糖尿病患者における看護のポイントを解説!臨床で役立つ看護計画を2例紹介

糖尿病の患者さんのなかには、病識がなく、治療を受け入れない方もいます。その場合、看護師の関わりや指導が重要です。最終的には患者さん自身が疾患を理解して、治療に向き合えるように関わりを工夫する必要があります。

この記事では、糖尿病の基礎知識や看護の方法、ポイントを解説します。さらに臨床現場で使える看護計画を2例紹介しますので、どのように看護を展開したらよいか悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人
島田綾乃
正看護師
大学病院で10年間、病棟看護師として勤務。 耳鼻咽喉科、腎臓外科、循環器小児科、脳神経外科、SCUでの臨床経験があり、得意分野は外科系。 現在は育児をしながら、看護師ライターとして医療分野の記事を専門に執筆。
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糖尿病とは?看護の視点からの理解

糖尿病の患者さんを受け持つにあたり、糖尿病について正しく理解することが大切です。

この章では、糖尿病の基礎知識を解説します。看護を提供するうえで必要な知識ですので、糖尿病患者さんとの関わりに不安がある方は、ぜひ最後までお読みください。

糖尿病の種類と原因

糖尿病とは、体内におけるインスリンの作用が正常に行われず、血液中の血糖値が高くなる疾患です

インスリンは、膵臓に存在するβ細胞で作られ、血糖値を下げる働きがあるホルモンです。食事をして血糖値が上がった場合、通常であればインスリンが分泌されて体内の血糖値をコントロールしてくれます。しかし糖尿病の場合、血糖値を下げられず高血糖状態が続いてしまうのです。
インスリンの作用が不足する機序としては、以下の2つが考えられます。

  • インスリンの分泌が減少している
  • インスリンの作用を受ける筋肉や細胞の感受性が低下している

糖尿病の種類は主に「1型糖尿病」と「2型糖尿病」に分けられます。1型糖尿病は自己免疫反応によってインスリン分泌細胞が破壊され、インスリン欠乏を生じることで発症する病気です。小児から発症することも多く、インスリン治療が必須となります。
対して2型糖尿病は、インスリン分泌の不足とインスリン感受性の低下の双方が発症に関わると考えられています。生活習慣や肥満体型などの環境因子のほかにも、加齢や遺伝的要因などが関係しているケースも珍しくありません。インスリン治療が必須の1型に対し、2型はインスリンを使用することもありますが、生活習慣の改善によって血糖コントロールが図れる場合もあります。
ほかにも、妊娠をきっかけに発症する「妊娠糖尿病」や、手術や感染症などが原因で一時的に高血糖を引き起こすことがあります。

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血糖コントロールの必要性

高血糖の状態が続くとさまざまな臓器に影響を与え、代謝異常をともなうおそれがあります。高血糖状態のときには、以下の症状が見られます。

高血糖状態のときにあらわれる症状について
  • 口渇
  • 多飲
  • 多尿
  • 全身の倦怠感
  • 体重減少
  • 意識障害

上記の症状が出現しても、軽度であれば問題と感じず発見が遅くなるケースもあります。なかには自覚がないまま進行して、重篤な合併症を引き起こすおそれもあるため注意が必要です。

糖尿病による合併症

糖尿病が悪化して血糖コントロール不良が続くと、以下のような重篤な合併症のリスクが高まります。

  • 糖尿病性神経障害
  • 糖尿病性腎症
  • 糖尿病性網膜症
  • 糖尿病性足病変
  • 糖尿病性黄疸
  • 糖尿病性ケトアシドーシス

上記合併症のほかにも、動脈硬化の悪化や心臓病や脳卒中のリスクが高まるとされています。血糖コントロールを図り、原因となる環境因子をなくすことで、合併症の予防に効果が期待できるのです

糖尿病の治療法

糖尿病の治療法は、主に3つあります。

  • 食事療法
  • 運動療法
  • 薬物療法

軽度であれば、エネルギー摂取量をコントロールしてバランスのよい食事を意識したり、適度な運動を心がけることで改善されることもあります
具体的な治療メニューは、状態や症状、生活スタイルを考慮して、医師と相談して決めます。血糖コントロールが必要な状態であれば、経口血糖降下薬やインスリン製剤を使用するケースも多いです。

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糖尿病患者への看護ケア

糖尿病について理解できたところで、次は糖尿病の患者さんの受け持ちに向けた看護のポイントを解説します。

患者さんの症状や状態に応じて、どのような関わりが必要なのかを考えることが大切です。

糖尿病患者への看護ケアを考える看護師

疾患に対しての正しい理解の促進

糖尿病の治療で大切なのは、患者さん自身が前向きに治療に取り組むことです。生活習慣が原因の場合、疾患や治療への理解が乏しいことも考えられるため、糖尿病について正しい知識を提供する必要があります。

さらに、合併症や高血糖が続くことでのリスクを説明し、血糖コントロールの必要性の理解や危機感を持たせることも大事です。患者さんがなるべく高いQOL(生活の質)を維持しながら生活ができるよう、支援することが看護師の役割といえるでしょう。それには、患者さんとの信頼関係を築くことも大切です。

治療に関する指導

糖尿病では、血糖をコントロールして合併症を予防するために、正しい治療を継続することが大切です。

食事療法や運動療法では、今までの生活習慣や環境を変える必要がありますが、長年の生活スタイルを変化させることは簡単ではありません。しっかりと治療に関しての知識を持ち、患者さん自身が前向きに取り組む姿勢が大切です。

また、生活習慣や環境を変えたあとは、そのスタイルを継続しなければなりません。患者さん個人のライフスタイルに合わせて、どの方法が適切なのか、どうしたら改善できるのかを一緒に考え、指導することが効果的です。できたことや、改善されたことを評価することで、患者さんの意識を高め、治療を継続するためのモチベーションアップが期待できるでしょう。

インスリン注射の看護が知りたい方は、こちらの記事もあわせてお役立てください。

症状に合わせたケア

糖尿病が進行すると、合併症としてさまざまな症状が生じる可能性があります。合併症が悪化すると治療に時間がかかったり、回復が難しくなったりするおそれがあるため、症状に合わせたケアが重要です

たとえば、糖尿病性足病変を発症して足の外傷や水泡が見られる場合には、悪化しないよう足を清潔に保ち、爪の手入れをすることが重要となります。さらに、歩き方や靴の選び方なども知識として理解しておくとよいでしょう。症状によって適切なケアや指導が異なるため、個別性を考慮した関わりや看護を提供することがポイントです。

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【ケース別】糖尿病患者の看護計画

糖尿病の患者さんを受け持つ場合、どのように関わるのかを看護計画として立案します。

この章では、実際の臨床現場で役に立つ看護計画の例をご紹介します。ただし今回のケースはあくまで一例ですので、患者さんの抱えている問題や状況に応じて、個別性のある看護計画を立案することが大切です。

糖尿病患者さん同士のコミュニケーション

疾患への理解が乏しいケース

患者さんが糖尿病に対しての病識がないと、治療への参加や指導がうまくいかないケースがあります。
この場合には、目標を「患者自身が主体的に治療に参加できる」などとして、以下の計画を検討してみましょう。

【O-P(観察)】

  • 生活背景:年齢、職業、生活リズム、食生活、運動の有無
  • 糖尿病に対する理解度
  • 治療に対する思い

【T-P(実施)】

  • 教育や指導内容を習得する能力があるかを確認する
  • 教育や指導を開始する時期を決める
  • 教育や指導内容を決める
  • 必要があれば医師からの説明の場を設ける
  • パンフレットを活用する
  • 患者以外の家族にも教育や指導をアプローチする
  • ほかの糖尿病患者と関わる機会を設ける

【E-P(教育)】

  • 病態の説明
  • 治療法の説明
  • 合併症のリスクを解説

看護師からの説明の場だけでなく、医師やほかの糖尿病の患者さんと関わる機会を設けることで、病気と向き合うきっかけを作れるかもしれません。なぜ病識が薄いのか、治療に前向きではないのかなどの情報を収集して、その人に合った教育内容を検討しましょう。

血糖コントロール不良のケース

糖尿病の治療では、良好な血糖値を維持することが最優先となります。血糖コントロールが不良であると、合併症のリスクが高まったり、低血糖を引き起こしたりするおそれがあるからです。

患者さんに低血糖について説明している看護師

患者の背景から、高血糖になりやすいのか低血糖のリスクがあるのかを正しく判断する必要があります。本記事では、低血糖のリスクがあるケースの看護計画を見てみましょう。

目標は「低血糖を起こさない」「低血糖についての知識を持ち正しく対処できる」とします。

【O-P(観察)】

  • 生活背景:生活リズム、食生活、1日の運動量
  • 食事摂取量や食事回数
  • 病識の理解があるか
  • 血液データ
  • 治療方法
  • 低血糖症状の有無
  • 低血糖時の対処法の理解があるか

【T-P(実施)】

  • バイタルサイン測定
  • 低血糖症状の観察
  • 血糖測定
  • 低血糖時の対処法の選択

【E-P(教育)】

  • 低血糖時の対処法
  • 低血糖時の症状
  • 食事(栄養)指導
  • 服薬指導
  • 糖尿病や血糖コントロールの必要性について説明

低血糖を引き起こさないための指導も大切ですが、万が一低血糖になった際の対処法もあわせて説明する必要があります。患者さんが、退院後も自分で血糖コントロールが図れるようにすることを視野に入れて、看護計画を立てましょう。

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