看護師不足にともない産前・産後ナースがより安心して働ける職場づくりがすすめられている昨今。一方で、その制度を支えるために仕事の比重が増えてしまっている同僚のナースがいるのも事実です。
今回は、ナース不足、少子高齢化対策、いきいきとした女性の職場づくりなどを考える上でも、スタッフの仕事負担の偏りについて、問題提起してみたいと思います。
出産を機に離職するナースが多いと言われています。そんな中、ナース不足を解消するため、産前・産後サポートを充実させている病院が増えています。
まずは、どんな制度があり、利用されているのかを確認してみたいと思います。
・産前産後休暇
・育児休業
・夜勤免除
・院内保育
・短時間勤務
・子の看護休暇
・病児保育
・休日労働の免除
・時間外労働の免除
出典:厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/
産前・産後ナースの働く現場では、実際、どのような不満や不安の声があがっているのか、こちらではその一部をお伝えしたいと思います。
同じ女性として、出産する女性を応援したい気持ちはもちろんあります。でも、私の職場には時短勤務を利用している、産後に復職されたナースが多く、残業も私より半分の時間で帰れます。
私は独身ですし子供もいませんので、師長から「お願いしますね」と言われると、なかなか断りづらく、自分の用事があってもその方たちより残業を毎日、数時間しています。
だからといって、同じ給与なんだから残業も平等にして欲しいなどと言えるわけもなく、人員配置を考えれば、夜勤回数が多すぎても断ることが難しいのが現状です。正直、体調が限界です。だけど弱音を吐くと、産後の女性を思いやっていないようで自分が嫌になります。つらいです。
出産は喜ばしいことですし、はじめは協力しようという気持ちでいました。しかし、その産休明けのナースがあまりにも権利、権利と言って、当たり前のように休んだり、先に帰ったりすることが続いていて、正直、素直に「大丈夫だよ」と言えなくなってしまいました。
看護師長や看護部長に「人員を増やしてくれ」と話したのですが、「経営的にこれ以上人数は増やせない」と言われました。
せめて産休明けのナースが、私たちに感謝とか申し訳なさとかを示してくれれば、もう少し気持ちも違う気がするのですが、当たり前の権利と主張されすぎて、最近は苛立ちさえ感じてしまいます。
「子供を産んでも看護師を続けたい」と思ってきました。収入面でも必要があってのことですが、やはり看護師の仕事にブランクを作りたくなかったんです。
出産に理解のある制度が充実した病院なので夜勤免除にしてもらいました。しかし、院内保育に空きができ、子供を入れてから「夜勤も少しは入って欲しい」と言われるようになったんです。
確かに24時間保育が受けられるようにはなりましたが、産後は体調が不安定で、正直、通常勤務でもかなり具合いが悪い状態のときもあります。それでも頑張って、決められた時間内は仕事をしていますし、残業も出来る限りするようにしています。
だけど、患者様に笑顔で接していると(仕事なので)、「けっこう大丈夫なんじゃないのか」と思われてしまい、周りからは産後のつらさを理解してもらえないんです。
家に帰ってもぐったりしながら、子供の面倒はひとときも休めない状態で続きます。
最近は、「看護師をあきらめるべきなのか…」と迷っています。看護師を続けたいけど、出産をしたら、看護師ではいられない環境なのかなと感じています。
根本的解決策は、管理側の体制や人数配置の増加などが望ましいです。が、ほとんどの病院では、経営面での問題や求人が集まらないなどの問題などで「人員増加は難しい」というのが残念な現状のようです。
この問題は病院単位ではなく、地域や国などもっと大きな公的な部分からの改善が必要なのではないでしょうか。
しかし現場では、そんな改善を悠長に待っていることはできないですよね。
そこでひとまず大切なことは、「お互い様」という思いやりの精神です。
産前・産後のナースのみなさんも、おそらく肩身の狭い思いや気遣いはされているかもしれませんが、「すみません」と謝ることばかりでは、相手の感情を沈める助けにはなりません。
具体的に「こんなことをしてくれた」ということに対し、「すみません」ではなく、「ありがとうございます」という感謝を伝えることが大切です。
また、できる範囲でいいので、やれることをやろうとする姿勢は見せた方がよいと思います。
職場で「産前産後のナースだから仕方ない」、「産前産後のナースは優遇する」というルールや雰囲気があっても、多少なりとも自分から協力できることに手をあげてみるという姿勢を見せることで、周りの人も気持ちが変わるものです。
こうしたお互いの思いやりの上で、「大丈夫です」と言われた方が、お互いに「しかたない」と思える部分も大きいのではないでしょうか。
とは言え、産前産後のナ~スのための公的制度や院内ルール、思いやりは存在するべき大事なものです。産前産後に無理をすることは決してよくないことです。
産後の身体は非常に疲労しており、ホルモンバランスも崩れ、通常の状態ではないということを、産後のナースご自身もですが、周囲の人間がしっかり理解しておくことが必要です。
産後のナースは早く帰宅できたとしても、帰宅後は母親として昼夜問わず育児と戦っているということを周囲の人間が想像することも大切なことです。
子供を生み育てることは、とても大変なこと。その大前提があるから、病院側や同僚もサポートを受け入れてくれていると思いますが、それでも人間、不公平さを感じれば不満が募ってしまうのも当然の感情でしょう。
どちらが悪いという問題ではありません。お互いが思いやりのある気持ちを持って仕事をした方が、いがみ合うより、よい職場環境が作れると考えていきたいですよね。
ただ、それは暫定的な対処に過ぎません。こうした声を多くあげながら、医療業界全体で、またこの国全体として、問題定義と意識の変革が求められているのは間違いないことです。
早急な医療従事者の環境改善の施策が実行されることを切に願って、今回はこの問題を取り上げさせていただきました。
産後も頑張るナースのみなさん、それを支えてくださっているナースのみなさん、いつもお疲れ様です。
みなさんが看護に従事してくださっていることに感謝しています。
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