「ミスをして患者に訴えられることはあるの?」と思う看護師もいるでしょう。実際に医療ミスによって患者から訴えられた事例はあり、多大な賠償金を求められるケースもあります。そのため、看護師は万が一のときのために、保険に入ることをおすすめします。
このコラムでは、実際に看護師が訴えられた事例と、保険の種類や比較方法も解説。まだ保険に加入していない看護師は、ぜひ参考にしてみてください。
看護職賠償責任保険とは、看護師が何らかの原因によって損害賠償責任を課せられたときに、その一部を補償する保険です。「医療ミスによって患者に障害が発生した」「患者の私物を壊してしまった」など、過失責任に問われる事案が対象になっています。この保険がないと、数千~数億円の賠償金を支払わなければならないことも。看護職賠償責任保険は、看護師を守るものといえるでしょう。
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看護師が実際に訴えられた事例の一部を紹介します。過失と訴えられるものは医療行為に関連するものだけではありません。
1999年1月11日、本来心臓手術を受けるはずだった患者に肺手術が、肺手術を受けるはずの患者に心臓手術が行われた医療事故です。手術が施された後、集中治療室で患者の容態を観察しているときに患者の取り違いが発覚。手術に関わった医師3名にはそれぞれ30~50万円の罰金、看護師Aには30万円の罰金、看護師Bには1年の禁固刑と3年の執行猶予が課せられました。
1997年3月12日、精神科に入院している患者が自殺。通常は看護師が1時間ごとに巡回を行っていましたが、同日午後5時~午後11時の時間帯は巡回が行われず、その間に自殺を図ったとされています。一定の巡回を行っていれば防げたものとして、裁判所は550万円の損害賠償を求めました。
また、病院に措置入院中の患者が無断離院をしたのちに通行人を殺害した事例もあります。これも医療事故の一環として、約1億円の損害賠償が求められました。
2012年6月12日、人工呼吸器を装着している患者が病室で心肺停止状態で発見され、死亡する事故が発生しました。当日は呼吸器の電源が切れており、呼吸補助がされていない状態を看護ボランティアが発見し事態が発覚。心臓マッサージや酸素投与などの蘇生法が行われましたが、患者は死亡しました。呼吸器の電源切れだけでなく、異常を知らせるモニターの電波も発信されていなかったことも、発見が遅くなった原因ではないかといわれています。事故当日の担当看護師は業務上過失致死の疑いで書類送検されました。
参照元
Medsafe.net
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看護職賠償責任保険の主な補償内容と、詳細を説明します。保険会社によって保険の対象は多少異なりますが、基本的な補償内容と、適用される事例を確認しておくと良いでしょう。
第三者に何かしらの怪我や後遺症を負わせてしまったときに適用されます。適用される事例は「患者へ点滴を行う際、誤って血管を破損させてしまった」「間違った薬剤を投与し、患者に障害を負わせてしまった」などでしょう。対人事故の補償には、被害を受けた患者に支払う怪我の治療費や休業補償が含まれています。
患者の私物や機材を壊してしまったときに適用されます。「患者が使っている眼鏡を床に落としてしまい、レンズを割ってしまった」「病院で使用しているタブレットを破損させてしまった」といった事例で保険が適用可能です。また、破損だけでなく、盗難や誤廃棄によって紛失してしまった場合も、この保険が適用されます。
患者の人格を否定する、または、そのように捉えられかねない発言をしてしまい、患者から訴えられたときに適用されます。患者一人ひとりに対してだけでなく、病院側で管理している情報や個人情報の漏洩が起こったときも、この保険の利用が可能です。「適切な言葉を選んだつもりだったが、患者が言葉の意味をはき違え名誉棄損と訴えられた」という場合でも、人格権侵害保険が適用されます。
保険会社によっては、対人・対物・人格権以外に、さらに細かい内容の保険も存在します。補償の対象や加入金額は会社ごとに異なるので、確認しておくと良いでしょう。
看護師自身がインフルエンザなど、感染症にかかった場合に適用され、通院や入院の日数に応じて、それ相応の金額が支払われる制度です。勤務中だけでなく、プライベートで感染した疑いがある場合でも請求が可能です。
地震などの自然災害や、その影響によって浸水や建物破損が起こった場合に支払われます。また、ボランティア活動中に災害に見舞われたり、食中毒を患ったりしたときも同様です。
業務中に受けたハラスメントを弁護士に相談したときに発生した費用を補償する制度です。患者から訴訟になりそうなクレームの相談をした場合も適応されます。
複数ある看護師向けの保険から、自分に適した補償制度を選ぶ方法を紹介します。職場の状況や自身の雇用形態に合わせ、複数の保険会社と比較してみましょう。
同じ補償内容でもA社は4,000万円まで、B社は1億円までのように、保険会社によって補償額が変わります。補償費が高いと掛け金も高くなりますが、看護師の平均的な給料だと負担はそこまで大きいものではないはず。補償額が高ければ万が一のときに安心ですが、自身に合った補償を選ぶと良いでしょう。
前述したように保険会社によって、対人・対物以外のサポート内容が異なります。また、同じ看護師でも職場や携わる分野によって必要なサポートは違うでしょう。
たとえば、ボランティアなどで院外に赴くことが多い看護師や、感染症にかかるリスクが高い職場で働く方は、災害補償や見舞金制度があるかを確認するのもおすすめです。
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看護師にとって心強い制度ですが、場合によっては補償が適用されないこともあります。たとえば、「意図的に機材を破損した」「患者に危害を加えた」「美容を唯一の目的とする業務で事故を起こした」という場合には保険が適用されません。また、排気や排水が原因で起きた事故や被保険者の親族に対する賠償責任も除外されています。補償が適用されない条件は保険会社によって異なるため、加入前は必ず確認するようにしましょう。
また、安全に業務を遂行するには、保険に加入するだけでなく、未然に事故を防ぐように仕事のやり方や環境を見直すことをおすすめします。
もし、医療事故が起きやすい職場環境で不安やストレスを抱えている看護師は、転職を考えてみるのも良いでしょう。自分に合った働きやすい職場に移ることで、ミスを減らして安全に仕事ができる場合もあります。
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