
人間は誰しもがミスを起こしてしまいます。それは、命を預かる仕事を担う看護師でも同じ。
ミスから学ぶこともありますが、患者さんの命に関わるような取り返しのつかないミスだけは避けなければなりません。そのようなミスを起こしてしまった場合には、患者さんへ負担を与えてしまうだけでなく、自分自身も「看護師を辞めたい」などと、その後の看護師人生に影響を与えてしまう可能性があります。
今回は、看護師が取り返しのつかないミスを防ぐ方法と、ミスをしてしまったときの行動について解説します。
看護師も1人の人間であるため、どうしてもミスはしてしまうものです。
ミスをしないことばかりを考えてしまっては、目の前の患者さんと十分に向き合うことが難しくなります。看護師としての職務を全うできなくなるかもしれないので、過度に恐れるのは良くはありません。
看護師には、ミスの予防策を徹底しながらも、患者さんに寄り添う姿勢を忘れないことが求められます。
ここでは、看護師がミスしやすい状況をいくつか解説します。
睡眠不足のときには注意が散漫しやすく、ミスの可能性が高まります。
特に夜勤では、日勤などのほかの勤務帯よりも長時間労働になりやすく、より一層ミスが起こりやすいでしょう。
疲れやストレスは少なからず仕事のパフォーマンスに影響します。
日勤の連勤が続いているときなど、疲労が出やすいタイミングには注意が必要です。
臨床現場では、医師の指示が急に変わることも日常茶飯事。
その都度十分な確認ができるのが理想ですが、多忙な業務に追われていると確認が不十分になりやすくなります。
急変・急患対応時には迅速な判断や対応が求められ、普段以上にプレッシャーがかかります。
緊迫した雰囲気や、医師からの指示が口頭になることも、ミスに繋がる原因です。
看護師の仕事では、シフトによってやむを得ず人員がギリギリになってしまう日も往々にしてあります。
看護師1人あたりの受け持ち患者数や業務量が増えることにより、ミスが発生する可能性が高まります。
クリニカルパスや検査入院などいわゆる「ルーチンワーク」の業務では、業務の流れや一つひとつの仕事内容が単調であることが多く、気が緩みミスが発生することがあります。
看護師のミスにはさまざまなものがありますが、取り返しのつかない事態につながるミスだけは避けなければなりません。
重大なミスの種類としては、主に以下の5つがあげられます。
注射や点滴、与薬など薬剤に関連したミスは、最悪の場合患者さんの命に関わる事故となってしまうことも。
転倒や転落に関しても、看護師の観察や対策が不十分である場合には、頭部打撲や骨折などの大きな外傷につながる危険性があります。
手術時の確認ミスは術式や患者間違いのもとになり、業務中の居眠りは患者さんがモニター越しに発しているSOSを見逃し急変に繋がる可能性が考えられます。
これらは、いずれも取り返しのつかない重大なインシデントです。
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看護師が取り返しのつかないミスを防ぐためには、確認やコミュニケーションが重要です。
ここでは、看護師が徹底すべき、取り返しのつかないミスの防ぎ方について解説します。
看護師の業務のすべてにおいて、6Rの確認と指差呼称を徹底しましょう。
6Rは「6つのright」の略であり、6つの項目は次のとおりです。
指差し呼称とは、患者確認や薬剤確認など、あらゆる確認の際にそれぞれの項目や対象をしっかりと見て、指で指しながら声に出し、最後に「ヨシ!」と人差し指を耳の横から大きく振り下ろす動作のこと。
指差呼称を行った場合のミスの発生率は、指差呼称を行わなかった場合の1/6まで減少できることが明らかになっています。
忙しい時こそ6Rの確認と指差し呼称を徹底することが、ミスを防ぐ何よりも効果的な方法です。
ダブルチェックの徹底も重要です。
1人の看護師だけでなく、もう1人の看護師あるいは医師と、計2人で同じ物事を確認することにより、ミスが減らせることがわかっています。
スタッフ数が少ないときや多忙なときにおいては、報・連・相が不足しコミュニケーションエラーが起きてしまうことも。
状況によっては、タイムリーな報告や相談ができないこともあるかもしれませんが、不安が残るまま業務を進めるのは避けましょう。
「何かおかしい」といった自分の直感を信じ誰かに相談することで、取り返しのつかない事態を未然に防げる可能性があります。
メモをとる習慣をつけるのもおすすめです。
患者さんの状態変化や医師の指示変更などをすべて頭で把握しようと思っても、難しいのが現実。
忙しいときこそメモを取り、業務と業務の合間にはそのメモを見返す時間を設けましょう。
ないがしろにしがちなのが、自分自身のケア。
看護師は、不規則勤務による生活リズムの乱れや、常に命を預かるプレッシャーによる心身の疲労などにより、コンディションを保つのが難しいのも事実。
しかし、そのような状態ではミスが発生しやすくなってしまうため、少しでも自分自身の疲れを癒し、ストレスを減らす努力をしてみましょう。
夜勤明けや休みの日でも早寝早起きをする、栄養のある食事を十分に摂取する、朝日を浴びるなど、健康を意識した生活を送り、趣味や運動などで適度に身体を動かすことをおすすめします。
ミスの予防も大切ですが、起きてしまったときの対処法も重要です。
ここでは、ミスが起こったときの対処法について解説します。
ミスに気付いたら、すぐに報告しましょう。
嘘をつく、あるいは隠ぺいをしてしまうと、患者さんを危険に晒してしまい、患者さんやスタッフから信頼されなくなってしまいます。
もちろん、自分自身の看護師としての成長も望めなくなってしまいます。
自分自身の行動を振り返ってみましょう。
ミスの発生前後の業務内容や動き、精神状態、疲労など、その時の状況も含めて振り返ります。
次に、ミスの原因や問題点を明らかにします。
ミスの原因によって、今後の対策が変わります。
自分だけで考えてもわからない場合は、先輩看護師やリーダー看護師などにも意見を聞いてみましょう。
ミスの振り返りや問題点の洗い出しが終わったら、自分のクセや課題について考えてみましょう。
いくら業務が多忙でも、ミスをほかのスタッフや患者さんのせいにしてしまうのは良くありません。
次に同じミスを起さないよう、自分自身の課題と向き合う姿勢を大切にしたいものです。
ミスをすれば、誰でも落ち込むものです。
ここでは、取り返しのつかないミスをしてしまった際の対処法をいくつか紹介します。
振り返りや課題の抽出は重要ですが、必要以上にミスのことについて考えないようにするのがポイント。
できるだけ気持ちをほかのことに向けてみましょう。
次の勤務までに気持ちを切り替え、他のミスを起こさないように注意することが大切です。
ミスは、学びの機会でもあります。
落ち込みすぎず、今後同じミスを起こさないようにという視点に重きを置いて、今回の学びを次に活かしましょう。
疲労やストレスがまた次のミスを生んでしまう可能性があります。
そのような悪循環を断ち切るためにも、退勤後や休日には休息を十分にとり、自分なりの方法で思い切りリフレッシュしましょう。
ミスについて必要以上に自分を責め続けたり、今後のミスを恐れて不安が強い状況では仕事自体が辛いものになってしまうことも。
そのような場合には、思い切って転職を視野に入れることも一つの選択肢です。
看護師の働き先は多岐にわたります。
職場を変えると業務内容にも変化がみられることがあるため、前向きに仕事と向き合える可能性があります。
最後に、よくある質問を紹介します。
ミスを隠したり嘘をついたりしても、いつかは見つかってしまうことです。
患者さんを危険に晒してしまい、スタッフからの信用も失ってしまいます。
患者さんの命を預かるという責任の重い仕事だからこそミスを隠したくなる気持ちも理解できますが、まずはミスを認め、すぐに報告しましょう。
ミスを起こしてしまったときの対処法については、「それでもミスは起こる!ミスが起きたときはどうしたら良い?」を参考にしてください。
厚生労働省が公開している「重要事例集計結果」では、全国の医療施設で起きたインシデント事例を確認できます。
インシデントの具体的な内容だけでなく、発生要因や改善案も公開されているため、ぜひ参考にしてください。
今回は、看護師の取り返しのつかないミスについて解説しました。
日ごろから気を引き締め、ミスを起こさないための行動や予防策を具体的に考え、実行できるよう心がけましょう。
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