
「薬の使い分けBOOK」では、看護師さんが気になる薬の使い分け方法について、薬剤師の笹川大介が解説します。
本記事は、早期パーキンソン病の治療薬についてまとめました。作用・副作用に加えて特徴も記載していますので、ぜひ参考にしてください。

熊本大学薬学部を卒業後、2003年より地元・鹿児島県種子島の薬局に就職。その後、2009年より現職。
各地での講演会やセミナーを多数行っており、最近はYouTubeでオリジナル講義「かんたん薬理学」を精力的に配信している。日経DIクイズの執筆者、薬剤師教育動画「描いてつかむ! 副作用の薬理学」出演などの経験を持つ。
パーキンソン病は、中脳の黒質という部分の神経細胞が減少し、神経伝達物質であるドパミンが不足することで起こる病気です。
ドパミンは、脳において運動の仕組みを調節する働きがあります。パーキンソン病では、そのドパミンが不足するために、体の働きに支障が出るようになり、運動症状や非運動症状が現れると考えられています。
運動症状には、動けない、動作が遅い、表情の変化に乏しいといった無動(運動緩慢)、手足が震える静止時振戦、筋肉がこわばる筋強剛、姿勢を保てなくなり、前かがみになりやすい、転びやすいといった姿勢保持障害などがあります。
非運動症状は、便秘、頻尿、立ちくらみ、多汗といった自律神経症状、抑うつや不安、幻覚・妄想などの精神症状が現れることがあります。その他、嗅覚障害、不眠症、腰痛やしびれ、疲労感といった症状も知られています。

パーキンソン病の治療は主に薬物療法が中心です。現時点で完治する疾患ではないため、薬は原因疾患の治療ではなく、日常生活の支障となる症状を軽くするために使用されます。
特別の理由がない限り、診断後可能な限り早期に薬を開始することとなっています。

早期パーキンソン病の治療では、レボドパ製剤、ドパミンアゴニスト、モノアミン酸化酵素B(MAO-B)阻害薬とよばれる薬のいずれかで治療を開始するように勧められています。
今回は、この3種類の治療薬について、具体的な使い分けをみていきましょう。

【作用】
脳内でドパミンに変化して脳内のドパミン量を増加させる薬です。ドパミンが補われることで、パーキンソン病の運動症状を改善します。
レボドパ(ドパミンの前駆物質※)は、脳内に移行する前に酵素により分解されるため、レボドパ製剤はレボドパの分解を抑える薬が配合されたレボドパ配合薬として使用されます。
【特徴】
不足しているドパミンを直接補う薬です。レボドパによるドパミン補充療法は、パーキンソン病の治療の基本です。
『パーキンソン病診療ガイドライン2018』では早期パーキンソン病の治療において、65歳以上で症状が出始めた患者はレボドパ製剤で治療を開始するように記載されています。
理由として、高齢者は、後述するドパミンアゴニストによる治療で副作用の幻覚を生じることが多いためです。65歳未満であっても、認知機能が低下している場合には、幻覚などの副作用を回避するためレボドパ製剤から開始します。
レボドパ製剤は、効果発現が分かりやすいのがメリットです。症状の原因が明らかでない場合に、この薬を服薬することで効果がみられたらパーキンソン病だと考えられます。
ほかの薬剤と比べて薬価も安く、幻覚のリスクも比較的低いです。効果もはっきりしているため、症状が重い、転倒リスクが高い、仕事などの事情で薬を強く効かせたい場合にも適しています。
【副作用】
飲み始めに胃がムカムカするなどの消化器症状が起こりやすいです。ただし、継続して服薬することにより慣れて症状は楽になります。
長期間の使用により、ウェアリングオフとよばれる副作用が起こることがあります。これは、レボドパ製剤の有効時間が1〜2時間短縮し、次の服用までに効果が切れ、急に動けなくなったりするなど症状の悪化がみられることをいいます。
ウェアリングオフには、レボドパ製剤の少量頻回投与で対応します。

【作用】
脳内のドパミン受容体を刺激することで、不足しているドパミンの作用を補い、パーキンソン病の運動症状を改善する薬です。
【特徴】
ガイドラインでは、早期パーキンソン病の治療において、65歳未満の場合にはドパミンアゴニストが第一選択薬となります。
ドパミンアゴニストは、レボドパ製剤より運動障害の改善効果はやや劣りますが、長期に服用した場合でもウェアリングオフを起こしにくいです。またウェアリングオフに対して、レボドパ製剤に追加して使用されることも多いです。
徐放錠や貼付薬があり、持続的なドパミン刺激により、なだらかに効果が持続し、長時間症状を和らげる効果が期待できます。
【副作用】
吐き気、便秘、食欲不振などがあらわれる場合があります。
問題となる副作用が突発性睡眠です。前兆のない突発性の眠気などが出る場合があるため、患者には自動車の運転や高所作業に従事しないように指導します。
また、衝動制御障害とよばれる副作用があり、ギャンブルや無計画な買い物を繰り返すなど、衝動が抑えられない症状が出ることがあります。本人だけでなく、家族にも説明をしておくことで、副作用の早期発見に役立ちます。

【作用】
ドパミンの分解酵素であるMAO-Bの働きを阻害することで、脳内のドパミンの量を増やして、パーキンソン病の運動症状を改善する薬です。
【特徴】
ガイドラインでは早期パーキンソン病の治療において、65歳未満の場合に、MAO-B阻害薬はドパミンアゴニストと並んで初期治療の開始薬の1つとなっています。
MAO-B阻害薬を未治療の軽症のパーキンソン病患者に使用すると、レボドパ製剤の開始を遅らせることが可能です。また早い段階から単独で使用することで、ドパミンアゴニストに匹敵する運動合併症(ウェアリングオフなど)の予防効果も認められています。
そのため、車の運転が必要で、突発性睡眠によりドパミンアゴニストの導入が困難なケースでは、MAO-B阻害薬が選択されます。
また、進行したパーキンソン病では、レボドパ製剤と併用することで、レボドパの効果が強まり、薬の効果が見られない状態(オフ状態)の改善や薬の効果が切れて症状が強くなる時間(オフ時間)の短縮に有効です。
【副作用】
特にレボドパ製剤との併用時に起こりやすい、ジスキネジアに注意が必要です。手や足が勝手に動く、足が動いたり突っ張ったりしてしまって歩きにくい、手に力が入って抜けない、 繰り返し口をすぼめる、突き出す、口をもぐもぐする、舌を左右に動かすといった症状が自分の意思に関係なく起こります。
【禁忌】
三環系抗うつ薬、SSRI、SNRI、NaSSAなど併用禁忌となる薬剤が多いため、必ず併用薬を確認する必要があります。
パーキンソン病治療薬について、もっと知りたいことや、困っていること、そのほかにもこんな薬剤の記事が見たいなどがあればコメントしてください!
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今回の内容はレバウェル看護公式Instagramにてイラストで簡単に解説しています。投稿はコチラ!
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熊本大学薬学部を卒業後、2003年より地元・鹿児島県種子島の薬局に就職。その後、2009年より現職。
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看護師から寄せられる“よくある質問”
Q. 現役看護師が一番稼げる科はどこ?
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Q. 看護師がのんびり働ける勤務先は?
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Q. お礼奉公中でも転職は可能?
お礼奉公の途中でも、看護師が仕事を辞めることは可能ですが、途中で退職してトラブルに繋がるケースもあるので、辞める場合は注意が必要です。「お礼奉公中だけど辞めたい看護師へ!奨学金に関する疑問に答えます」では、「お礼奉公中の看護師は仕事を辞めても良いか」「途中で辞めると奨学金の支払いはどうなるのか」といった疑問や不安にお答えしています。また、奨学金の一括返済を求められたときや、退職を拒まれたときの対処法についてもご紹介しているので、お礼奉公がネックで前に進めずにいる方は、ぜひ参考にしてください。
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