尿病が進行すると、合併症としてさまざまな症状が生じる可能性があります。合併症が悪化すると治療に時間がかかったり、回復が難しくなったりするおそれがあるため、症状に合わせたケアが重要です。
たとえば、糖尿病性足病変を発症して足の外傷や水泡が見られる場合には、悪化しないよう足を清潔に保ち、爪の手入れをすることが重要となります。さらに、歩き方や靴の選び方なども知識として理解しておくとよいでしょう。症状によって適切なケアや指導が異なるため、個別性を考慮した関わりや看護を提供することがポイントです。
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糖尿病の患者さんを受け持つ場合、どのように関わるのかを看護計画として立案します。
この章では、実際の臨床現場で役に立つ看護計画の例をご紹介します。ただし今回のケースはあくまで一例ですので、患者さんの抱えている問題や状況に応じて、個別性のある看護計画を立案することが大切です。

患者さんが糖尿病に対しての病識がないと、治療への参加や指導がうまくいかないケースがあります。
この場合には、目標を「患者自身が主体的に治療に参加できる」などとして、以下の計画を検討してみましょう。
【O-P(観察)】
【T-P(実施)】
【E-P(教育)】
看護師からの説明の場だけでなく、医師やほかの糖尿病の患者さんと関わる機会を設けることで、病気と向き合うきっかけを作れるかもしれません。なぜ病識が薄いのか、治療に前向きではないのかなどの情報を収集して、その人に合った教育内容を検討しましょう。
糖尿病の治療では、良好な血糖値を維持することが最優先となります。血糖コントロールが不良であると、合併症のリスクが高まったり、低血糖を引き起こしたりするおそれがあるからです。

患者の背景から、高血糖になりやすいのか低血糖のリスクがあるのかを正しく判断する必要があります。本記事では、低血糖のリスクがあるケースの看護計画を見てみましょう。
目標は「低血糖を起こさない」「低血糖についての知識を持ち正しく対処できる」とします。
【O-P(観察)】
【T-P(実施)】
【E-P(教育)】
低血糖を引き起こさないための指導も大切ですが、万が一低血糖になった際の対処法もあわせて説明する必要があります。患者さんが、退院後も自分で血糖コントロールが図れるようにすることを視野に入れて、看護計画を立てましょう。
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看護師から寄せられる“よくある質問”
Q. 現役看護師が一番稼げる科はどこ?
一般的に、高度な医療を提供する診療科や収益の多い診療科・クリニックは、高収入を得られる傾向にあります。病院だと救急救命科やICU(集中治療室)など、クリニックでは美容クリニックや人工透析クリニックなどが挙げられます。「看護師が一番稼げる科はどこ?高年収のクリニック・病院や転職のポイント」では、看護師が稼げる科を、詳しく解説しています。規模別の平均給与や、高収入な職場へ転職する際のポイントも紹介しているので、求人探しの参考にしてください。
Q. 看護師がのんびり働ける勤務先は?
病院であれば緊急対応や体力を消耗する業務が少ない外来や回復期・慢性期病棟。病院の外来やクリニックであれば重症患者の処置が少ない診療科は比較的落ち着いた環境といえるでしょう。自身のペースを大事に働きたい方は、現職の悩みを解決できるような環境・働き方を選ぶことがポイントです。「のんびり働きたい看護師向け!おすすめの職場や病院以外の仕事を紹介」では、のんびり働ける勤務先の条件や、おすすめの職場・診療科、のんびり働ける仕事のメリットやデメリットも解説しています。職場探しの参考にしてください。
Q. 看護師1年目で転職しても大丈夫?
1年目であっても転職は可能です。新卒として入職後3年以内に転職する「第ニ新卒」を歓迎する求人も多数出ている状況です。心身に不調がある場合や、職場でハラスメント・法律違反が横行している場合は、無理せず環境を変えたほうが安心です。「看護師1年目で転職しても大丈夫。病院以外の職場や好印象の退職理由を紹介」では1年目の看護師が転職したくなる理由や、仕事が辛いときの対処法、 おすすめの職場などをまとめています。新人看護師が転職に成功するコツや退職の際の注意点も解説しているので、参考にしてみてください。
Q. お礼奉公中でも転職は可能?
お礼奉公の途中でも、看護師が仕事を辞めることは可能ですが、途中で退職してトラブルに繋がるケースもあるので、辞める場合は注意が必要です。「お礼奉公中だけど辞めたい看護師へ!奨学金に関する疑問に答えます」では、「お礼奉公中の看護師は仕事を辞めても良いか」「途中で辞めると奨学金の支払いはどうなるのか」といった疑問や不安にお答えしています。また、奨学金の一括返済を求められたときや、退職を拒まれたときの対処法についてもご紹介しているので、お礼奉公がネックで前に進めずにいる方は、ぜひ参考にしてください。
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