
「業務中にミスを起こさないか心配」と悩んでいる看護師は多いのではないでしょうか。
ここでは、看護師が医療・介護現場で起こしやすいミスや適切な対処法・対策などについて詳しく紹介します。
この記事を最後まで読み終えてもらえれば、業務中に注意したいポイントや、実際にミスを起こしてしまった時の対処法が分かるでしょう。
安心して日々の業務に取り組みたい方は、ぜひ参考にしてください。
医療ミスは患者様に及ぼす影響の度合いに応じて、いくつかのカテゴリーに分けられます。
ここでは、医療・介護の現場で起こる医療ミスについて分かりやすく解説するのでご覧ください。
ハインリッヒの法則によると、1件の重大事故の裏に、29件の軽症事故、300件の無傷事故があるとされています。
医療ミスは主にインシデントとヒヤリハットの2種類があり、それぞれの特徴を紹介します。
インシデント(ヒヤリハット)とは、誤った医療行為が行われそうになりましたが、提供する前に発見されたため、実施には至らなかった事象です。
日本医師会の「医療従事者のための医療安全対策マニュアル(P14)」によると、インシデントについて「実際には起こらなかったのだが、もしかすると事故や傷害を起こしたかもしれない偶発的事例」としています。
インシデントの例は下記のとおりです。
誤った医療行為を提供していた場合、重大な事故につながった可能性もあるため、ヒヤリハットの再発防止は職場の安全対策に有効です。
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看護師に多いインシデントの事例は?適切な対処法や再発予防の対策を紹介
アクシデントとは、
アクシデントとは、誤った医療行為を提供し、患者様に何らかの影響があった事象です。
同じく、日本医師会の「医療従事者のための医療安全対策マニュアル(P14)」によると、アクシデントを「実際に患者様に損失を与えた事故」と定義しています。
アクシデントが発生すると、第三者機関による調査や訴訟に発展するケースも珍しくありません。
医療事故と医療過誤には、下記のような違いがあります。
| 医療ミスの種類 | 違い |
| 医療事故 | 過失の有無に関わらず、医療現場で発生するすべての人身事故 |
| 医療過誤 | 医療事故のうち、過失(医療従事者の不注意)によって発生した事故 |
過失とは医療従事者が注意義務を怠った事例を指し、過失があると判断されたら医療ミスを疑われたり、損害賠償が請求されたりすることもあります。
看護師が働く医療・介護の現場では、さまざまな医療ミスが起こる可能性があります。
中でも、看護師が起こしやすい主なミスは下記のとおりです。
それぞれのミスについて詳しく紹介するので、どのようなミスが起こりえるのか確認してみましょう。
厚生労働省によると、インシデントのうち与薬・注射に関するミスが13.5%を占めており、最も多いと報告しています。
与薬に関するミスで多い事例は下記のとおりです。
与薬・注射に関するミスの多くは、6Rや看護師2名以上によるダブルチェックの徹底、バーコード管理などの対策で防げるとされていますが、完全なミスの防止は難しいのが現状です。
厚生労働省によると、転倒・転落のミスは与薬・注射に次いで多く、10.0%です。
転落・転倒は、車椅子やベッドへの移乗時、歩行中などに起こるとされ、高齢者や認知症の方は大怪我につながるおそれもあります。
また、患者様の自発的行動によるものも多いため、看護師側が十分な対策を取り入れても、未然に防ぐのが困難です。
チューブ・カテーテル類に関するミスは自己抜去や閉塞が多く、厚生労働省によると全体のうち8.9%を占めています。
患者様の自己抜去予防では、拘束具の使用や頻回な訪室による観察が有効となりますが、ケアの際に看護師が抜去してしまう事例も少なくありません。
看護師側の対策として、固定方法の工夫やチューブ類の管理を徹底することも大切です。
患者様誤認は与薬・注射や手術、検査など、患者様に関わるあらゆる場面で発生するリスクを伴います。
同姓同名の患者様や似たような名前の患者様が入院していると、特に起こりやすいです。
時には、取り違えによる手術や輸血など、重大な事故につながるミスもあるため注意してください。
「もしもミスを起こしてしまったらどうしよう」と悩む看護師は少なくありません。
看護師がミスを起こしたときの対処法は下記のとおりです。
具体的にどのように対処すれば良いのかお伝えするので確認してみましょう。
ミスに気が付いたら、速やかに医師や直属の上司に報告し、患者様への影響が考えられる場合は、必要な処置も迅速に行いましょう。
特に、与薬や点滴、ドレーン・チューブ類のミスは、直ちに適切な処置を行わなければならないこともあります。
自己判断で対処しようとすると、事態が悪化するおそれがあるため、ミスを隠さずに適切な対応を心掛けることが大切です。
報告後は、なぜミスが起きたのか要因や問題点の分析が重要です。
看護師の起こすミスの中には、個人の注意不足だけでなく、業務量や環境など組織的な問題点が背景にあるケースも少なくありません。
インシデントレポートを活用することで、状況を整理し、客観的に振り返るのに役立ちます。
ミスの要点や問題点を分析した後は、再発防止のために具体的な課題を考える必要があります。
たとえば、ダブルチェックの徹底や申し送り時の情報共有など、小さな改善の積み重ねが事故の予防につながるでしょう。
また、個人の知識・スキルのアップデートもミスの再発防止が期待できるため、研修や勉強会への参加もおすすめです。
仕事中にミスをしてしまうと、気持ちが落ち込んだり、自信をなくしたりするものです。
ここでは、看護師がミスで落ち込んでしまったときの対処法を紹介します。
ミスをして落ち込むのは、問題点と真面目に向き合っている証拠です。
しかし、いつまでもネガティブな気持ちにとらわれていると、次の業務に支障が出てしまうおそれもあります。
「人は失敗から学ぶもの」と考え、前向きな気持ちに切り替えることも大切です。
自分一人で気持ちを切り替えるのが難しい場合、信頼できる先輩や同僚、家族、友人などに相談するのがおすすめです。
悩みを話すことで気持ちが整理されるだけでなく、第三者の視点からアドバイスを得られることもあります。
また、看護師同士であれば悩みに共感してもらえることもあるため、心の負担の軽減につながるでしょう。
精神的に不安定になっていると、仕事に集中できなくなり、新たなミスを起こしてしまうことも珍しくありません。
また、強い疲労やストレスは、より気持ちが落ち込みやすくなる原因です。
悪循環とならないためにも、仕事から離れてリラックスできる時間を作り、休息をとると良いでしょう。
何度もミスを繰り返す場合、「看護師としての能力が低いのではないか」と自信を失ってしまう看護師は多いです。
しかし、人には必ず得意不得意があるため、必要以上に落ち込む必要はありません。
自分の特徴や得意なこと、苦手なことを整理したい方は「看護師タイプ診断」も是非ご活用ください。
自分の強み、弱みを知ることでミスを減らして、強みを活かせる職場を探すきっかけになるかもしれません。
業務上のミスは完全になくすことはできませんが、適切な対策を取り入れることでリスクの軽減につながります。
看護師がミスを起こさないための対策は下記のとおりです。
すぐに取り入れられるものを紹介するので、早速実践してみましょう。
看護業務の多くは、医師の指示に基いて行われますが、患者様の状態によって医師の指示が変わるケースは珍しくありません。
医師からの指示を把握できていないと、間違った処置を行ってしまう可能性があります。
ミスを防ぐためには、医師からの指示内容をこまめにチェックし、正確に把握するように努めましょう。
与薬時は下記の6Rを徹底することで、誤薬ミスの防止につながります。
| 6Rの項目 | 詳細 |
| 正しい患者様 ( Right patient ) | 患者様の名前患者様ID・生年月日・性別 |
| 正しい薬物 ( Right drug) | 薬剤の名称薬剤の剤型(錠剤・カプセル・粉薬・液剤) |
| 正しい目的 ( Right purpose) | 薬剤を使用する目的 |
| 正しい用量 ( Right dose) | 薬物の用量・単位・濃度 |
| 正しい方法 ( Right route) | 指示された投与経路(経口・舌下・直腸内・経皮・注射など) |
| 正しい時間 ( Right time) | 処方日与薬日・与薬時間投与速度 |
似た名前の患者様が複数名いる場合や、似たような名前の薬剤が処方されている場合、注意が必要です。
また、投与量や薬剤の変更があれば、看護記録や申し送りノートに残しておくことで、誤薬の注意喚起ができます。
多忙な業務で気持ちが焦っている状態では、見落としや勘違いによるミスが起こりやすいです。
特にルーティンワークになりやすい点滴や与薬は、確認不足によるミスが増えます。
そこで、看護師1名だけでなく、ほかの看護師や医師とダブルチェックや指差し呼称を習慣づけると良いでしょう。
看護師はシフト制の不規則勤務となるため、勤務交代時の引き継ぎが不十分だと、ミスが起こるリスクが高まります。
したがって、看護師によってケアの質や内容が一定に保たれるように、「報告・連絡・相談(報連相)」による正確な情報共有が欠かせません。
また、「普段とは異なる患者様の様子に違和感がある」という直感でも、早めに周囲に共有しておくことで、ミスを未然に防げる可能性があります。
日々の看護業務は多岐にわたるため、業務内容を全て頭で把握しようとしても、忙しさの中でうっかりミスが起こりやすくなります。
そこで、ルーチン業務や患者様ごとの処置など、業務をチェックリスト化しておくのがおすすめです。
ワークシートやメモ、付箋など、自分が使いやすいものを活用すると良いでしょう。
点滴や血糖測定・インスリン注射など、時間が定められているケアは、他の業務に気を取られているうちに時間を過ぎてしまうこともあります。
アラーム機能の搭載されている電卓や、スマートウォッチなどを活用し、ケアのタイミングを忘れないような工夫が大切です。
また、他の看護師とも情報を共有しておけば、互いに声を掛け合ってケアの時間を厳守しやすくなります。
看護師は複数の業務を同時にこなさなければならない場面が多いです。
しかし、マルチタスクは集中力を分散させ、業務の質の低下やミスを招くリスクが高まります。
一つの業務にしっかり集中し、完了してから次の業務に移る「シングルタスク」の方が効率的に仕事を進めやすいです。
業務が忙しい職場ではマルチタスクが多く、コミュニケーションや確認の不足によるミスが増えやすくなります。
職場環境が原因となってミスにつながっている場合、ゆったりと働ける職場がおすすめです。
ここでは看護師がゆったりと働きやすい職場を紹介するので確認してみましょう。
クリニックでは来院した患者様を一人一人医師が診察していくので、看護師がダブルタスクを抱えにくいです。
また、平日の日中に診療しているため、夜勤やオンコールの対応が不要で、規則正しい生活を送ることができます。
急変対応や重症の患者様の対応がほとんどなく、心身への負担が少なく済むのも魅力です。
介護施設で働く看護師の主な業務は、日々の健康管理や服薬サポートが中心です。
ゆったりとした環境で入居者様と信頼関係を築きながら、丁寧なケアを提供できます。
時間に追われず落ち着いて働ける環境が整っているため、多忙さによるミスに悩む看護師にぴったりの職場と言えるでしょう。
健診センターでは、採血や問診などのルーティン業務が中心となります。
専門性の高いスキルを求められず、高い緊張感を強いられる場面も少ないです。
忙しさや焦りによる確認ミスに悩んでいる看護師は、健診センターでの勤務が向いているでしょう。
保育園で働く看護師は、園児の健康管理や応急対応が主な役割で、医療処置はほとんどありません。
基本的に日勤のみで、残業も少ないため、心身に余裕のある働き方が目指せます。
慌ただしい医療現場から離れて穏やかに働きたいなら、保育園看護師への転職を検討してみると良いでしょう。
ここでは、看護師のミスについてよくある質問を紹介します。
勤務経験を重ねることで、判断力や観察力、優先順位のつけ方が磨かれ、ミスの頻度が減る傾向にあります。
しかし、看護師として豊富な経験があるからといって、ミスが完全になくなるわけではありません。
環境の変化や業務の多忙さ、確認不足などが要因となり、ベテランの看護師でもミスは起こります。
看護師がミスを起こさないためには、適切な対策をしっかり取り入れることが重要です。
急変の兆候を見逃し、看護師の重大な過失と判断された場合、訴訟に発展する可能性もあります。
ただし、注意義務を尽くしていたかどうかが問われるため、全てのケースで訴訟に発展するとは限りません。
患者様の急変の兆候を見逃さないためには、看護師個人の知識・スキルに頼るのではなく、チーム内での情報共有や異変への早期対応が必要不可欠です。
看護師が働く医療・介護の現場では、さまざまな医療ミスが起こるリスクがあります。
特に看護師が起こしやすいミスとして、与薬・注射や転倒・転落、チューブ・カテーテル類などのカテゴリーが挙げられるでしょう。
もしも業務上でミスを起こしてしまった場合、速やかに医師や上司に報告し、ミスの要因・問題点を分析したうえで、再発予防のための課題を明らかにすることが大切です。
また、ミスを起こしても過度に落ち込みすぎず、今後ミスを起こさないように適切な対策を取り入れましょう。
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